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ときめきモーニング Act.2

1 :サボリン:2004/05/10(月) 15:07
 
 普通の高校2年生であった□□○○は転校を一ヶ
月後に控えたある日、 ひょんなことから暴走族の抗
争に巻き込まれる。藤本、後藤、松浦が率いる族同
士の3つどもえの争いに.巻き込まれた○○。彼女た
ちが追っているのは さゆみんという特別な能力を持
つファティマであった。



                     後藤と○○の協力を得て.さゆみんを獲得したか
                   に思われた藤本、 しかし手に入れたのはえりりんと
                   いう別のファティマであった。 どさくさに 巻き込まれ
                   る中、藤本の部下紺野とえりりんに.自宅を占拠され
                   た○○は、 えりりんの秘密を知って 驚くのであった。
                     そんな折、 クラスメイトの石川、後輩の高橋と親
                   しくなった○○は.飯田という生徒会長の経営する喫
                   茶店「北風」で不思議な噂を耳にする。
                    一方、安倍にボコられて気が立っていた矢口はひ
                   ょんなことから.小人化し、 ○○に助けを求めてくる。
                   中澤に助けを求め収束を見た矢口だったが、 安倍
                   と矢口の闘いは続くのであった。



  落ち着く暇もないまま、 ○○は辻加護の麻薬取引
の現場に立ち会うことに。 .関東を占める斉藤組の事
務所に向かう辻加護石川○○。そこに現れた真のボ
スは先日別世界で殺したはずの松浦だった!
 松浦の情けでなんとか5千万もの大金を手にした辻
加護。しかし高橋の裏切りにより大金を奪われる。高
橋と共に辻加護に追われる○○は、海外逃亡を企て
るが、湯治に行く途中の中澤矢口につかまってしまい、
越後湯沢までを共にする。 辻加護に居場所をつかま
れた高橋は偽のバッグを渡してごまかそうとする。 .し
かし、そのバッグを持って逃げたのは中澤矢口であっ
た。 ここでも加護、中澤、高橋の三つどもえの闘いが
始まっていた。
 

45 :サボリン:2004/05/28(金) 23:25
 
・・

「先輩っ!!」
「えっ?」
「絵里が当てたんですよっ、すごいでしょ!?」
「…うん、すごい」
「んもう、…もっと喜んでくれると思ったのに…」 しゅん。

「あ、ごめん、驚いてボーっとしちゃっただけ、
 ホント絵里ちゃんすごい、ありがとう!」
「…えっへん、絵里のおかげだぞっ!」
「はっ、ありがとうございますっ、
 絵里さま、いえエリザベスさまーっ!!」ペコリ。
「うふ、よしよし。」
「ははーっ」ペコリ。

「ふふ、…じゃ先輩、賞品は何にします?」
「そうだな…ノートPCをもらってそれを…」
「あのー、すみませんお客様、一等の賞品なんですが、
 先に出ちゃったのがあって、もう一個しか残ってないんです…」
「え?、…というと?」
「インターコンしか残ってないんです、すみません…」
「あ、…例のいんた〜こんこん。。」
「……」

「よろしいでしょうか?」
「…あ、はい」 …宿泊券か。。うまくさばけるかな。。
「……」モジモジ。
「二等の仔犬ならまだ残ってますけど、それにしますか?」
「いえ、いんたーこんで結構です!」
・・・犬なんて宿泊券より売るの難しいよ。。

「はい、ではどうぞ、こちらになります
 お二人でごゆっくりお楽しみ下さいませ〜」パサッ。

「あ、どうも…」
それにしても、ませた女の子だな。。
と、絵里ちゃんが横で真っ赤な顔をしてうつむいていた。
「……」 かーっ。。

・・・あ、なんかすごい勘違いしてる。
オレはそんなやましい気持ちはないぞ。
これを売って三人で分けようとしてること、ちゃんと説明しないと。。
 

46 :サボリン:2004/05/28(金) 23:26
 
「絵里ちゃん、実はオレ藤本と…」
「えっ!」
急にビックリして離れる絵里ちゃん。。
「え、絵里ちゃん?」
「……」 かぁぁーっ。。
「さっきの券なんだけどさ、オレ藤本と…」

「もういいですっ!」
「…え?」
「ごめんなさい、絵里…一人で勘違いしちゃって…
 恥ずかしい…、先輩には…藤本さんがいたんですね…」
「…え?、なんのこと?」
「あの…、失礼しますっ!」 ステテテ ピュー…
「ちょっと待…」

絵里ちゃんは急にすごい勢いで走って、角を曲がっていった。
オレは慌てて追いかけたが見失ってしまった。
体育祭の女子800M走で2位になっただけあって速いな。。

「絵里ちゃん…」
・・・・絶対勘違いしてる。しかも二重に。。どうしよう。。
説明するにも、あの様子じゃこっちの話を聞かせるのに一苦労しそうだ。
しばらくして落ち着いてから話すか。

…とりあえず家帰って相場調べてヤフオクで売るか。。



・・



と、家に帰ってもらった宿泊券を見てみると、、
なぜか日にちが指定されてあった。。六月二日だ。。

・・・んな、あと四日しかないじゃん。…無理だ。
こんな急な出品で、しかも日にち指定の宿泊券なんて
買ってくれるヤツは到底いそうにない。。
…ダメだ。。オレはもう出品を諦めてベッドに横になった。

・・・こんなことなら仔犬でももらっとけば良かったかな。。

 

47 :サボリン:2004/05/28(金) 23:27
 



・・




ボーっと過ごすうちに四日経ち、六月二日になってしまった。

オレはとぼとぼと一人で学校から帰る途中。。


…あれから絵里ちゃんは朝の登校中に姿を見せない。
会ったらこの前のことを話そうと思ってたのに、
もしかして避けられてるのだろうか。。
そろそろこっちから連絡して説明しなきゃダメだな。。

そう言えば藤本も学校に来てなかった。
また捕まってんじゃねーだろーなぁ。。

…それよりも、悔しいのはこの宿泊券だ!
結局さばくこともできず、一緒に泊まるような相手も見つからず、、
あと数時間で10万相当の宿泊券が水泡に帰すわけだ。。
一人で泊まるか?・・・・って、つくづく自分が嫌になってきた。。


なんてことをたらたら考えてるうちに家に着いた。。

ふとポストをのぞいて郵便物を取り出すと、
オレ宛のピンクの封筒を見つけた。。絵里ちゃんからだ。
ん?、切手が貼ってないところを見ると直接持ってきたみたいだな。。

 ビリビリ。 パラリ…

 

48 :サボリン:2004/05/28(金) 23:28
 

『 □□先輩へ


  この前は本当にすみませんでした。
  先輩が藤本さんとつきあってるなんて全然知らなくて
  今まで馴れ馴れしくしてごめんなさいです。

  でも、絵里もいろいろ大変で、冷静になれなかったんです。
  実は、絵里、お見合いをするんです。
  亀井工業所(お父さんの会社)の経営が苦しくて、
  今どき、政略結婚させられそうなんです…。
  お父さんは「会うだけ会ってみなさい、会って嫌なら断ればいい」
  と言ってたけど目は真剣でした。絵里は断りたかったけど、
  お父さんに「つきあってる人でもいるのか?」ときかれて、
  なんにも言えなかった。

  …そのとき、頭に浮かんだのは先輩の顔でした。

  絵里はやっぱり先輩のことが忘れられません。
  絵里は先輩のことが好き。
  先輩は絵里にとってエアコンみたいな人…。

  わがまま言ってすみません。
  絵里にはまったく希望なしですか?

