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Les Miseraberryz
- 1 :A:2007/09/17(月) 13:00
- 原作 ビクトル・ユーゴー
- 2 :A:2007/09/17(月) 13:00
- 第一章 ナッチ司教
- 3 :A:2007/09/17(月) 13:01
- 教会本部から遠く離れて栄えているこの街に
新しい司教様が派遣されてきた。
(〜^◇^)<司教様はここにお住まいください
(●´ー`)<豪華だね
(〜^◇^)<教会はお金持ちですからキャハハハ
(●´ー`)<ナッチだけで住むには広いなぁ…
ところで隣の小さな建物は何?
(〜^◇^)<あぁ病院ですよ
いっつも患者がいっぱいで衛生的でないし
近寄らないほうが良いですよ
(●´ー`)<なるほど…
翌日。
(●´ー`)<院長さんに相談があるのですが
病院の広さは足りてますか?
( T▽T)<いえ。いっつもベッドは満員
部屋も狭くて空気の通りも悪く不衛生です
(●´ー`)<ではあなたは隣の家を病院に使いなさい
私がここに住むことにしましょう
( T▽T)<えっ?
- 4 :A:2007/09/17(月) 13:01
- (●´ー`)<教会から支給金される月の給与はこんだけですか
ナッチはパンが食べられればいいから
残りは全部寄付しよっと
(●´ー`)<こんにちは。巡回宣教に来ました
(〜^◇^)<えっ司教様歩いて回ってるんですか?
教会本部に申請したら馬車代が貰えますよ
(●´ー`)<そうなんですか?
じゃあ早速申請しましょう
(〜^◇^)。o(自分のお金じゃなきゃ使うって訳か)
翌月。
(●´ー`)<確かに支給額が増えてる増えてる
さっそくこの分を寄付に回そっと
- 5 :A:2007/09/17(月) 13:01
- 司教はとにかく質素にその日その日を暮らしていた。
パンをスープに浸して食す。
ただ贅沢が少しだけ。
(●´ー`)<銀の食器だけは辞められないなぁ
これで食べると美味しいんだよね
あと。
Å
(●´ー`)<この飾り細工された銀の燭台にローソクを立てると
ますます食事が美味しく感じるなぁモグモグ
- 6 :A:2007/09/17(月) 13:01
- 第二章 マアサ
- 7 :A:2007/09/17(月) 13:01
- 从o゚ー゚从<おなか空いたとゆいたい
お腹を空かした姉の子のため一切れのパンを盗んで投獄。
持ち前の怪力で4度の脱獄を試みた結果19年間の刑務所暮らしをした
彼女の名は、マアサ。昨日の出所以来歩き通していた。
从o゚ー゚从<やっと街に着いたぁ!
リl|*´∀`l|<街に入りたいなら通行証を見せなさい
从o゚ー゚从<はい
リl|*´∀`l|。o(こいつ前科者だ)
前科者来訪の噂は街をすぐさまかけめぐった。
从o゚ー゚从<お金はあるとゆいたい
从・ゥ・从<あんたを泊める場所も食べさせる柿の種もないよ
他のどこ行ってもないわね!
从o゚ー゚从。o(前科者は人じゃないってわけ?
しかたない。もう諦めて野宿しよう)
- 8 :A:2007/09/17(月) 13:02
- (●´ー`)<どうしたの?こんなところで
从o゚ー゚从<ウチが前科者だからどこも泊めてくれないの
もうほっといてよ
(●´ー`)<良かったらウチに来ませんか?
わずかなパンだけど分け合いましょう
かくしてマアサはナッチの家へ。
(●´ー`)<少ないけどお食べなさい
从o゚ー゚从。o(腹いっぱい食わせてもらっちゃった。でもアレ
銀の食器と燭台…売ればきっと私が刑務所の
19年で稼いだ額の2倍にはなる…ウズウズ)
真夜中。静まり返った家。
こっそりと起きたマアサは銀の食器を掴み、そして逃げた。
翌朝。
リl|*´∀`l|<さぁ捕まえたぞ。前科者はやはり信用ならぬ
司教様の食器を盗んだんだろ?
「貰った」なんて嘘、すぐ暴いてやる
从o゚ー゚从。o(また刑務所に戻るのか…)
- 9 :A:2007/09/17(月) 13:02
- 警官は事実確認のため捕らえたマアサを司教の家に連れて行く。
(●´ー`)<その人の言う通り、銀の食器はあげたんです
それとこれ、忘れていきましたね
これが一番高価なのに
ナッチがマアサに銀の燭台を手渡すと警官は慌てて帰って行った。
リl|*´∀`l|<本当だったとは。失礼いたしました
从o゚ー゚从。o(ナンデ??ナンデ????)
(●´ー`)<兄弟、よくお聞きなさい
闇からあなたを、救い上げてくれたのは神様です
从o゚ー゚从。o(前科者の私が兄弟?)
(●´ー`)<この銀の燭台で得たお金で
善き人になりなさい。善き人に…
- 10 :A:2007/09/17(月) 13:02
- 第三章 サキ
- 11 :A:2007/09/17(月) 13:02
- 街の外をふらつくマアサ。頭がこんがらがっていた
从o゚ー゚从。o(なんで司教様は私をかばってくれた?なんで?)
足元に金貨が転がってきた。マアサは反射的に足で踏む。
川´・_・リ<ねぇねぇ、足の下の金貨、ボクのだよ。返してよ
从o゚ー゚从。o(何のために?前科者の私を?)
川´・_・リ<ねぇってばぁ!
