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朝妙楼

1 :朝妙楼崇安:2007/04/19(木) 10:21
ここ狩狩の片隅に、棲みつくことに致しました崇安と申します。

陋屋に名付けて朝妙楼。
「楼」などとご大層に僭称しておりますが、なにただの隠居所です。

AAを駆使するほどの技量を持ち合わせておりませんので、文字ネタ・小説のようなものを綴ってまいります。

更新頻度は低め。時には放置するやもしれません。ご寛恕下されませ。

72 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:16

小春は物怖じしない。それに、まったく遠慮というものがない。

飯田さんにだって安倍さんにだって、ガンガン甘えに行く。また、飯田さんも安倍さんもそんな小春が可愛くて仕方ないらしい。
あの後藤さんの膝にだって、容赦なく乗っかって甘えていた。
後藤さんも、あれで案外子どもっぽいところがあるから、喜んで小春と一緒になって遊んでいた。


ガキさんは、そういう光景を眼前で見せられるのが、何となく不愉快で憂鬱だったのだ。

73 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:17

「別にヤキモチを焼いてるわけじゃないんだ」

ガキさんは口に出して言ってみた。うん、ヤキモチじゃない。そんなんじゃないんだよ。

「小春ちゃんは……小春ちゃんは、安倍さんたちがどんなに凄い人か分かってない!」

74 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:18

ガキさんは思うのである。

栄光ある娘。の歴史の一頁に名を刻む者の一人として、
オリメンである安倍さんや飯田さん、中興のエースとでもいうべき後藤さんに対する深い深い崇敬の念が不可欠ではなかろうか。
小春にはそれが分かっていない。若手のエースとまで言われながら、娘。メンとしての自覚がない。

75 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:19

それはガキさんだって、撮影やステージの合間に記念隊のメンバーとじゃれあうようなことがないでもなかった。
しかし、遊んでもらう時といえども、尊敬の心を忘れたことは一瞬たりともないのだ。しかるに小春の態度は何事であるか。
先輩たちが優しいのをいいことに、甘え放題ではないか。小春はまったく分かってない!

なかんずく、安倍さんに対する小春の態度が馴れ馴れしすぎるのが、ガキさんの神経を逆なでしていた。
冗談とは分かってはいても「小春もそろそろ『なっち』って呼んでもいいですよね〜」だと!!

76 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:19

なんのことはない、なちヲタ・ガキさんの嫉妬に相違なかった。

77 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:20

☆  ☆  ☆

78 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:23
日を追うごとに、ガキさんの憂鬱は深くなっていったのである。

そんな或る朝……。

79 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:24

「おはよ。どうしたのガキさん? このごろ元気ないねー」

控え室に入ると、安倍さんがいつものように軽く訛りながら、真っ先に声をかけてくれた。

「お、おひゃようごずります(!)」

慌てたので変な噛み方をしてしまった。

80 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:24

「なんか嫌なことでもあったのかい? まあモーニングもいろいろあって大変だろうけどさ、元気出していこうよ」
「え、あ、大丈夫です大丈夫です。ハイ。新垣はいつも元気ですよぉ」
「ならいいけどさ。今日もハードだけど、頑張ろうね」
「ハイッ!」

今日は幸先がいい。これなら気持ちよく仕事が出来そうだ、とガキさんは思った。
お昼は、ぜひ安倍さんと一緒に食べようと固く心に誓う。

81 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:27

よいスタートを切ると、物事はうまく運ぶものだ。

仕事はトントンと順調に進み、ガキさんもピンのシーンを撮ってもらったりしながら気分がよかった。
スタッフさんにも「今日はいい表情してるね」と言われたくらいだ。ふふん♪

撮り終えて、るんるんとみんなのところに戻ると小春の甘え声が聞こえてきた。

「安倍さ〜ん。じゃあ今日は、小春とご飯食べましょうよ」
「あははは。いいよー、天気いいから外でお弁当食べよっか」

82 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:28

(……これだよ)

とガキさんは内心毒づいた。
つい先刻まで飯田さんに甘えかかっていたと思ったら、ちょっと目を放した隙に安倍さん狙いをつけやがって。
折角の「いい表情」が曇っていくのが、自分でも分かる。