  もし、少しでも希望があるなら、絵里を迎えに来てくれませんか?
  絵里はやっぱり知らない人と結婚するのは嫌なんです。
  パンパシフィックホテル横浜の「おしどり」というお店で
  今日の7時から相手の人と会うことになってます。

  P.S. 急いで手紙を書いたのでまとまってなくてすみません。
      もしこの手紙を読んだのが7時以降だったら気にしないで下さい。
      先輩がこの手紙を読むか読まないかは、運にまかせたかったのです。


                                           絵里より 』

 

49 :サボリン:2004/05/28(金) 23:29
 

・・・ぬァんだってェエ!!

お見合い!?
しかも今日の7時って…あと2時間もないじゃん!!

絵里ちゃん、、そんな事情があっただなんて。。
……オレのことをそんなに想ってくれていたなんて。。

応えてやらなきゃいけないよな。。
でも、お見合いをしてる所に迎えに行くってことは
絵里ちゃんのお見合いをぶっ壊すってことで、、
行くからにはそれなりの責任をとらないといけないよな。

オレは絵里ちゃんのことは好きだけど
お見合いをぶっ壊して絵里ちゃんの将来を変えてもいいほどに
好きなんだろうか。。

いい加減な気持ちで迎えに行くなら行かない方がましだろう。。


と、短時間にいろいろ考えていたとき、

プルルルー と携帯が鳴る。 藤本からだ。。

「もしもし?」
「……」
「…どうした?、藤本?」
「……っ…○○ぅ〜」
なんだか声が震えている。…泣いてるみたいだ。。

「…どうした?、大丈夫か?」
「…○○ぅ、ごめん…、いつも迷惑かけて…」
「なに言ってんだよ、またつかまったのか?」
「…ちがうよ、お母さんが…」
「…ん?」
「美貴は…、……ヒクッ、…いない方がいいのかな…」
「なに言ってんだよ、そんなことない、しっかりしろ!」
「…美貴は、やっぱ○○がいないとダメだよ…」
「……藤本…、…今、どこにいるんだ?」
「……横浜…駅」
「横浜駅のどこ?」
「真ん中らへん…」
「わかった、すぐに行くから待ってろ!」ブチッ。
 

50 :サボリン:2004/05/28(金) 23:30
 
藤本の様子が明らかにおかしかった。
…なにがあったんだろう。。
あんなふうに泣いてる藤本なんて見たことない。…バタン!

オレは急いで家を出て駅に向かった。

はぁっ、はぁっ。

・・

…電車を乗り継いで京浜東北線に乗って、一息つく。。


…しかし、なんでみんな横浜なんかにいるんだ。。みんな…?
・・・って、あーっ、絵里ちゃんのことすっかり忘れてた!


…どうしよう。

藤本と会ってたら完全に絵里ちゃんのお見合いには間に合わない。
ていうかそもそも、藤本と会ってから行くとか、
そういうあいまいな気持ちで迎えに行くべきじゃない。
絵里ちゃんの真剣な気持ちは文面から十分に伝わってきた。

藤本にしたって、なんか大変なことがあって、
それなりに考えた末にオレを頼ってくれたんだろう。

だからオレも今、
真剣な気持ちで、絵里ちゃんか、藤本か、
どちらか一人を、責任を持って選ぶべきなんだっ!!


…あと20分で横浜駅に着く。…今のうちに心を決めておかなきゃ。

どうしようか。。





         【1】 絵里ちゃんを迎えに行く!

         【2】 藤本を迎えに行く!

 

51 :名無し娘。:2004/05/28(金) 23:48
2で。

52 :名無し娘。:2004/05/29(土) 01:08
1de

53 :名無し娘。:2004/05/29(土) 03:22
1

54 :名無し娘。:2004/05/29(土) 08:24
2

55 :名無し娘。:2004/05/29(土) 18:13
1

56 :名無し娘。:2004/05/29(土) 19:46
1

57 :名無し娘。:2004/05/29(土) 20:11
1

58 :名無し娘。:2004/05/29(土) 22:53
2

59 :名無し娘。:2004/05/30(日) 00:05


60 :名無し娘。:2004/05/30(日) 00:42
1

61 :名無し娘。:2004/05/30(日) 00:43
いち

62 :名無し娘。:2004/05/30(日) 12:26


63 :名無し娘。:2004/05/30(日) 17:17
2

64 :名無し娘。:2004/05/30(日) 17:25


65 :名無し娘。:2004/05/30(日) 18:33


66 :名無し娘。:2004/05/30(日) 21:48


67 :名無し娘。:2004/05/30(日) 22:50
1

68 :名無し娘。:2004/05/31(月) 01:11
2ニィ

69 :サボリン:2004/05/31(月) 12:33
1でいきます。。

70 :名無し娘。:2004/05/31(月) 23:08
2

71 :サボリン:2004/06/02(水) 22:10
 
よし、決めた。
絵里ちゃんを迎えに行こう!

オレはそう決意し、ドアの前に突っ立って流れる景色を見た。
ビルやマンションが沢山建っている…。
この中にはたくさんの人がいて、いろんな人生を背負って
それぞれが夢や目的を持ってみんな必死に生きてる。
なんでこんなにたくさんの人がいるんだろう。

こんなにたくさんの人の中から
絵里ちゃんや藤本と知り合えたなんて奇跡だ。運命なんだ。。

…でも、オレが今絵里ちゃんを選んだのは運命じゃない。
いや運命かも知れないけど、オレが自分で選んだ新しい運命だ。

・・・そんなことをボーっと考えながら電車に揺られ、、
横浜が近づいてきた。。パンパシフィックホテル横浜は
一駅先の桜木町で降りた方が近いみたいだ。

・・

横浜駅について電車が止まり、ドアが開く。

プシューゥゥ。

・・・と、正面のホームに藤本が立っている。。

「あっ、○○っ!」 スタタタ。
満面の笑みで藤本が駆け寄ってくる。

「…藤本」

「ありがと、来てくれて、
 …って、なに突っ立ってんの?」

「藤本、ごめん、
 オレ、これからどうしても絵里ちゃんに会わなきゃいけないんだ」

「えっ、どういうこと?」

「…ごめん」

 ぱりらぽんぽん ぴらりらりらぽんぽん…

間抜けな音楽が発車を知らせる。

オレが電車を降りない様子を見て藤本の顔色が急に沈んだ。
 

72 :サボリン:2004/06/02(水) 22:10
 

「藤本…オレ…」

「…ふふ、…あっはははっー、ひっかかってやんの!
 あんなのウソだよ、ハハ、なに真剣な顔してんだよバカ!」

「…?」

「暇つぶしにからかってやろーと思ったのによー、
 ハハ、…用があんならいいよ、またな○○!」ニッ。

「藤…」

  プシュゥゥゥ… ガシャン!