从o゚ー゚从<ん?お前は誰だとゆいたい
川´・_・リ<サキって言うんだよぅ。足の下の金貨…
从o゚ー゚从。o(なぜかばったんだろう…なぜ…)
司教の態度に心を揺さぶられたマアサに、サキの声が届かない。
川´・_・リ<ねぇってばぁ!
从o゚ー゚从<うるさい!何だお前!どっか行けー!
川´;_;リ<うっ……うわぁぁぁぁぁぁん!
サキは泣きながら走り去った。やがて夜が更け
歩き出そうとしたマアサは足の下に金貨があることに気づく。
从o゚ー゚从<何これ?何で金貨が………あっ!?思い出した!
おい!サキとか言う子!いないか!?おい!
私はなんてことを……あぁ
マアサはこの日以来、この街から姿を消した。
ただこの日の夜、司教の家の石畳に接吻する人影が見られたという…。
- 12 :A:2007/09/17(月) 13:03
- 第四章 ユリナ
- 13 :A:2007/09/17(月) 13:03
- 川*^∇^)||<いたいけな子供の金貨を奪ったという奴、
特徴を聞けば間違いなく出所したばかりのマアサですね
犯罪者は更正することなどやはり無い!
警察のチカラであの女を捕らえて一生刑務所に入れてやる
このユリナが地の果てまでお前を追いかけてやろう
- 14 :A:2007/09/17(月) 13:03
-
10年の月日が過ぎた。
そして舞台となる地域も遠くに離れる。
- 15 :A:2007/09/17(月) 13:03
- 第五章 チナミ
- 16 :A:2007/09/17(月) 13:03
- 旦那に早くに病死され、一人娘のリサコを女手ひとつで育てていたチナミ。
しかし子連れでは賃金の高い職は得られない。チナミは迷っていた。
从´∇`从。o(はぁ、もうこうするしかないわ…)
州*‘ -‘リ<ままー おなかすいたゆー
ル ’ー’リ<あら可愛い子ねー 名前は何ていうの?
州*‘ -‘リ<りさこ
从´∇`从<……あの、この子、可愛いですか?
ル ’ー’リ<えぇとっても
从´∇`从<お願いがあります!
この子をしばらく預かってくれませんか!?
この子の生活費は仕送りしますから!
ル ’ー’リ。o(この子を引き取ればうちの宿屋の小間使いとしてこき使えるし
その上お金ももらえる。良い話だわ)
从´∇`从<あの、どうでしょう?
ル ’ー’リ<いいですよ。我が家で預かりましょう
仕送り、忘れないでくださいね
私はモモコと申します
从´∇`从<もちろんです!ありがとうございます!
- 17 :A:2007/09/17(月) 13:04
- かくてチナミは賃金が高いと噂のラビ市長の経営する工場で働き始めた。
ここでお金を貯めてまたリサコと一緒に暮らそう!
そんなことを夢見ていたけど、それにはリサコを預けた家が悪すぎた。
「リサコが風邪を引いた。医者代が銀貨5枚かかった」
「リサコは食いしん坊で困る。食費が銀貨3枚必要」
「リサコが隣の家の子供に怪我させた。治療費に銀貨8枚よこせ」
「リサコが……」
ル ’ー’リ<ほら働きなさい。休んでないで!
掃除の後は水汲みと薪運びだからな
州*‘ -‘リ<はぁい……
ル ’ー’リ<お金のかからない使用人。楽ねぇ
- 18 :A:2007/09/17(月) 13:04
- さてここでチナミの雇い主・ラビのことについて触れておこう。
9年前、この街で火事が起きた。
燃え盛る火の中から子供の声がするも、もう助けにいけるような
状況ではない。
しかし、ここで男でさえ躊躇する火の中の飛び込み子供を救い出した
女性がいた。
子供の親はその人物が無職と知ると、工場仕事を斡旋してくれた。
彼女はそこでよく仕事をし、溜まったお金で学び、人の信頼を得た。
より低価格で商品をつくる方法を見つけた彼女は特許を取り、
工場長になり、やがて彼女は社長へと上り詰めた。
高い賃金で工員を雇い、利益は社会に寄付し還元する彼女は
市長へと推薦され見事に選ばれ二束のわらじを履くことになる。
あまりの彼女の崇高な行動から、彼女はクリスチャンに違いないと
噂が流れた。遥か遠くの街の誰からも愛された司教様が亡くなったとき
彼女は一日喪に服し、街の人々はやっぱりと噂しあった。
特に彼女は小さな子を見かける度に名を尋ねては金貨を渡していたと言う。
勘の良い読者は、彼女が誰かお分かりであろう・・・・。
- 19 :A:2007/09/17(月) 13:04
- 第六章 ラビ市長
- 20 :A:2007/09/17(月) 13:04
- 川*^∇^)||<ラビ市長。新しく警察署長として派遣されきた
ユリナと申します。今後宜しくお願い……おや?
市長、前にどこかでお会いしましたか?
なんか見覚えが……
从o゚ー゚从<いや、初めて会うと思うが
川*^∇^)||<思い出しました!
犯罪者のマアサに似ておりますな
从o゚ー゚从<!
川*^∇^)||<あ、失礼。私としたことが市長様に失礼なことを
从o゚ー゚从<い、いや、それよりユリナ君と言ったね。
この街の治安を宜しく頼むよ
川*^∇^)||<はい。それでは失礼いたします
从o゚ー゚从。o(今更またマアサという名を聞くことになろうとは…)
川*^∇^)||。o(他人の空似にしては似すぎている。
でもいや、まさか。前科者が市長になるわけがない。
いや、でも……いや……)
- 21 :A:2007/09/17(月) 13:05
- 第七章 アイリ
- 22 :A:2007/09/17(月) 13:05
- 洲´・ v ・) <ふぅふぅ馬車の荷おろしは大変だなぁ
ちょっとズルしちゃおっと ケッケッケッケッ
馬車の陰でアイリが休んですぐ、馬車の車輪が外れた。
馬車に挟まれるアイリ。今は車軸が持ちこたえてくれているが
徐々にきしんできており折れて潰れるのは時間の問題だった。
洲´・ v ・) <助けてよー!
