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ソニン「ほんとはね。」

85 :名無し娘。:2004/06/26(土) 00:13

小ぢんまりとした部屋の中を、一人の女性が苛立たしそうに歩き回っていた。

念入りな化粧と茶色い髪の毛からは、いかにも現代の若い女性といった印象を受けるが、
その格好はその内面から伝わるオーラとは違って、はっきりと地味であった。

部屋の壁際にある椅子に座っている少女がその様子を心配そうに眺めていた。
どこか不安げな表情をしているのは、そろそろ怒りが爆発することを知っているからなのだろう。

その張り詰めた緊張感はスタジオ収録での緊張感とは全く違う種類のものだったが、ただ、
それは現状において、仕事に対する熱意というものが欠如してしまっているせいかもしれない。

あるスタッフはそんな状態を『ぬるま湯』と表現していた。それはもちろん、
彼女たちに直接言ったのではなく、少女がスタッフの立ち話を偶然聞いて知ったことだった。

部屋の中では相変わらず、一人の女性が眉間に皺をよせながら歩き回っていた。
どこへ向かうでもなく、ただ待機している――それがどうにも我慢できない様子だった。
それとは対照的に、少女の方はただずっと座ってそれを見ているだけだった。

ただ、二人が何か重大な問題に直面し、何かを待ちわびている、そのことだけは確かだった。

少女が部屋の壁にかけられた時計の文字盤にチラッと視線を移した。
もしかすると、歩き回っているよりも、ただ座っているだけの方が辛いのかもしれない。
まるでその焦りの心情を試すかのように、その部屋では時間の流れがゆっくりと進んでいた。

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