ガキさんは、さっきまでの弾んだ気持ちがあっという間にしぼんでいくのを感じていた。はぁぁ……。

83 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:28

間違いなく、ガキさんのヤキモチである。

84 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:29

☆  ☆  ☆

85 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:29

「ニィニィなんか怒ってるの?」

ロビーのようなところの片隅で、後藤さんとお昼をしていたら優しく語り掛けられた。「ニィニィ」って懐かしい呼ばれ方だ。
ガキさんは動揺して、食べていたお弁当の肉団子をのどに詰めそうになってしまった。

86 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:30

安倍さんと小春は、外のベランダにカフェテラス風のしつらえがしてあるところで、お弁当を食べている。
安倍さんがガキさんも誘ってくれたのだが、もにょもにょ生返事をしていたら、

「今日さ、ガキさんとちょっと話ししたいんだ。いいでしょ」

と後藤さんにここに引っ張って来られたのだ。飯田さんの姿は見当たらない。どこかで交信中なのだろうか。

87 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:31

「怒ってんじゃなくて凹んでるのかな。よかったら、ごとーに話してごらんよ」

後藤さんの眼差しは優しかった。
ガキさんは、アタマの中に色んなものがぱぁっと噴き出してきたのを感じたけれど、口から出てきたのは、まったく別のことだった。

「後藤さんっていつもセクシーでカッコいいですよねスタイルいいし何食べたらそんなふうになれるのかなあなんて思ってて。それなのに、話すとなんか可愛らしくて」
「はぁ……?」

88 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:32

ガキさんが急き込んだように喋ると、後藤さんは何ともいえない表情をしたあと、首を傾げてまた優しく笑った。

「んふふふ。あー、じゃあねぇ、ごとーが勝手に喋るよ。聞いても聞かなくてもいいからね。そこに座っててくれれば」
「え」

後藤さんは、ガキさんの頭の上30cmほどの空間を見据えながら話し始めた。
ガキさんは食べる手を止め、かしこまって聞いている。

89 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:33

「ごとーはねぇ、モーニングに入ったとき一人だったでしょ? いちーちゃんは良くしてくれたけど、けっこう心細かったんだよねえ、最初。同期いないしさ年下だしさ。大

変だったんだよぉ、これでも」

おだやかにここまで話すと、後藤さんはガキさんの顔を見て人懐こそうな笑みを浮かべた。

「ニィニィはモーニングの大ファンだから、こんなこと全部知ってるだろうけどねぇ」
「はぁ」

90 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:34

でね、と後藤さんは言葉を継いだ。

「なんだったかなー、何かの撮りのあとだったかなぁ。車ん中でなっちと隣り合わせに座ったんだよね」

安倍さんの名前が出てきたので、ガキさんは緊張する。その様子が可笑しかったらしく、後藤さんはクスリとした。

91 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:36

「なっちはねぇ、優しかったよ。ごとーがね、『何となく寂しい』って言ったら、『じゃあ一緒に遊びに行こう。なっちに甘えていいからね』って言ってくれた。何度かご飯食べに行ったなあ。家にも遊びに来てくれたことがあるよ。よく『ごっつぁんはオトナっぽく見えるから損してるねえ。なっちは究極の童顔で得してるかも』なんて言って笑ってたなー」

後藤さんは懐かしそうに言った。柔らかな表情だ。
静かにフッと笑い、食べないと時間なくなるよ、とガキさんを促して、自分も箸を動かした。

92 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:39

「そのあともなっちはいろいろ気遣ってくれたよ。ライバルとか言われてたし実際そういう感じもあったけど、仲は良かった。『口もきかない』なんて書かれたこともあるけどさー、全然ウソ。
そりゃあいちーちゃんやよっすぃーとの方が年も近いしよくじゃれてたし、辻加護もいたからね、なっちと話す時間は長くはなかったけど、あれで結構深い話もしたんだよお。なっちが『ごっつぁんがいるからもっと頑張ろうと思えた』って言ってくれたのは嬉しかったな」