しかし馬車が巨大すぎて人の手で支えられるようには思えない
騒ぎをかけつけた市長がやってきた
从o゚ー゚从<誰か!彼女を助けてあげなさい
私が賞金を出そう!金貨20枚払おう!
……誰か!金貨40枚でも良い!
川*^∇^)||<あの巨大な馬車を持ち上げられるような人物を
私は一人だけ知っております
从o゚ー゚从<早くその人物を連れてきてくれ!
川*^∇^)||<10年前に子供の金貨を盗んで以来姿を消している、
前科持ちの犯罪者のマアサです。
彼女の怪力なら、あの馬車を持ち上げられましょう
从o゚ー゚从<……
誰も動かない。じわじわと馬車はアイリを押しつぶそうとしている。
从o゚ー゚从<…………えぇい!
ラビが馬車の下に体を滑り込ませて、馬車を支えた。
その巨体が動きをとめたかと思うと、少しだけ上がった。
从o゚ー゚从<さぁ、今のうちに彼女を引っ張り出すんだ!
洲´・ v ・) <市長様ありがとうございます〜
川*^∇^)||。o(間違いない。ラビ市長は犯罪者のマアサだ)
- 23 :A:2007/09/17(月) 13:05
- 第八章 リサコ
- 24 :A:2007/09/17(月) 13:05
- 生活費を切り詰めて送金を続けるチナミだが体調を崩してしまう。
休みがちになりラビさんの工場でも満足に稼げない。
服を売り髪を売る。それでもモモコからの請求額にはまったく及ばない。
从´∇`从。o(もうどうしたらいいの……リサコに会いたい)
街をふらふらと歩いてたチナミと男の肩がぶつかった。
酒を飲んでいた男がチナミを叩き、チナミも叩き返してしまう。
誰かが警察を呼んだ。
川*^∇^)||<ふたりとも捕まえろ!
从´∇`从<それに、ここで捕らえられたら
リサコにお金が送れない。見逃してください
川*^∇^)||<……犯罪者は皆、そう言うのだ
从o゚ー゚从<いや違うぞユリナ君。私はたまたま見ていたが
先に叩いたのは男のほうだった
彼女は見逃してあげてくれないか
川*^∇^)||<理由はどうあれ、どちらも犯罪を犯したのは事実です
まずは拘留し正式な形で裁く必要があります
从o゚ー゚从<ならば私は市長の権限で彼女の罪を無罪としよう
市長にはそれだけの権限がある
川*^∇^)||<………わかりました。
しかし彼女が法を犯したという事実はお忘れなく
从o゚ー゚从<ユリナ君。法には慈悲も必要だといつか解る日がくる。
- 25 :A:2007/09/17(月) 13:06
- 从o゚ー゚从<大丈夫か。まず君はしっかり体をやすめなさい
从´∇`从<ありがとうございます。でも私にはお金が必要なんです。
お願いです。お金は必ずお返ししますから
モモコさんへの仕送りを代わりにお願いします
ラビはチナミから一切の話を聞いた。
从o゚ー゚从<なんとひどい話だ。人の弱みにつけこんでお金をせびるとは。
私がそのリサコちゃんを連れてきて一緒に住めるように
お金を出してあげましょう。居場所を教えてください
もともと弱っていたところに、警察沙汰になりチナミの体は
もうがたがたになっていた。リサコとまた暮らせる。
それだけが彼女の生きる希望になっていた。
翌日。
川*^∇^)||<市長、お話があります
从o゚ー゚从<何だ?私はこれからチナミの子供を迎えにいかねばならない
川*^∇^)||<私をクビにしてください
私はあなたを犯罪者のマアサだと思っておりました
しかし、マアサは捕まったと先ほど連絡が入りました
从o゚ー゚从<捕まった!?
川*^∇^)||<本人は否定しておりますが
囚人仲間に見せても間違いなくマアサと認めております
本日これから裁判があります
市長を疑った私は警察にいる資格はありません
从o゚ー゚从<ユリナ君はマジメすぎる。いま君に居なくなられては
とても困るのだ。
私は気にしてないから任務を続けてもらえないだろうか?
- 26 :A:2007/09/17(月) 13:06
- ユリナが去った後、マアサはひとり考えていた。
从o゚ー゚从。o(マアサが捕まった。裁判になれば前科者でもあるし、
金貨を盗んだだけでも、もう牢獄から出られないだろう)
从o゚ー゚从。o(これでもう私は警察に追われることはない)
从o゚ー゚从。o(落ち着いてリサコを迎えに行ける)
从o゚ー゚从。o(私の代わりにマアサとして牢屋に入る人はもう
気の毒だが牢屋から一生出られないだろう)
从o゚ー゚从。o(一生……あのつらい労働の日々を……)
从o゚ー゚从。o(チナミがリサコの来るのを待っている)
从o゚ー゚从。o(お金に困らず、人に必要とされるこの立場につくまで
10年もかかった。10年も)
从o゚ー゚从。o(また、あの労働の日々を……)
从o゚ー゚从<馬を用意してくれ!私は出かけなければならない!
- 27 :A:2007/09/17(月) 13:06
- 裁判所。
川VvV)<マアサ。いい加減認めたらどうだ!