ガラス越しに見える藤本の調子づいた笑い顔。

でも眼は泣いてるように潤んでオレを見ていた。

オレも藤本の目を見返す。

電車が走り出してしばらくすると、
藤本は目をそらし、逃げるように階段に消えていった。。


…藤本。。…すまん。
やっぱオレたちは恋人みたいな関係は似合わないよ。
お前の痛みはわかるけど、それをオレが背負ったら
お前はお前じゃなくなっちまう。

オレは絵里ちゃんを選ぶ。
今度会うときは、また気軽にバカ話しようぜ、藤本。。
 

73 :サボリン:2004/06/02(水) 22:11
 

なんて考えてるうちに桜木町に着いた。
駅前の地図をたよりにホテルまで走り出す。

なんだか妙に人混みができてて、右に左に人を避けながら走った。

・・

ホテルに入ると一階に「おしどり」はすぐに見つかった。

「いらっしゃいませ」

「…あの、亀井といいますけど、少し遅れまして…」
「はい、亀井様ですね、
 別室で皆様お待ちでございます、どうぞこちらに」

…うまく、兄貴と間違えられたようだ。

「こちらです」ススス…

案内された部屋に入ると、一同の視線がオレに集まる。

「…なんだねぇ、君は!」

「…絵里ちゃん」

「……先輩っ!」 しゅた。
和服姿の絵里ちゃんが立ち上がってこっちにくる。

「こらっ、絵里!、…ん〜君は誰だっ、失礼な!」
絵里ちゃんのお父さんらしき人に怒鳴られる。
 

74 :サボリン:2004/06/02(水) 22:11
 
「□□○○と言います、絵里さんを迎えに来ました」
「なにィ、迎えに来ただとぉ、…貴様、絵里とどういう…」
「お父さん、絵里さんは道具ではありません、
 絵里さんには絵里さんの人生があると思います」
「な、なにィ、貴様、わかったようなことをぬかしおって!」ガタッ。
と、お父さんが立ち上がる。

「パパ、やめてっ!
 この人は絵里の好きな人、絵里を迎えにきてくれたの!」
「お前は黙ってろ!」
「あなた、絵里の話も聞いてみたら?」
「ええぇい、黙れ黙れっ!」ブンブン。
お父さんは仲介に入るお母さんにとりつく島も与えず、
声を震わせてかぶりを振った。

「…お父さん、もっと絵里さんのことを考えてあげて下さい」
「…っ、貴様にお父さんと呼ばれる覚えはないっ!
 せっかくの見合いを台無しにしおって、叩きだしてやる!」
グイッ、とオレの襟元をつかみ拳をあげるお父さん。。
オレは殴られるのを覚悟した。

「やめてっ!」 ドンッ。

「うわっ!」 ドシン。

絵里ちゃんのタックルでお父さんが吹っ飛んで壁にぶつかった。

「…絵里、お前」
 

75 :サボリン:2004/06/02(水) 22:12
 
「そんなに会社が大事なの!?、…いつもいつも、会社会社って、
 パパにとっては絵里よりも会社の方が大事なんじゃない!」

「…そんなことはない」
「だったら、絵里の話を聞いてよ…
 絵里はこの人が好きなの!、絵里は…この人と結婚したい!」
「…本気なのか、絵里…?」
「…うん」
絵里ちゃんは涙を流しながらも強い眼でお父さんを見つめて肯いた。

「……君は、君はどうなんだ?」
「僕も本気です、お父さんと同じように僕も今、
 絵里さんの人生を動かそうとしています、
 絵里さんが僕についてきてくれるなら、
 責任を持って絵里さんを幸せにします!」
「……先輩」ぽゎぁ。

「………」

「……わかった、娘はくれてやる、
 …そのかわり、一度でいい、
 …うばって行く君を、…君を殴らせろっ!」


  ボ カ ッ !!


「ぐげっ!」 ドシン!

・・・痛ってーーっ、、結局殴るのかよっ!!

「先輩っ、大丈夫!?」スタタ。
「…ああ、でも良かったね、絵里ちゃん、
 お父さんが許してくれて…」
「うん、ありがとう先輩、ありがとう」
と言って絵里ちゃんはオレに抱きつきながら涙を流した。
 

76 :サボリン:2004/06/02(水) 22:13
 

「さ、絵里ちゃん、行こう!」
「はい!」

 「あ、こら待て、どこへ行く…」


シュタタタ。。二人はお父さんを振りきって店を出た。。


外に出てみると人混みはさらに増えてごった返していた。
何やら祭りをやってるようだ。垂れ幕には「横浜開港祭」と書いてある。
近くのバンドがサウンド・オブ・サイレンスなんかをコーラスしてた。

「う〜ん、人がいっぱいだね」
「はい、…あの…絵里、着物だからどっかで休みたいです…」
「あ、そうか…」
絵里ちゃんは慣れない着物を着て走って疲れてしまったようだ。
…勢いで店を出てきちゃったけど、無理があったかな。。

と、絵里ちゃんが急に立ち止まる。

でかいビルが目の前に見える。・・・変な形のビルだな。
なになに、…ヨコハマグランドインターコンチネ…〜、、

「こ、これが、いんた〜こんこんか…」 でーん。
「……」
「あ、そうだ、例の券、今日のだったんだ!」
「……」
「…あ、…絵里ちゃん、この前のはホント誤解だよ、
 あの福引き券に藤本の分も混じってたってだけだよ
 だからホントは賞品を売って3等分しようとしてたんだ」
「…なんだ、そうだったんですか、
 じゃ、藤本さんとはつきあってなかったんですか?」
「うん、全然」
「あは、よかった!」
「ハハハ…」

「……」
「………」

「…せっかくだから入ろうか?、宿泊券もあるし…」

「……はい」

 

77 :サボリン:2004/06/02(水) 22:14
 

オレと絵里ちゃんは恐る恐るホテルに入った。


カウンターに宿泊券を出して説明すると普通に部屋に案内された。
どうやら部屋まで指定されていたようだ。。

「こちらになります、…夕食は各階の……
 ……、………、非常口……、では、ごゆっくりお過ごし下さいませ」

 バタン。

ボーイさんが部屋を出て行って二人だけになった。

「うわぁ、すごーい、先輩、すごーい!」
「…ああ」

・・・確かに凄かった。だてに一泊10万もしてるわけじゃないな。。

24階、ハーバースイート…、
リビングルームとベッドルームにバスルームがあって、とにかく広い。
ベッドルームの窓際には一段上がったステージがあって横浜港を見渡せる。
家具や飾りも豪華で、オシャレな観葉植物が飾ってあった。。

「素敵…、絵里…、こんなの初めて…」 そわそわ。

「キャハ!、ベッドもふかふか!」 ボフン。

「絵里ちゃん、こっちに来てみなよ、海が見えるよ」

「ホント…、きれい…」

日の落ちた横浜港に船が並び、対岸の街の灯りが海を照らしていた。
二人は寄り添って横浜の海を黙って見ていた。。
 

78 :サボリン:2004/06/02(水) 22:15
 
と、何故かいきなり花火が始まった。

 ひゅぅぅ〜ん、 バン! ババン!