そして、今もそれは変わらないんだよ、と後藤さんは外の安倍さんの方にチラリと目をやった。

93 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:41

「……なっちはさ、自分からはあんまり手を差し伸べないかもしれないけどさ、求めれば与えてくれるよ。
ごとーもね、最初のころはちょっと冷たい人なんじゃないかと思ったこともあるんだけど、なっちにはなっちなりの主義っつーの? 考え方があるんじゃないかな。
なんてのかなー、相手を同格の仲間だと認めてるから余計なお節介はしない、みたいな。手助けが必要だったらしっかり応えるって感じでさ」

オフに一緒に遊びに行くとかはあんまりしない人だけどねーと言いながら
後藤さんは、箸でつまんだ肉団子を見て顔をしかめた。
においを嗅ぐと気に入らないらしく、更に眉を顰めた。脇へどけてしまった。

94 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:42

「くっすみんのことは、どうもまだ子どもだと思ってるようだよね。あのころのごとーと歳は変わんないんだけどねえ」
「よく分かんないけど、小春の方が幼い気はします」
「そーかな? ま、多分なっちはそう思ってんだろうね」

肉団子を残して食べ終わった後藤さんは、ペットボトルのミネラルウオーターを豪快に飲み干して、付け加えた。

「ニィニィはなっちが大好きなんだよね。大丈夫、その価値はあるよ。間違ってない」

95 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:42

☆  ☆  ☆

96 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:43

午後の仕事は、いろいろごちゃまぜだった。
雑誌のインタビューを受けたりスチールを撮ったり。場所を変えてCM用の短いカットも撮影した。

ガキさんは、なんだか自分が違う場所にいるような気分になっていた。
上の空というほどではなかったが、いまひとつ集中できなかったのだ。
けれど、我ながら神経が散漫だった割には簡単にOKが出て、マネジャーさんには褒められた。

不快で憂鬱な感覚とは違っていたからかもしれない。

97 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:44

パーティションの向こうから、小春のやや甲高い声が聞こえてくる。
昼間、あれほど苛々させられた声が、まったく気にならなくなっていることにガキさんは気づいた。

結局、この日の仕事は案外に早く終わった。

98 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:44

☆  ☆  ☆

99 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:45

控え室に戻る。

ガキさんは、ゆったりした動作で着替えながら、後藤さんの言葉を反芻していた。
そう、わたしは安倍さんが大好き……間違ってない……とても好き。

おつかれさま〜と言って、飯田さんが一番先に出て行った。
戸口から出しなにガキさんの顔を見て、にっこり微笑んだのは何だったのだろう? 
コツコツというヒールの軽快な音だけが後に残った。

ガキさんは脈絡もなく、移動のときに目にした夕空が綺麗だったな、と思う。

100 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:46

安倍さんは、部屋の反対側でまた小春と話している。眩しいような笑顔。
身繕いを終えたガキさんは吸い寄せられるように、そちらに近づいて行った。

101 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:47

「安倍さん」
「ん?」
「明日は早いですか?」

いやぁそうでもないけど、と安倍さんはガキさんに笑いかけた。あの特徴的な「なっちスマイル」だ。
躊躇いなく何かを跳び越すようにガキさんは言った。

「予定なかったら晩御飯食べに行きませんか」

102 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:48

安倍さんは、おー珍しいね行こう行こうと快諾してくれた。ガキさんは、自分の頬がぽうっと染まるのを自覚した。

「小春も行くぅ〜!」
「今日ぐらい早く帰りなさい。ここんとこ遅かったんでしょ。ちゃんと学校行ってる? 安倍さん心配だよ」

はしゃいだような声を上げた小春に対し、安倍さんは優しく諭した。そしてガキさんに向き直り、

「なっちもねぇ、ガキさんに話したいことがあったの。今日はちょっと大人の会話しようか」

と言った。

103 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:49

後藤さんが声をたてずにアハハハと笑い、小さくガッツポーズをしている。

104 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:49

☆  ☆  ☆

105 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:50

ガキさんは、モーニング娘。誕生10年記念隊が大好きだ。

106 :ガキさんの憂鬱:2007/07/17(火) 02:51
「ガキさんの憂鬱」 了

107 :朝妙楼崇安:2007/07/17(火) 02:53
ちょっとコピペを失敗してしまいました。笑ってやって下さい。

長い会話文の書き方は一考の余地がありますね。

108 :名無し娘。:2007/07/17(火) 20:20
悪くない
いや
素晴らしい

109 :朝妙楼崇安:2007/07/18(水) 14:47
>108
レスありがとうございます。
反応があるのって嬉しいものですね。お誉めいただければ尚更です。