从x゚ー゚从<違うよう。あたしそんな名前じゃない!
ノノ*^ー^)<何言ってんの?どこからどうみてもマアサじゃん
从 ´ ヮ`)<そうっちゃ。同じ刑務所にいた私達が保証するっちゃ
从*・ 。.・从<間違いなくマアサなの
勢い良く扉が開いた。
从o゚ー゚从<違う!その人物はマアサではない!
マアサは私だ!私がマアサだ!
ノノ*^ー^)<あんた誰ぇ?前科者のマアサがそんな立派な
身なりのわけないじゃん クネクネ
从o゚ー゚从<みんな久しぶり。
カメイさんは相変わらず狭い場所が好きですか?
ミチシゲさんはお料理できるようになりました?
タナカさんは友達ができないままでしょうね。
ノノ*^ー^)从*・ 。.・从从 ´ ヮ`)<なんでそれを!?
从o゚ー゚从<私がマアサなんだ
裁判所はざわざわするが誰も動こうとしない。
从o゚ー゚从<逮捕しないなら、私にはしなければならない
ことがあるから行かせてもらう。
逃げはしないからいつでも捕まえに来るがいい
从o゚ー゚从。o(これでいい、これで……)
- 28 :A:2007/09/17(月) 13:06
- 街に戻りチナミの居る病室へ。
リサコの引取り準備をしているところにユリナが現われた。
从o゚ー゚从<この紙に「この書面の持ち主にリサコを預けてください」と
書いておくれ。大変だろうが頼む
从´∇`从<……はい
川*^∇^)||<失礼。ラビ市長、いや、犯罪者マアサ。
あなたを捕まえにきました
从o゚ー゚从<来ると思っていたよ。ユリナ君。だが3日だけ待ってくれ
彼女の子供を迎えに行ったら絶対に戻ってくる
川*^∇^)||<なぜ犯罪者の言葉を私が聞かねばならない?
今すぐ来るんだ
从´∇`从<……どういうこと?
川*^∇^)||<この女は市長である前に犯罪者なんだ!
だから逮捕する。
そしてチナミ、お前の罪も改めて問われることになる
从´∇`从<じゃあリサコは!リサコには会えないの!?
その弱った体から出たとは思えない程の声。
チナミが両手で頬を抑える。目が空中を泳ぐ。
その手がだらんと垂れたかと思うと、チナミは動かなくなった。
从o゚ー゚从<……ユリナ君。チナミを殺したのは君だ
川*^∇^)||<犯罪者が私を侮辱するのか?
お前を連行する馬車はもう来てるんだ。早く来い!
- 29 :名無し娘。:2007/09/17(月) 13:17
- パンがひとつならわけわけね
- 30 :名無し娘。:2007/09/17(月) 13:22
- すげー
登場人物がみんな生き生きしてるよ
- 31 :A:2007/09/17(月) 18:31
-
1ヶ月が過ぎた。
- 32 :A:2007/09/17(月) 18:32
- ル ’ー’リ<あ、いけない。もうこんな暗いのに水がなくなりそう
おいリサコ、水汲みにいってこい!
州*‘ -‘リ<あしたじゃだめ?
ル ’ー’リ<いま行ってきて!
あと帰りにパン買ってきな
州*‘ -‘リ<ぱんのおかね…
ル ’ー’リ<お金お金ってうるさいなぁ!ほら!
床に投げ落とされたお金を拾うリサコ。
ポケットに詰めると桶を持って暗く寒い外へと出た。
距離のある水汲み場まで歩き、水を汲む。
ちょっと歩いては立ち止まり、手にはぁはぁと息をかけて暖める。
州*‘ -‘リ<さむいゆー
持っていた桶が急に軽くなった。見ると誰かが一緒に持っている。
从o゚ー゚从<お嬢ちゃんどうしたのこんなところで?
州*‘ -‘リ<水汲みを頼まれたんだゆー
从o゚ー゚从<こんな夜中に?私が持ってあげるよ
州*‘ -‘リ<うぅん。じぶんでもたないとおこられるから
从o゚ー゚从<可哀想に。お嬢ちゃん、名前は?
州*‘ -‘リ<りさこ
マアサの足が止まる。しげしげと見ればその顔は痩せており
絶えず大人のこちらの顔色を覗くようにしている。
- 33 :A:2007/09/17(月) 18:32
- 州*‘ -‘リ<ただいまだゆー
ル ’ー’リ<遅い!走って帰って来い!
あれ…そちらは宿屋へのお客様でしょうか?
从o゚ー゚从<いや、私はチナミさんに頼まれてリサコを迎えに来たんだ
ル ’ー’リ<そんな急に言われても
彼女には金貨20枚の貸しがあるんだが
从o゚ー゚从<私が払います
カバンから金貨を取り出すマアサ。
ル ’ー’リ<あぁ、慌てて間違った。20枚じゃなくて50枚だった。
从o゚ー゚从<そうですか
残りを追加するマアサ
ル ’ー’リ。o(これは!まだまだお金が貰えるぞ!)
ル ’ー’リ<いや、やはりお金の問題じゃないんです
私達は家族同然に今まで暮らしてきてました
あなたは本当に彼女の使いなんですか?
从o゚ー゚从<ここにチナミさんに書いてもらったメモがあります
それは仕送りに添えられていた手紙と同じ文字だった。
ル ’ー’リ<ぐっ…
- 34 :A:2007/09/17(月) 18:32
- 从o゚ー゚从<さぁ行こうか、リサコ
州*‘ -‘リ<ままは?
从o゚ー゚从<リサコのお母さんはね、亡くなったんだよ
州*‘ -‘リ<しんじゃったの…?