「…花火、、…え?どうして?」
「…そういや、なんか祭やってたからそれでかな…」

 ひゅぅぅ〜ん、 バン! バン!

「きれい…」
「…うん」
花火を上から見るのなんて初めてだ。。

 ひゅぅ〜ん、 バン…

「…夢みたい」
「…夢じゃないよ」

そう言って二人は向き合った。
花火が絵里ちゃんの瞳に映って綺麗だ。
絵里ちゃんは瞳を閉じて唇をすぼませる。。

「…真面目にキスしていいの?」
「んもう、先輩、ムードを知らない人ね」キッ。
「…ハハ、ごめん」スス…
「…ぁ」
オレは絵里ちゃんに優しくキスをした。

軽く舌を入れてみると、
「…ぁ」
と、小さな声をあげて絵里ちゃんが驚く。
いったん離れて絵里ちゃんの顔を見ると
酔ったように目をつぶって口をだらしなく開けていた。

「ハハ、八重歯がかわいいね」
「…ぇ?」 ぱち。
「…ここの八重歯…」 ちゅ…
「…ぁ」
オレは再び絵里ちゃんにキスをした。

ムードに酔ったのか、今度は絵里ちゃんも舌を入れてきた。。
 

79 :サボリン:2004/06/02(水) 22:16
 
「先輩…、着物、…脱がせて…」
「…うん」

そう言えばさっきから帯が邪魔をしていて抱きにくかった。。
絵里ちゃんの背中にまわって苦労して帯をほどく。

帯がスルスルと重みで落ち、着物を脱いで襦袢姿になった絵里ちゃん。
密かに「お代官さまーっ」っていうのをやってみたかったのに。。

…白の襦袢姿の絵里ちゃんは、、なんかホントに結婚初夜って感じだった。

「うふ、恥ずかしー」ふわっ。
と、絵里ちゃんはベッドにもぐって見えなくなってしまった。。

「こらっ、待て」
オレは反対側からベッドにもぐりこむ。
手探りで絵里ちゃんを探して襦袢をつかむ。 もそもそ。
「やっ!」
「ハハ、つかまえた」 ふぁさ。
「……」

ベッドの中で絵里ちゃんと見つめ合った。。

「先輩、絵里のこと、好き?」
囁くような声で絵里ちゃんが言う。
「…うん」

「…ちゃんと言って」
「…オレは絵里ちゃんが好き。」
そう言ってまた絵里ちゃんにキスをした。すると、

「やさしく、…してね」
と言って、絵里ちゃんはスルスルと襦袢を脱ぎ始めた。
「…うん」と、オレも服を脱いで絵里ちゃんの横に寝た。
 

80 :サボリン:2004/06/02(水) 22:16
 
やさしくキスをしてから静かに首筋へ唇をずらす。
「…ぁ」
脇の下から乳首へなぞって指を這わせると、
生き物のように胸がびくっと弾んだ。
「…ぁ」
「…絵里ちゃん、綺麗だよ」
「……」 かぁーっ。

やさしく乳房を手のひらに含むと、早鐘のような心臓の鼓動が伝わってくる。

お腹から股関節に沿って徐々に下部に手を伸ばす。。


 ………。


「…いくよ?」
「…うん」

 スス…

「…ぁ」

 ススス…

「…あっ!」

「大丈夫?、痛い?」

「はぁっ、…ううん、大丈夫」
「…無理するなよ?」
「大丈夫だからっ、…っ、…先輩、ちゃんとやって!」

 「うん…」


  ……。


「…ぁ、…ぃ」

「はぁっ、…はぁっ」

  「…ぁ、…ぁ、…ぁぁぁ!」

     「…はぁっ、はっ、…ぅっ…」 …。

                「……ぁっ…」 ……。
 

81 :サボリン:2004/06/02(水) 22:18
 

「…ふぅ」 ボフッ。。



・・



「……先輩、気持ち、良かった?」 しなっ。

「…うん、…絵里ちゃんは?」
「…うん、あったかかったよ…」
そう言って舌を少し出して笑う絵里ちゃん。。

力の抜けた笑顔がたまらなくかわいい。
汗で少し濡れた髪が顔にかかっている。

オレは絵里ちゃんの上に乗っかって、
腕を立てて上から顔を見ながら髪をなでた。
ハハ、意外におでこが出てるんだな。。

「…不思議、前にもこんなこと、あったような気がする」
「…うん、オレも」

「先輩…、ううん、…○○っ!
 ……絵里のこと、大切にしてね」

「ああ、…絵里、…好きだよ」

そう言ってまた、オレは絵里ちゃんにキスをした。。




・・




 

82 :サボリン:2004/06/02(水) 22:19
 


・・・・朝だ。。


・・・あのまま、オレも絵里ちゃんも裸のまま眠ってしまったみたいだ。

オレは絵里ちゃんを起こさないようにベッドを出てシャワーを浴びた。

出てきてバスローブを羽織って髪を乾かしていると
絵里ちゃんがむくっと起きあがる。

「・・・あ、先輩、おはようございます」 むにゃ。
「うん、おはよう」

「あーっ、もうお風呂入っちゃったんですかーっ!」
「うん?」
「もーっ、一緒に入ろうと思ってたのにっ!」ぷん。
「…あ、ごめん」
「絵里を置いてけぼりにして先にお風呂はいるなんてムードない!
 …起きたときに横にいて、チュッってして欲しかったのにーっ!」 ムキーッ。
「チュッって…、…朝は口臭いよ?」
「んもういい!」スタスタ。

そう言って絵里ちゃんはバスルームに消えていった。
 

83 :サボリン:2004/06/02(水) 22:19
 
一時間ほどしてやっと絵里ちゃんが出てきた。

「・・・お風呂もすごかったねーっ、
 バスローブも気持ちいーし、ちゃいこーっ!」 ボフン。
と、絵里ちゃんはベッドに倒れ込んだ。・・・のぼせたのか?