次のレスは自語りです。
作者の語りが不愉快な方は、あぼーんを推奨します。
 ↓

110 :朝妙楼崇安:2007/07/18(水) 14:56


「ガキさんの憂鬱」は、モーニング娘。誕生10年記念隊がらみのグラビアで、
「イタヅラしちゃダメでちゅよ」の写真http://harunacci.axisz.jp/cgi/source/angel8_14853.jpg
それなどをめぐる狼の書き込みなどから思いついた話です。

ガキさんが小春ちゃんにヤキモチを焼くという状況はすぐに思い浮かんだのですが、
どうやってそれを結末にまで持っていくのかが、なかなか思いつきませんでした。

クールなように見えて、人懐っこい笑顔を持っている後藤さんを思い出したのは幸いでした。
それに後藤さんはゲスト出演したラジオで、「(娘。にいたころ)一番仲がよかったのはなっち」
と言ってくれたことがあるのも思い出しました。とっても古い話ですがw

書き始めたときには、飯田さんがこうなるなんて、想像もつかなかった。

111 :名無し娘。:2007/07/19(木) 00:51
ttp://tvstation.jp/special/guest/07/07/morning10_tsujo.jpg

112 :朝妙楼崇安:2007/07/19(木) 01:17
>>111
  _, ,_ 
( ・e・)

113 :名無し娘。:2007/07/19(木) 23:43
>>111-112でオチまでついたなww

114 :朝妙楼崇安:2007/07/30(月) 16:09
「ほぼ突然」が更新されていますね。好きな作品なので嬉しいです。

115 :朝妙楼崇安:2007/08/15(水) 20:58
ノノ*^ー^)<ねえガキさん、ライオンとトラはどっちが強いんですか?

( ・e・)<カメ、またその手の質問なの?

ノノ*^ー^)<だって興味ありませんか?

( ・e・)<まあ気持ちは分からないでもないけど

ノノ*^ー^)<やっぱり百獣の王ライオンですかねー?

( ・e・)<あのねカメ。そういうのは安倍さんと後藤さんのどっちが凄いか、みたいなもんなの

ノノ*^ー^)<は?

( ・e・)<そもそも歴代モーニング娘。メンバーの中で安倍さんと後藤さんはずば抜けた存在で、
      それぞれに個性、魅力があんのよ。どっちがどうとかじゃなくてね…………


*その後ガキさんは、マジヲタモードで延々一晩中話し続けたという

116 :朝妙楼崇安:2007/09/01(土) 16:03
9月ですね。
いくら更新は頻繁ではないと最初から言ってはいても、
そろそろ何か書かなくては。

ちょっと思いついたことがありますので、考えてみることに致します。

117 :朝妙楼崇安:2007/09/28(金) 16:32
さしみ賞に気を取られていてこっちがお留守になってしまいました。
それほどたくさん書いたわけじゃないですが。

118 :朝妙楼崇安:2007/11/27(火) 23:42
ノノ*^ー^)<ねえガキさん、宇宙人と幽霊ってどっちが強いんですかね?
http://ex23.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1195890640/

反射的にスレ立てしてしまいました。
しょうがないので(?)、ちょこちょこネタ書いてます。
よろしかったらお立ち寄り下さい。

それよりこのスレに何か書かなきゃなあ…。

119 :朝妙楼崇安:2008/01/01(火) 23:55
あけましておめでとうございます。

放棄する気はなくて
まだ何か書きたいと思っていますが
いいアイデアがなかったり。

120 :名無し娘。:2008/02/29(金) 07:38
あれ?

37KB
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