从o゚ー゚从<これからは私が君を責任持って育てる
一緒に、来てくれるかな?
リサコは迷わずにこくんと頷いた。
モモコの元よりはどこでも幸せだろうと思ったことと、
何よりこの、自分を連れて行こうとする人物が
とても優しそうに見えたから。
- 35 :A:2007/09/17(月) 18:32
- さてなぜユリナに捕まったマアサがリサコの前に現われたか?
裁判の結果無期懲役となったマアサが船着場へと運ばれた。
これから乗り込む船の準備を待っていると、
マストの上の船員が風に煽られてバランスを崩した。
誰もがどうしようどうしよう?と騒ぐ中でひとりだけ
マストを駆け上り船員を助けた人物がいた。
船員は助かった。
だが代わりに助けにいった囚人が海に落ちた。
しばらく海を捜索したがその体はどこにも見つけららず、
警察はマアサを水死したものとして扱った。
この結果に疑いを持った人物がひとり。
川*^∇^)||<囚人は手かせをされていたはずなのに
マストに登れたということは
手かせを外して脱走する準備をしていたに
他ならない!マアサは生きているはずだ!
- 36 :A:2007/09/17(月) 18:33
- 市長時代に稼いだお金を持って
目立たないようにひっそりと暮らすマアサとリサコ。
州*‘ -‘リ<ねぇねぇ
从o゚ー゚从<うん?
州*‘ -‘リ<ママってよんでいい?
もしかしてこういうのささいな幸せですが、
もしかしてこういうのほんとの幸せですね。
- 37 :A:2007/09/17(月) 18:33
- 幸せながらも、執拗にマアサを探すユリナの噂を聞いては
居場所を転々とする生活。
一度もう絶対絶命と思われたことがあった。とある夜。
川*^∇^)||<この先は行き止まりのはずだ
从o゚ー゚从<さぁリサコ、この塀を飛び越えて!
州*‘ -‘リ<わかった。ママも早く!
从o゚ー゚从<この屋敷の関係者に会わないことを願って!
塀の向こう、誰かの屋敷の庭に飛び込むと
ランタンの明かりが飛び込んできた。
洲´・ v ・) <物音がしたから来てみれば……そこに居るのは誰?
えっラビさん?
从o゚ー゚从<うわぁ懐かしい呼び名。ってあなたはアイリさん?
門を叩く音と声がする。
川*^∇^)||<警察だ。開けろ。不審者を探している!
洲´・ v ・) <……警察に追われてるんですか?
从o゚ー゚从<アイリさん、お願い!突き出さないでほしいの!
洲´・ v ・) <いいですよ
从o゚ー゚从<えっ?そんな簡単に……
なぜ警察に追われてるかも聞かなくて良いんですか?
洲´・ v ・) <私はあなたを信頼しております。
それに、私が馬車の下敷きになりかけてたとき
あなたは原因を聞いてから助けてくれましたか?
さぁ早く裏口からお逃げなさい
警察は私が時間を稼いでおきます
- 38 :A:2007/09/17(月) 18:33
- 門を叩く音が次第に大きくなる。
アイリは眠そうな仕種で門を開ける。
洲´・ v ・) <どうしたんです?こんな夜更けに
川*^∇^)||<この辺で不審な二人組みを見なかったか?
ひとりは初老で、もう一人は若い娘なんだが
洲´・ v ・) <えぇっと、初老の男性と若い娘ですか?
川*^∇^)||<いや女性だ。初老の女性
洲´・ v ・) <若いといいませんでした?
川*^∇^)||<初老の女性と若い女性だ
洲´・ v ・) <どっちなんです?
川*^∇^)||<二人組だと言っただろう!ビキビキ
- 39 :A:2007/09/17(月) 18:33
-
そんな日々が10年目に差しかかろうとしていた頃……。
- 40 :A:2007/09/17(月) 18:33
- 第九章 ミヤビ君
ここはナツヤキ男爵の館。小さいながらもお金に困るようなことはない。
そして当主のミツオは今にも息を引き取りそうだった。
(0―0ヽ)<ミヤビよ、お前がこのナツヤキ家を継ぐにあたり
話しておかなければならないことがある……
ノノl∂_∂'ル<はい
(0―0ヽ)<私がナツヤキ家に婿入りする前の話だが
戦争のとき、私はひとりの兵士に命を救われた。
もしその者がナツヤキの家を訪ねて来ることがあったら
もてなしてあげて欲しい
ノノl∂_∂'ル<わかりました
して、その方の名は?
(0―0ヽ)<その者の名は、モモコという……
ナツヤキ家を頼んだぞ、ミヤビ
そう言ってミツオは息を引き取り、
ミヤビが新たなナツヤキ家の当主となった。
- 41 :A:2007/09/17(月) 18:34
- ちなみにミツオの話の真実はこう。
時は戦争中。
ル ’ー’リ<戦うのは他の人に任せてモモは
倒れた人から財布を取ったり時計を取ったり
あぁ忙しい
(0―0ヽ)<………
ル ’ー’リ<むむむ。こいつ、良い服着てる!
ってことはお金もいっぱい持ってるのでは!?
ガサゴソガサゴソ
(0―0ヽ)<……ウッ
ル ’ー’リ。o(げげげ!まだ生きてた)
(0―0ヽ)<……君は?
ル ’ー’リ<あなたを戦地から安全なここまで引っ張って
助けた者です
(0―0ヽ)<そうか、ありがとう……
私はテラダ大佐だ
命が助かったら礼をしたいからぜひ
名前を教えてくれ……ウウッ
ル ’ー’リ<モモコ、と申します
- 42 :A:2007/09/17(月) 18:34
- 爵位を継いだミヤビは社会、主に政治について
よく考えるようになった。お風呂の時、寝る前ーとか。
散歩中にもこうして。
ノノl∂_∂'ル。o(このままでは貴族と民衆の格差は
開く一方だ。これでいいのだろうか?)