「絵里ちゃん、朝飯どうしようか?
 こういうところで頼むとバカ高いだろ?
 散歩がてらにコンビニまで買いに行かない?」 ふぁさ。
「えーっ、ちょームードなーい、
 こんな豪華なホテルに泊まってるのにコンビニで朝ご飯?」 むくっ。
「だってさ、高いだろ?」
「絵里はホテルのモーニングコーヒーが飲みたいよー」 くねっ。

「…うにゅう。。」

・・・なんか絵里ちゃん、いきなりわがままになったな。
絵里ちゃんは藤本とは違うと思ってたのに
内面は同じ性質があるような気がしてきた。

このまま将来も尻に敷かれるような悪い予感がしてきた。
ここは男の方に指導権があることをビシッとわからせるべきか、
それとも絵里ちゃんの言うことをきいてやるか。。

どうしよう。。




1 コンビニですませる。
2 ホテルの朝食を頼む。
 

84 :名無し娘。:2004/06/02(水) 23:50
昔のときモニを読んでた者なんだが、まだやってるのかと思って覗いてみたら全然違う路線でビビったw
でもこっちのほうがずっとおもしろい。サボリンがんばってくれ

2

85 :名無し娘。:2004/06/03(木) 09:16
>>75

「……わかった、娘はくれてやる、
>  …そのかわり、一度でいい、
>  …うばって行く君を、…君を殴らせろっ!」


親父の一番長い日ワロタ

2で。

86 :名無し娘。:2004/06/03(木) 12:24
2de

87 :名無し娘。:2004/06/03(木) 14:06
おねだりされたら勝てませんっ
ってことで2

88 :名無し娘。:2004/06/03(木) 14:35


89 :名無し娘。:2004/06/03(木) 17:42
2

90 :名無し娘。:2004/06/03(木) 22:09
2ニィ

91 :名無し娘。:2004/06/05(土) 17:01
ttp://noid.s43.xrea.com/apuroda/img/up3893.jpg
この画像見たら何故かこのスレを思い出した

1で

92 :名無し娘。:2004/06/07(月) 22:48
2

93 :名無し娘。:2004/06/08(火) 14:25
2

94 :名無し娘。:2004/06/08(火) 19:53
2でお願いします。

95 :名無し娘。:2004/06/09(水) 20:49
2

96 :サボリン:2004/06/09(水) 21:58
 
「しょーがねーなぁ、ホテルの頼むか…」
「やったぁー、○○大好きっ」 ボフッ。
「あ、冷てっ、濡れた体で抱きつくなっ」 にげ。

「……んぅー。」 ショボーン。

絵里ちゃんは口をとがらせて拗ねている。

「いや、だって服が濡れちゃうじゃん…」
「…ふん」と、そっぽを向く絵里ちゃん。

「…悪かったよ、なんでも頼んでいいから機嫌なおして」
と、オレは後ろからバスタオルで絵里ちゃんの髪の毛を包んだ。 ぽんぽん。

「…ふん」

と言いながらも、絵里ちゃんはメニューをとって楽しそうに選んでいた。
その間オレは必死に絵里ちゃんの髪の毛を乾かしていた。。


・・


注文が決まったようで、絵里ちゃんがフロントに電話をかける。

「……、……あれ〜、でないよ?」

「…間違えたんじゃないの?」
「そんなことないもん!」
「ちょっとかして」カチャ。


 ピコピコ……、ピピ…、 ………、 ……、


「・・・ホントだ、出ないな」

・・・どっかの安い民宿じゃあるまいし、
フロントが出ないってどういうことだ?

……その後2回かけ直してもフロントには通じなかった。
 

97 :サボリン:2004/06/09(水) 21:59
 

「しょうがねーな、ちょっと見てくるよ」
「うん」
「なんかあったのかもしれないな、もしかしてテロとか…」
「やだ…」
「ハハ、冗談だよ、ちょっと待ってて」

 バタン。  シュタタタ…



・・・と、フロントに着いたものの、、…誰もいない。。


   シ ー ン 。


…おいおいどーなってんだ?
…まさかマジでテロじゃねーだろーな。。

オレは様子を探ろうと恐る恐るホテルの外に出た。



      し ぃ ー ん …



・・・静かだな。。

ハハ、都心の朝は意外に落ち着いてるもんだな。。

…って、んなわけねー!!

平日朝8時の横浜に、人っ子一人いない、
車一台通らない、、ぜってーおかしい!!
昨日だって祭りであんなにたくさん人がいたのに!!


・・・夢でも見てるんじゃないか?そうなのか?

もしかして、昨日絵里ちゃんと寝たのも、あれも夢??

…いや、そんなはずはない!

・・・はっ、絵里ちゃん!

オレは急に絵里ちゃんが心配になってホテルの部屋に戻った。
 

98 :サボリン:2004/06/09(水) 22:00
 

 ガチャ。

「絵里ちゃん?」


   シ ー ン 。 。


「…絵里ちゃん?」スタタ。

「絵里ちゃん!?」バサッ。

「…絵里ちゃん…」コト。


・・・絵里ちゃんがいない。。


「絵里ちゃァーん!、どこいったンだよォ!?」



・・


オレは必死になってホテル中を走って探した。

が、1時間経っても絵里ちゃんは見つからず、

力尽きてロビーのソファーに倒れ込んだ。 バタッ。


・・・コレは夢だ。・・・やっぱり夢なんだ!

…とは言うのもの、腹が減った。。ぐぅ。
昨日の夜からなんにも食べてない。

・・・夢なのに腹が減るなんておかしいな。。

 

99 :サボリン:2004/06/09(水) 22:00
 
…オレはフラフラと外へ出て、駅前のコンビニに向かった。

カラカラン

コンビニまで歩いてくる途中も誰もいなかった。
コンビニに入ってももちろん誰もいない。

オレは無言でおにぎりを手にとって、
その場で開けてもぐもぐと食い始めた。。

と、外の通りに人影が見える!

赤いランドセルを背負った女の子が歩いていく。。

・・・ガタッ。

「…待って!、ちょっと待って、そこの女の子!」

オレは慌てて店を出て女の子をひきとめた。
女の子は歩みを止め、ゆっくりと振り返った。


「……」


道路の真ん中に突っ立って、無表情でオレを見つめる女の子。
……どっかで会ったような、、

「あっ、君、福引きの時にいた女の子でしょ?」
「…ふふ」

「小学生だったんだ…、
 はっ、…そんなことより、何が起きたのか知ってる?
 人が誰もいないんだけど?」
「…ふふ」
女の子は笑うだけで答えようとしない。
胸につけた名札には「村上愛」と書かれている。

「ねぇ、えーと、アイちゃん?」
「メグミです」
「…あ、ごめん、メグミって読むんだ…」
「……」
 

100 :サボリン:2004/06/09(水) 22:01
 
「ねぇ、なんで人が全然見あたらないのか知ってる?」
「それを知ってどうするの」
「えっ?」

「何故人がいなくなったのか
 その理由が分かれば安心できるの」
「そういうわけじゃなくてさ…」

「人は皆理由を知りたがる
 理由を知れば安心できる
 理由を知れば生きていける」
「……」
「生きているのは何のため
 神のため夢のため真理のため
 しかしそれらは全て無根拠な幻
 それらは人が生きていくために必要な
 一種の誤謬にすぎない」
「……?」