州*‘ -‘リ<今日の晩ご飯は何にしましょう?
从o゚ー゚从<そうだねぇ…
いきなり売店でごっつんこ。
ノノl∂_∂'ル<す、すいません。ぼーっとしてました
州*‘ -‘リ<こちらこそ
ノノl∂_∂'ル。o(かっ、可愛い人だ!)
州*‘ -‘リ。o(すっ、素敵な人!)
ノノl∂_∂'ル<あ、あの私、ミヤビと申します。
良かったらお名前教えていただけますか?
州*‘ -‘リ<リサコと申します……ミヤビさん
从o゚ー゚从<あの〜
ふたりは急速に親しくなっていった。
- 43 :A:2007/09/17(月) 18:34
- 時代は変動を迎えていた。
働いても働いても暮らしの楽にならない民衆。
民衆からの税収で豊かな暮らしの約束された貴族。
両者は話し合いの余地もなく、いつ革命が起こるか、
時間の問題であった。
ノノl∂_∂'ル<ねぇリサコ聞いて。僕は今の世の中を変えるため
革命軍に入ることにした
州*‘ -‘リ<そんなの危険だわ!
ノノl∂_∂'ル<これ以上、重税で苦しむ人々を見ていられない
僕は爵位を持つことが恥ずかしくない
時代にしたいんだ!
……革命は本日夜、決行するって
真っ青な顔で家に帰ったリサコ。
从o゚ー゚从<リサコ、どうも近々革命があるらしく
警察が多く出歩いている。
その中にユリナ君も居るらしい
……また移動しなくてはならないようね
州*‘ -‘リ<私、この街に居たい
从o゚ー゚从<リサコ!?
もしかして、ミヤビ君のこと?
州*‘ -‘リ<……はい
リサコからミヤビが革命に参加することを聞いたマアサ。
リサコの肩に手を置いて言うと、家を飛び出した。
从o゚ー゚从<ここで待ってなさい
私がミヤビ君を説得して来るわ
- 44 :A:2007/09/17(月) 18:34
- 市民vs警察の銃撃戦が今にも始まりそうなバリケードの側。
ミヤビが居た。
从o゚ー゚从<ミヤビ君
州*‘ -‘リ<あっ、あなたはリサコさんの……
手伝いにきてくれたのですか?
从o゚ー゚从<そうよ
从o゚ー゚从。o(今何を言ってもきかないだろう。
危なくなったら彼を連れて逃げよう)
近くで騒ぎが持ち上がる。
川*^∇^)||<いや、本当に私は一般市民で君達の味方だ
リ ・一・リ<嘘だね!俺は警察でお前を見たことがある。
間違いなくコイツは警察だ。
我々のスパイに来たんだ。処刑すべきだ!
縄でぐるぐる巻きにされるユリナ。
川*^∇^)||<くっ、これまでか…
从o゚ー゚从<向こうのバリケードで銃撃戦が始まった。
この男の処刑は私がするから
君達は支援に行きなさい!
川*^∇^)||<お前は!……こんな形で会うとはな
- 45 :A:2007/09/17(月) 18:35
- 縛られたユリナと、銃を持つマアサ。ふたりだけが残された。
川*^∇^)||<今まで追いかけた恨みが晴らせるな
さぁマアサ、私を殺すがいい
从o゚ー゚从<……
マアサは銃を空に向けて2発、撃った。
从o゚ー゚从<さぁ、縄をほどいてやるから逃げろ
川*^∇^)||<なぜ殺さない?
从o゚ー゚从<殺したくないからだ
川*^∇^)||<ここで殺さないと私はお前を捕まえるぞ
从o゚ー゚从<私にはもう少しだけやることがある
リサコのためにあの青年を守らねばならない。
それが済んだらいつでも捕まってあげる
川*^∇^)||<……
- 46 :A:2007/09/17(月) 18:35
- 銃撃戦の激しい場所。
革命軍は警察の圧倒的な武力の前に今にも屈しようとしていた。
ミヤビは、腕から血を流し倒れていた。
从o゚ー゚从<しまった!……いや、まだ息があるわ!
でもひどい傷。早く病院へ連れていかないと
ミヤビの上着を破いて包帯代わりに銃創をしばり血を止める。
持ち前の怪力でその体をかつぐと、警察の居ない場所へと逃げ込んだ。
下水道へ。
ノノl−_−'ル<…………
从o゚ー゚从<ハァハァ……明かりは、まだか
体を水浸しにしながら歩き続ける。
その上、ひとり背負っているからマアサの体力がどんどん
なくなっていく。やがて、遠くに明かりが見えた。
从o゚ー゚从<着いた!
しかしマアサひとりではミヤビを地上へ上げるのが難しい。
そこに人影が通りかかった。それは……
从o゚ー゚从<すまない、そこの人!
この人を持ち上げるのを手伝ってくれ!