「では何を信じて生きていけばいいのか
 人が生きていくためには物語が必要
 嘘とわかっている物語をどうやって信じるのか
 信じるという行為は本来
 疑わしいものをあえて信じること
 信じるためには力が必要
 それが愛
 あなたには愛がありますか」

「…ちょ、ちょっと、さっきから何言ってんの?」
「…ふふ」にやっ。

・・・この女の子、ちょっとおかしい。。
 

101 :サボリン:2004/06/09(水) 22:01
 
「何を言ってるのかわからないの
 ちゃんと日本語で話してるのに
 意味は分かるけど意図がわからない
 いいえあなたは意味さえ理解していない
 あなたの話す日本語と私の話す日本語は違う」

「だから…何を…」 くらっ。。

「言語と同じく認識能力にも限界がある
 それを広げようとする力
 それが欲望
 欲望は個人を向上させ
 個々の欲望が重なりあい
 社会もまた結果として向上する
 しかし欲望は充足することなく求め続ける
 どんな感動も快楽も時間と共に惰性化する
 人は生きているからその停滞に耐えられない
 むしろその惰性と停滞そして忘却こそが
 新たな快楽の糧とも言える
 しかしそれを支配する法則は結局時間なのか」

「……」くらくら…。

「それは違う
 時間という観念もまた
 人の貧弱な言語が生み出した妄想
 では全てが言語の生み出した幻想なのか
 人はノイズとカオスを希求する
 そして言語を介さない直接的なコミュニケーションを
 夢想する」

「……」ぐらっ。

「昨夜のセックスはどうでしたか」にやっ。

「…なっ!、…君は、…オマエは誰なんだっ!?」

 

102 :サボリン:2004/06/09(水) 22:03
 
「…愛理」

「はっ」…スッ。
・・・いきなり女の子がまた一人現れた。。

「さゆみを呼べ」

「はっ」 スッ…


「お、おい、なんなんだ!?
 これはいったいなんなんだ!、夢なのか!?」

「…ふっ
 ではこれも夢ですか」ピン


  ビ シ ッ !


「……?、、………痛ゥッ!!」 ドピュ!

・・・左腕が深く切れて血が出てる。。

「ってーっ!!、……なに…しやがった…」 はぁっ、はぁっ、

「言語を介さない直接的なコミュニケーション
 セックスよりも魅惑的な死の恐怖
 人はそこに神を見る」

「ちくしょォ、ざけんなよォオ!!」 スタタ…
と、オレが女の子を蹴ろうとしたその時、

「……ぁぅ〜」

と、一人の女の子が現れた。。
 

103 :サボリン:2004/06/09(水) 22:04
 
白いドレスに、長い髪。。さゆみちゃんだ!!

思い出した!!

・・・オレは一挙に思い出した。

ここはやっぱり夢だ、現実の世界はもうぶっ壊れてて…

そうだ、未来で、学校でみんなと暮らしてたんだ…


「…さゆみちゃん?、…っ、はぁっ、はぁ」

「…ぁぅ〜」
・・・どうしたんだろう、
さゆみちゃんはボーっとしててオレに気づかないみたいだ。

「思い出したようですね
 しかしどこまでが夢でどこまでが現実か
 そんな問題はどうでもいいのではないですか
 そこにあるのは熱や痛みや重みだけ」スッ

・・・ん?、…右手が重いと思ったら、
いつの間にかオレはナイフを握らされていた。

「…な、なんだよこのナイフはァ?」

 

104 :サボリン:2004/06/09(水) 22:05
 

「さゆみ」
「…ぁぅ〜」へなへな。

「オマエ、さゆみちゃんに何をしたァ?
 …オマエは一体誰なんだよォ!?」

「さあ、さゆみ、ゆきなさい」 カチャ。
と、メグミという女の子がさゆみちゃんにナイフを渡す。

「…ぁぅ〜」 スチャ。

「…な、何をさせる気だ?」

「…ぁぅ!」 スタタタ…


  ズ バ ッ !!


「うわっ!」ひょい!

・・・さゆみちゃんがナイフでオレを斬りつけてきた。。
間一髪で避けたものの、オレはよく事態が把握できなかった。

「…さゆみちゃ…」

「…ぁぅ!」 シュッ!

「…ちょっ…、やめろっ!」

「…ぁぅ!、…ぁぅ!!」 シュッ! ブン!
 

105 :サボリン:2004/06/09(水) 22:06
 

「他人を殺すことは良くないことです
 人は他者によってしか自己を確認できないからです
 しかし自己を捨てた者にとってはどうなのでしょう」

「さっきからうっせーぞ!
 さゆみちゃん!、オレだよオレ!
 思い出してよ、さゆみちゃん!!」

「…ぁぅ!」 シュ!


  ズ ブ ッ !


「・・・くはッ!!」

・・・さゆみちゃんのナイフが左の腿にモロに突き刺さった。。


「それとも殺人は欲望と同じように
 自己の拡張なのでしょうか
 または同化作用もしくは均一化」

「…ぁぅ!」 ズズッズ…

「…<ッ、やめろォ!!」

  ド ガ ッ !

「ぁぅ!」 ドテッ、…ゴロン。。

さゆみちゃんがナイフを深く刺そうとするので
オレは思わず蹴ってさゆみちゃんを吹き飛ばした。

「…さゆみちゃん、大丈……ぅっ…」

「…ぃぁ〜!」 スクッ。

・・・さゆみちゃんはオレの血を頬につけたまま静かに笑った。。
 

106 :サボリン:2004/06/09(水) 22:07
 
「…ぅっ…」

オレは倒れたまま起きあがれない。
左足に激痛が走る。血がドクドクと出てくる。

・・・さゆみちゃんがオレにこんなことをするなんて。。


「…ぁぅ〜」 スタ、スタ。

さゆみちゃんは死んだような眼をして、笑ってオレに近づいてくる。


「死の恐怖は美しい
 次の一撃で全てが決まります
 さゆみにとって人類にとって
 何が幸福なのかよく考えなさい」

「…ぁぅ〜」 スタ、スタッ、ガシッ!
さゆみちゃんがオレの体の上にまたがってナイフを構える。 カチャ。


「…さゆみ…ちゃん!」


「ぁぅ!」 ブ ン ッ …


  … ド ク ン …


・・・さゆみちゃんがナイフをオレに振り下ろしてくる・・・

・・・殺られる 次は確実に殺られる・・・

…ここで殺られたら、絵里ちゃんに二度と会えないのか…

…絵里ちゃん……みんな…

…オレは知らず知らずにナイフを持つ右手に力を入れていた…

 グ グ ッ …




1 さゆみちゃんを刺す。
2 抵抗しない。
 

107 :名無し娘。:2004/06/09(水) 22:13
1で

108 :名無し娘。:2004/06/09(水) 23:28
2

109 :名無し娘。:2004/06/10(木) 02:42
2トゥルトゥル

110 :名無し娘。:2004/06/10(木) 07:48
なんか刺しちゃいけない気がする・・・。
奇跡を信じて2

111 :名無し娘。:2004/06/10(木) 09:07
時節柄刺しちゃいけないような気がするので2で

112 :名無し娘。:2004/06/10(木) 10:26
2で

113 :名無し娘。:2004/06/10(木) 12:55
2de

114 :名無し娘。:2004/06/10(木) 14:20


115 :名無し娘。:2004/06/10(木) 22:21
2

116 :名無し娘。:2004/06/12(土) 02:00
2

117 :名無し娘。:2004/06/12(土) 09:32
1

118 :名無し娘。:2004/06/12(土) 11:59


119 :名無し娘。:2004/06/12(土) 17:09
1

120 :名無し娘。:2004/06/13(日) 09:07
1

121 :サボリン:2004/06/13(日) 09:34
2でいきます

122 :サボリン:2004/06/15(火) 08:41
 




   … ズ ド ッ ! !




「・ ・ ・ ・ ・ っ !」


・ ・ ・ さゆみちゃんのナイフが、オレの胸に、


  … ズ ズ ッ


・ ・ ・ 肺に、入り込んでくる…


「……く は っ !」


「…ぁぅ…」


「死の恐怖に良く耐えましたね
 今の選択はしっかりと次の世代に受け継がれるでしょう
 あなたの息子達が12の歳になったら再びここに来なさい」

 

123 :サボリン:2004/06/15(火) 08:42
 

「……さゆみちゃ…っ…ゴホッ!!」

肺からの血が、喉をつたって口から出てくる。

「…ぃぁ…」

それを見てさゆみちゃんは少し驚き、

硬い表情のまま、眼から涙を静かに流した。

・・・さゆみちゃんの顔がよく見えない。

「……ヵハッ…ゴァッ…」

眼の中の映像がゆがんでいく…

「…さゆみ……」

「…ぁぅぅ…」

・・・胸を押さえる自分の腕が他人のモノのように感じる…

さゆみちゃんの涙が 手の甲に落ちてくる ゆっくりと…




   ポ ツ ン …

















 

124 :サボリン:2004/06/15(火) 08:42
 































                      制服を着て

                           走っていく さゆみちゃん


 はぁ はっ

  れいな〜 絵里〜 待ってよ〜

         「さゆー 遅いことしてるとおいてくっちゃよ〜」

 

125 :サボリン:2004/06/15(火) 08:43
 

  夕日を見てると 吸いこまれそうなときがあります


              「さゆ 頑張って」


      私は れいなみたいに歌えない 絵里みたいに笑えない



                    夕日の中で 静かな顔で立ってた さゆみちゃん


                 「さゆみとの契約はこれで切れました」


      私も 絵里やれいなと一緒に暮らしたかった



            「はは、さゆみちゃん、綺麗だね」



                    無防備な顔して ぼんやりとぼんやりと 立ってた




                                 さゆみちゃん どこいくの?


   さよなら 絵里 さよなら れいな

 

126 :サボリン:2004/06/15(火) 08:43
 

                  「さゆみは再び眠りにつきます」

                       オマエたち さゆみちゃんに何をしたんだ?



        助けて



                      さゆみちゃんだって普通の女の子だったのに


     私は○○さんのような人が好き


                 「時が来れば さゆみは再び目覚めるでしょう」

                            オマエたちのせいでさゆみちゃんは



 私のこと守ってください



                  「時が来れば さゆみも人間に戻ります」


 

127 :サボリン:2004/06/15(火) 08:44
 





         私は さゆみ





                     太陽の光が 真っ白に部屋を染めていく


    「ハハ どうしたの? ボーっとしちゃって」


    「さゆみちゃんは さゆみちゃんだよ」


                     さゆみちゃんは ベッドに横になって


                     気持ちよさそうに眠っている


                     まるで死んでるみたいに






         さよなら ○○


 「○○…」


       「見つけてくれてありがとう」


                                      「さゆみちゃん」


   「さよなら」


 

128 :サボリン:2004/06/15(火) 08:45
 





             「……さゆみ…





    …○○っ!」





「……ちゃん…





「…○○っ!!」









「……絵里ちゃん!?」








・・・眼を開けると、絵里ちゃんの顔が見える。


「○○…、良かった…」

 

129 :サボリン:2004/06/15(火) 08:45
 

・・・ここはどこだ? オレは生きてるのか?


「大丈夫?、○○ぅ〜」ペチペチ。

「いてて、…ここは?…夢…じゃない?」

「…うん、夢じゃないよ
 ほら、美貴様も、みんなもいるよ」

「おーす、○○、元気かァ?」 ぬっ。

「藤本…無事だったのか…」

「○○さん、しっかりして下さい」
「…紺野さん」

「先輩…大丈夫ですか?」
「…愛ちゃん」

「みんな無事だったんだ、良かった…」

・・・戻ってきたんだ。…ここは、神殿だ。。
まつうらさんと殺りあったあの神殿だ。

「…はっ、まつうらさんは!?」
まつうらさんの姿だけは見えなかった。。

「…知らねェ、…こっちがききてーよ、
 オレもまた変な夢を見てたから記憶がはっきりしねーヨ、
 紺野の頭が割れたとこまでは覚えてんだけどよォ…」
「…私って一回死んだんでしょうか?」
「ああ、オメーが一番派手に死んでったぜェ」

「…変な女の子達がやってきて生き返らせてくれたんだよ
 4人とも、一回死んだんだ」
「……そうか、やっぱオレも死んでたのか…
 で、猿は?まつうらはどうなった?」
「さゆみちゃんを殺そうとして…
 …逆にやられて…たぶん死んじゃったと思う…」

「……まつうらが…?」

 

130 :サボリン:2004/06/15(火) 08:46
 

「……さゆみんはやはり生きていたのですか?」
「うん、でも、さゆみちゃんは…
 また眠りにつくって女の子が言ってた」
「ホントなのか?
 つーか、なんなンだよォ、その女の子ってーのはよォ?」
「みんなが死んじゃった後に現れたんだ、
 何人かいたんだけど、…どっか行っちゃったみたいだな、
 …不思議な感じで…人間じゃなかったような気がする」
「………」

「…絵里も夢の中で不思議な女の子に会ったよ」
「なに?」
「絵里は夢の中で○○とセックスしたの、
 で、お腹の中に○○の子供がいるって言ってた」

「・・・むァんだってェエ!?」

「……先輩っ!」
「○○さん……」

「…えっ?、・・・いきなり妊娠!?」

「そんな…先輩…」
「夢の中で何やってたんですかぁ?」

「オメー・・・」 グィッ。

「あわわ、おちけつ、
 …た、確かにヤったけど、一回しかヤってないっすよ!!」

「…っ、このォ…スケベ野郎ゥ!」 ドガッ!