ル ’ー’リ。o(こいつ!こいつは忘れても俺は覚えてるぞ。
あの預かったガキを連れ去った女だ。
金持ちだと思ったら、こういうことか)
- 47 :A:2007/09/17(月) 18:35
- ル ’ー’リ<あぁいいよ
モモコがミヤビの体を引き上げ、マアサが下から押し上げる。
ミヤビもマアサも無事、地上へと出れた。
从o゚ー゚从<ありがとう
ル ’ー’リ<いいってことよ
モモコはマアサにばれないようにさりげなく、
ミヤビの服の袖の一部を破り、ポケットに入れた。
ル ’ー’リ。o(モモはこういうことには勘が働くんだから。
これは良い強請りのネタになりそうな気がするぞ)
- 48 :A:2007/09/17(月) 18:36
- ミヤビの体を病院の前に下ろし、ドアを叩く。
人が出てくる前に姿を消し、家に戻ろうとするマアサの前に
ユリナが現われた。
川*^∇^)||<待っていたぞ
从o゚ー゚从<来たな、ユリナ君。ちょっと待っててくれないか?
リサコにミヤビ君が助かったことを告げに行きたい
川*^∇^)||<…………よかろう。ここで待っている
从o゚ー゚从。o(! まさか良いというとは思わなかった)
リサコに革命は市民軍の敗北であること、
ミヤビ君は無事で病院に運ばれたらしいことを告げた
マアサが戻ってくると、そこにユリナの姿はなかった
从o゚ー゚从<おい、ユリナ君!どこへ行った!
- 49 :A:2007/09/17(月) 18:36
- ユリナは街を歩いていた。
川*^∇^)||。o(なぜアイツは自分のことも構わず
他人のために動くのだ?犯罪者のくせに)
川*^∇^)||。o(犯罪者はすべて卑しい者だ。
私は今までそう信じ、そう行動してきた)
川*^∇^)||。o(法律は絶対で、
すべての犯罪者に適用されるべきなのだ)
川*^∇^)||。o(そう、信じてきた、のに……)
橋の側でユリナは歩みを止める。きれいな月が映っていた。
ユリナは拳銃を手に取った。
川*^∇^)||。o(罪にも理由があり、
法にも慈悲があるべきなのかも知れない)
川*T∇T)||。o(しかし、やはり私は認められない!)
銃声が1発静かに響き、
やがて何か大きなものが川へ落下する音が続いた。
- 50 :A:2007/09/17(月) 18:37
- 第十章 善き人
- 51 :A:2007/09/17(月) 18:37
- マアサがナッチ司教と出会ってから、もう数え切れない程の
年月が過ぎた。
怪力を誇った体も老いには勝てず、寝ている時間のほうが
長くなり始めていた。マアサはミヤビ君を家に呼んだ。
从o゚ー゚从<ミヤビ君はリサコのことをどう思っているの?
ノノl∂_∂'ル<あのっ、近いうちに結婚を申し込もうと思ってます
从o゚ー゚从<それを聞いて安心したよ
あの子と私は血が繋がっていないのです
ノノl∂_∂'ル<それは、リサコさんから聞いています
从o゚ー゚从<……ミヤビ君、実は私は前科者で犯罪者なのです
もしあなたがリサコを幸せにしてくれるなら
私はもう思い残すことはありません
私はリサコと離れて住もうと思います
ノノl∂_∂'ル<あなたが居なくなったらきっと
リサコが悲しむことでしょう
……でも、それも良いかも知れません
まだ世間では前科者や犯罪者に対する見方は冷たかった。
それを知っているマアサは自分から離れることを申し出た。
从o゚ー゚从<リサコをよろしく
- 52 :A:2007/09/17(月) 18:37
- 州*‘ -‘リ<ねぇ、なんでママ一緒に住まないの?
从o゚ー゚从<リサコはもうすぐ結婚するんだから、
相手の家に行っていろいろ学ぶ必要あるでしょ
だから街の近くに住んだほうが良いけど
私は森や自然の近くに住みたいの
ナツヤキ男爵の館に出入りするリサコをひとりの女が見ていた。
周りの人に話を聞けば、ナツヤキ男爵とリサコが近々結婚するという。
女はにやりと笑いながらナツヤキ家の門を叩いた。
ル ’ー’リ<男爵様、このたび結婚をされるようですね
おめでとうございます!
ノノl∂_∂'ル<どこのどなたか存じませんがありがとうございます
ル ’ー’リ<私はモモコと申すものですが、まぁそんなことより
ひとつ情報があるんですが買いませんか?
ノノl∂_∂'ル。o(モモコだと!)
ル ’ー’リ<あなたの結婚相手のリサコさんの親御さんについて。
金貨10枚です。聞かないと絶対後悔しますよ
ノノl∂_∂'ル<彼女の本当の親じゃないって事は知ってるけど?
ル ’ー’リ<うっ。ま、まだありますよ。
その本当の親じゃない彼女の過去ですが……
ノノl∂_∂'ル<前科者だということももう知ってるよ?
ル ’ー’リ<えっ!?
あぁぁえぇと、じゃあこれは?その親御さんが
あの革命の日の夜に
死体からお金を盗んでいたって話は知ってますか?
ノノl∂_∂'ル<何だって!?その革命には私も居たんだぞ!
あの神聖な戦いの場でそんな卑劣なことが!
- 53 :A:2007/09/17(月) 18:37
- ル ’ー’リ<あの女が下水道を死体を担いで歩いてたんですよ
たぶん目立たない場所で
持ち物を漁るつもりだったんでしょう
証拠もありますよ。その時に私会ったんですから
モモコがあの日、こっそり破った袖の切れ端を見せると
ミヤビの顔色が変わった。そして力いっぱいモモコを突き飛ばした!
ル ’ー’リ<何するんですかぁ!
ノノl∂_∂'ル<その服は私の服だ!
あの日、バリケードから私を病院まで連れて行って
くれたのが誰なのかずっと解らなかった!
彼女だ!彼女が私をおぶって下水道を歩き
警察の追っ手を逃れながら私を助けてくれたんだ!
お前はあの人の悪い真実を教えようとして逆に
あの人が聖人であることを証明したんだ!