「・・・ってーっ」 ベコッ。
「やめて!、美貴様ッ、○○と絵里はもう夫婦なのっ!」 スタタ。
「・・・亀ェ、、……へっ、勝手にしろッ」 フン。

・・・ふぅ、助かった。
「でも子供ができてるなんて…冗談でしょ?、絵里ちゃん?」

「ううん、絵里、ちゃんと言われたもん、
 大事に育てなさいって」
「・・・あ、そう」

・・・・まじかよ、この歳で子持ちかよ、オレ・・・。

 

131 :サボリン:2004/06/15(火) 08:47
 
「嬉しくないの?○○は?」
「いや、…嬉しいよ」
「○○、○○はもう絵里のダンナなんだから
 浮気したら承知しないからねっ!」
「・・・うん、しない、たぶんしない」
「…んー」と絵里ちゃんがにらむ。
「…しません、絶対しません!」
「うふふ、よし!」 ピン。
「あいて…」


「……ちっ、ママゴトやってんじゃねェーぞォ、
 まつうらが死んで、さゆみんも消えちまったんなら、
 ……もうやることがねーじゃねェかよォ…」

「さゆみんが見つかれば現代に帰れるかもしれない、
 ……そんな希望も少しはあったんですが…」
「…帰るって?」


「へっ、帰ってどうすンだよ?
 オレらの帰るところはもう、
 ……あそこしかねーじゃねェか」
「……そうですね」
「…うん」
「…そうだな」
「…はい」

「ヨゥシ、オメーラァ!、帰ろォーぜェッ!」 ザッ。

「はい!」「はい!」「おお!」「うん!」



  「…オレらの、モーニング高校に!!」



 

132 :サボリン:2004/06/15(火) 08:48
 




























.

133 :サボリン:2004/06/15(火) 08:49
 








9ヶ月後…









「ふっ、ふっ、はっ、はっ…」

「絵里…、がんばれ…絵里」

「ふーはぁ、ふーはぁ…」

「ちょっとアンタ、邪魔だからあっちに行ってな!!」
「だって絵里がこんなに苦しんで…」
「アンタがいたって何の役にも立ちゃしないよ、
 アタシは紗耶香の時に経験してるんだから、
 アタシにまかせて、さっさとあっちに行ってな!」
「じゃぁ……頼んだよ…」 とぼとぼ。



・・



「……ャァ!!、…オギャァ!!……」


「う、生まれたか!!」 スタタ… ズコッ!

・・・オレは慌てて走って、足がもつれてこけてしまった。
 

134 :サボリン:2004/06/15(火) 08:50
 
「ホンマか!」「やったー」「絵里…」
「どっちれすか?」「かっけ〜」「亀…」「んぁ〜?」

保健室のまわりにみんなが集まって人だかりができていた。

ワラワラ。

「かわいいべさ〜」「キャハハ、グロじゃん!」
「やだー、血みどろー、梨華こわーい」「赤ん坊なんてこんなもんや」
「子供生んだこともない三十路がよういうわ」「なんやてェ、加護ォ!」

「…オギャァ!…オギャァア!…」


「おまえら、ちょっとどけ!、オレに先に見せろよ!」

オレはみんなをかき分けて、ようやくベッドに辿り着いた。

「ほら、○○、元気な男の子だぞ」
と、藤本が赤ちゃんを抱いていた。。

・・・ちいさいなぁ。。猿みたいだ。。

「ほら、抱いてやれよ○○」スス…
「…うん」

・・・ふぁさ。。

「・・・オレの子か、、オレの…」

「亀、よく頑張ったな」
「…はい」

「藤本…、オレが今言おうとしてたのに先に言うなよ…」
「ハハハ、悪ィ、悪ィ、
 ヨシ、オメーラ、二人だけにしてやろーぜェ!」

みんな藤本の言うことを聞いて保健室から出て行った。
 

135 :サボリン:2004/06/15(火) 08:51
 


「絵里…、ホント、よく頑張ったね」
「うん」
「ありがとう」
「ううん、絵里こそ…ありがとう」


「絵里に…よく見せて…赤ちゃん」
「うん、…ほら」 ふぁさ。
「ふふ、かわいい」

「絵里に似てるよ」

「ふふ、そうかな」 さわ。


「絵里、コイツのためにもオレ、
 これからもっと頑張るよ!」


 「うん…」



   「二人で…、みんなで…、

        精一杯、生きていこうな」






                     「うん…」





 

136 :サボリン:2004/06/15(火) 08:52
 


















                               ときめきモーニング 第一部 完 。


 

137 :サボリン:2004/06/15(火) 08:53
 






・・・つっても第二部は書きません。疲れました。
読者の方々、長らくつきあってもらって感謝です。
ホントにノリで始めたんで、ここまで続けるとは思ってませんでした。
いろいろと設定ミスや強引なところや不愉快なところもあったけど許せ。。

書き始めて1週間ぐらいで全体の構想はできたんだけど
(途中までAKIRAのパクリだし)
終わらせるのに時間的にもスレ的にもこんな長くなるとは思わなかった。
未来に来てからは「漂流教室」のパロディをやろうと思ってたんだけど
そこで時間を割くと完結できなそうなんでやめました。
ホントはこの12年後に主人公の息子と市井の息子と
目覚めたベリーズ工房の8人で第二部を考えてたんだけど
小中のノリはわからんし疲れたし、キッズ反対のヤツも多いからやめた。

このスレは、後は誰か自由に使って下さい。

ほなまた。


最後に。
前スレでオレのこと無職?とか聞いてきたヤツいただろ。
・・・無職だよ。・・・文句あっか、バカヤロウ!!

・・・・真面目に職探ししようっと。。

 

138 :名無し娘。:2004/06/16(水) 00:07
長い間お疲れ様でした。
最初からずっと楽しませていただきました。

これで終わりと言わずに続編お待ちしています。
更新間隔が長くても気長に待ちますので。

最後に職探しがんがってくらさい。
でわ、長文失礼しましたm(_ _)m

139 :名無し娘。:2004/06/16(水) 00:30
終わっちゃうのか・・・
とてもおもしろかったです。今までお疲れ様でした

140 :名無し娘。:2004/06/16(水) 12:18
お疲れ様。
最後まで本当に楽しめました。
まじでおもしろかった。

141 :名無し娘Ver.2:2004/06/16(水) 13:33
お疲れでした。
むっちゃおもろかったです。
仕事探しがんばってくださいね。

142 :名無し娘。:2004/06/16(水) 16:22
お疲れ様でした。とても面白かったですよ!
機会があったらまた書いてほしいなぁ・・・なんて
早く仕事が見つかるといいですね

143 :名無し娘。:2004/06/19(土) 00:34
面白かったっす。
お疲れさん〜♪

144 :名無し娘。:2004/06/28(月) 01:20
お疲れ様でした。
面白かったです。

145 :名無し娘。:2004/07/07(水) 01:59
サボリンさん、お疲れ様でした。
破天荒でジェットコースターのようなストーリー展開にいつもわくわくしてました。
もし落ち着いたら、ときめきモーニング第2部でも、全く新しい作品でも構わないので
書いて欲しいなぁというのが一読者の感想です。

ほんとに楽しませていただきました。ありがとう。
またあなたの作品が読みたいです。

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0ch BBS 2006-02-27