ミヤビは金貨200枚の入った袋をモモコの足元に投げつけた。
ノノl∂_∂'ル<それをやるから、私の前から消えうせろ!
ル ’ー’リ<えっ、こんなに!
ノノl∂_∂'ル<昔、お前は戦場で大佐を助けただろう
ル ’ー’リ<大佐じゃなくて将軍でしたよ。大将のテラダ様です
ノノl∂_∂'ル<大佐だ!そのお礼も含めての金だ!
そしてもう二度と私の前に姿を見せるな!
ル ’ー’リ<????ドユコト?
- 54 :A:2007/09/17(月) 18:38
- ノノl∂_∂'ル<リサコ!おいで!
州*‘ -‘リ<どうしたの?
ノノl∂_∂'ル<君のお母さんに会いにいく
君と結婚したら僕の家で一緒に暮らそうって
お願いに行くんだ!
州*‘ -‘リ<えっ。でも……
ノノl∂_∂'ル<僕の親戚なんか気にするな!
誰が何と言っても、今度は僕があの人の
チカラになる番だ!
州*‘ -‘リ<はい!
- 55 :A:2007/09/17(月) 18:38
- ベッドに横たわるマアサの顔は穏やかだった。
从o゚ー゚从。o(もうリサコは安心だ。私の役目は終わった)
从o゚ー゚从。o(たった一つの教えを)
从o゚ー゚从。o(あの日聞いたたった一つの教えを守ったおかげで
私の人生は幸福なものとなった)
从o゚ー゚从。o(私は、幸せな人間だ)
今まさにマアサの生命の火が消えようとしているところに
そうなる運命だったかのように駆け込んでくるミヤビとリサコ。
州*‘ -‘リ<ママ!
ノノl∂_∂'ル<何で言ってくれなかったんです!
あなたが僕の命の恩人だと
从o゚ー゚从<私はもうすぐこの世を去る
リサコ、お前のおかげで素晴らしい人生だったよ
ミヤビ君、リサコを宜しく頼む
- 56 :A:2007/09/17(月) 18:38
- 州*‘ -‘リ。o(ママ、もう助かろうとしてない……)
ノノl∂_∂'ル<せめて、神父様を呼んできます
从o゚ー゚从<神父様ならもう、ほら、そこにおられる
三人の他には誰も居ないこの部屋でマアサが指をさす。
その先には――。
- 57 :A:2007/09/17(月) 18:39
-
Å
- 58 :A:2007/09/17(月) 18:39
- なんのへんてつもない墓地の片隅の
名前だけが刻まれた石が、彼女の墓であった。
ただ誰かが鉛筆で書いた詩がうっすらと読める。
運命の荒波を生きた彼女、
その天使を失なう時に死にたり。
それは自然のなりゆきである。
昼の後に夜が来るごとく。
- 59 :A:2007/09/17(月) 18:39
- おわり
- 60 :A:2007/09/17(月) 18:41
- >>29
いつまでも二人でならば人生楽しんで行けそうだね
>>30
原作はもっとみんな活き活きしてます
- 61 :名無し娘。:2007/09/17(月) 19:23
- 号泣した
- 62 :名無し娘。:2007/09/17(月) 22:31
- これ最初しか知らなかったけどこんな凄い話だったのね
- 63 :名無し娘。:2007/09/17(月) 22:47
- 桃子いい性格してるわ
- 64 :名無し娘。:2007/09/17(月) 23:19
- ある意味優勝候補だな
- 65 :名無し娘。:2007/09/17(月) 23:29
- 素直に感動した
- 66 :名無し娘。:2007/09/17(月) 23:33
- 配役がぴったりなんだよね
- 67 :名無し娘。:2007/09/17(月) 23:37
- ヨカタ
原作も読んでみるわ
- 68 :名無し娘。:2007/09/18(火) 01:37
- 思わず二回読んだ
- 69 :A:2007/09/20(木) 00:19
- >>61
原作も号泣するよ
>>62
パンを盗んで19年牢獄に……だけ何で有名なんだろうね
>>63
プロですから
>>64
りさこ優勝!
>>65
原作も感動するよ
>>66
そう?ナッチマアサリサコユリナ以外は変えても良さそうだよ
>>67
青い鳥文庫「ああ無情」がお勧め
短くまとまってるのに感動のポイントを外してない
>>68
原作も読むといいよ
- 70 :名無し娘。 :2007/09/25(火) 01:01
- レミゼのミュージカルは初演から見てるけど原作は一度も読んだことがない
一回読んでみようかなぁ
テナ、アンジョ、マリウスと男性陣がかなり省略されてるのはベリメンの
人数の関係でしょうがないんだろうけど、やっぱり残念でした
テナ妻がももちなのはぴったりだと思いました
とにかく作者さん、乙
演劇版からこれ借りてきました
AAに続くベリ、キュ合同での登場人物が多いヴァージョンも期待したいです
ジャジャジャジャ、ジャン♪(ごわぁぁ〜〜〜〜〜〜ぁぁあああぁ〜〜ん!)
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- 71 :名無し娘。:2007/09/27(木) 22:36
- もしかして作者さん 保育にもスレをお持ちでは?
(ちがったらごめんちゃい)
- 72 :A:2007/10/06(土) 23:16
- >>70
人が足りないのもありますが個人的にABCカフェの辺りは
それほど感動しなかったので省略しました
>>71
持ってないですよ
- 73 :名無し娘。:2007/10/07(日) 00:01
- Aさんはどのコテハンかカミングアウトしないんですか?
- 74 :A:2007/10/13(土) 09:16
- >>73
しないよ
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