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気の向くままになんか書いていきます。

1 :名無し娘。:2005/08/15(月) 17:07
爽やかな春の風に包まれ、俺――坂下准平は学校に向かっている。
何を隠そう今日から新学期!
高校2年生になんとか進級出来て、これからの日々に心をときめかせている。
ただ一つ気がかりなのは、春休み補習で全部潰れたからバイト出来なくて現在所持金が60円しかないことだ。
「やっべー…俺60円じゃ今月乗り切れない…」
「60円!?じゅんぺー貧乏じゃん」
「そーなんだよぉ…ってうわっ!なんだよ矢口かよ」
いきなり後ろから声がして振り返るとちっちゃな友達、矢口真里がいた。
少しだけ歩調を遅くして矢口に合わせてやる。
「60円に触れないでー…今マジ落ちてるから」
「んじゃ道の真ん中で大声で言うなよ」
「言ってねーよ!超小声だっただろ!」
「まぁまぁ」
笑いながら話してた矢口が突然立ち止まる。
少し俯いてプルプル震えている。

2 :名無し娘。:2005/08/15(月) 17:08
「なした?」
俺が声をかけた瞬間バッと勢い良く顔を上げ、よく通る声で叫ぶ。

「坂下准平は60円しか持ってない超貧乏野郎だぞーー!!!!!!!!!!!」

登校途中の全ての人が振り返った。
注目の的の俺と矢口。
「新学期だよ准平!気合入れていこーぜっ!!じゃなっ」
ビッとカッコよく敬礼して颯爽と過ぎ去っていく矢口を、俺はただ呆然と見つめた。



校門のところまで来るとたくさんの人が。
恒例のクラス替えだ。
これによって生徒は一喜一憂し、更に席決めで一喜一憂。
だから学生って喜怒哀楽が激しい傾向にあるのね。
「突っ立ってんなよ邪魔だバーカ」
物凄く酷い罵声に振り返る。
「俺はだなぁ、学生の感情の起伏が激しい現状を心理的に分析してたんだよ!」
「准平くん……」
「…え?え?梨華ちゃん?え?」
俺の視線の先には石川梨華ちゃん。
しくったな…、という様な顔をしている。

3 :名無し娘。:2005/08/15(月) 17:08
「今の『突っ立ってんなよ邪魔だバーカ』って…梨華ちゃん!?」
「…もぅー何言ってんの准平くん!あたしな訳ないでしょ?」
状況的には梨華ちゃんしか有り得ない。
それにめっちゃくちゃ苦笑いだぞ梨華ちゃん。
お返しとばかりに俺も引きつった笑顔で返す。
「そーだよね…ははは…はは…はははは」
「あはは…うふ…ふふふふ」
苦笑いと引きつった笑顔で笑い合う俺たちを避けながら、みんなは上手く掲示板に向かう。
俺も一刻も早くこの場から立ち去りたかったが、なんとなくタイミングがわからない俺たちはただ笑い合うしかなかった。



不審に思った先生が声をかけてくれるまで俺たちは笑い合っていた。
ありがとう先生、先生はメシアだ!!
尊敬の眼差しで先生を見つめると気持ち悪いぞ坂下、と言われてしまった。
……さぁ!
軽く傷ついたところで俺のクラスを見に行く。
梨華ちゃんと暇潰し(ということにしようと今決めた)をしたお陰で掲示板に群がる生徒はほとんどいなくなっていた。
俺はお前らよりゆったり優雅に見れるんだぜ、とか。
もみくちゃにされなくて済むんだ!、とかバカバカしいことを考えながら紙を見る。
「…俺のクラスはっと…」

1>「げっ!梨華ちゃんと同じ1組!?」
2>「特にこれといった知り合いはいないかな、2組か」
3>その他(誰と同じクラスで何組なのか書いてください)

4 :名無し娘。:2005/08/15(月) 17:09
投票してくれると嬉しいな。

5 :名無し娘。:2005/08/15(月) 17:32
…あ……あげっ

6 :名無し娘。:2005/08/15(月) 17:33
とりあえず1で

7 :名無し娘。:2005/08/15(月) 18:10


8 :名無し娘。:2005/08/15(月) 18:21
3で矢口と同じ4組

9 :名無し娘。:2005/08/15(月) 20:27
1で

10 :名無し娘。:2005/08/15(月) 21:26
1がおもしろそうなので1!

11 :名無し娘。:2005/08/15(月) 22:15
1>「げっ!梨華ちゃんと同じ1組!?」

「げっ!梨華ちゃんと同じ1組!?」
さっきのことがあったので少々ぎこちなくなってしまったと思われる俺と梨華ちゃん。
しかし物は考えようで、同じクラスになったのをきっかけに仲直り…とか。
いつもより少しだけ暗い足取りで俯き加減に歩いていたらお約束。
派手に前から歩いてきた人とぶつかってしまった。
「っ…痛てーなおい…」
「あわわゎゎ…………」
どうやら今日は運が悪いみたいだ。
「てめぇ…半殺す」
「半殺すってリアル過ぎて怖ぇーよ!」
俺がぶつかった相手は学校で評判の悪――藤本美貴だった。
もう不良を通り越して悪だね。
「落ち着け藤本落ち着け」
「落ち着くのはてめぇだ。なんか言っておきたいことは!?」
「あるあるある!!!!!!マジいっぱい有り過ぎてヤバイくらいっす!!!」
「逝く前に一言だけ言わせてやろう」
「マジ勘弁してくださいお願いしますまだ死にたくありません」
「………………」
鋭い瞳で俺を睨む藤本。

12 :名無し娘。:2005/08/15(月) 22:15
これはもう最終手段に入るしかないな。
隊長!僕は今プライドを捨てます!
「ごめんなさいすいません申し訳ありません僕が悪かったです許してください誠に申し訳ない」
俺は中腰で話していた体制から膝をつき土下座する。
おでこはギリギリ床にはつけていない。
隊長…僕にはまだほんの少しプライドが残っていました…。
恐る恐る顔を上げるとつまらなさそうな顔をした藤本が、ヤンキー座りで俺を見ていた。
「…許してくれない?」
「……今回だけだぞ」
「マジっ!!ありがと!ホント助かったよー」
「気をつけて歩けよ」
「うん!」
俺はありったけの笑顔で元気に返事をする。
さっきまでは恐怖で気付かなかったが、今日の藤本は何か一味違う。

13 :名無し娘。:2005/08/15(月) 22:15
なんだ?なんなんだ?
服?…いや、普通の制服だ。ピンクのカラシャツだけど。俺とお揃いじゃん。
髪?…そうだ!髪が違うんだ!!
「なんだよっ間抜け!ジロジロ見んなバカッ」
ボーッと藤本のいつもと違う点について考えていた俺は、きっと間抜けな顔で藤本を見ていたんだろう。
おかしいな。
考える人みたいな素晴らしい顔してたと思うんだけど。
「今日藤本良いね」
「は!?」
俺は頭の中で考えてたことをそのまま言う。
「なんか違うなって思ったんだよ。服かなとか。でも俺とお揃いなだけじゃん。んで髪?って思ったらビンゴ!でさー」
ビンゴ!、のところでゲッツ+ウインク。
「な…何よ」
「俺ロングのストレートって大好き!可愛いね」
今日の藤本はいつもと違い、髪を下ろしていたのだ。
緩いパーマもかけてなくて、正にロングのストレート。
「ななななななにいってんだよっ!!」
少し顔を赤くした藤本はとてもどもりながら言う。
それと同時に振り下ろされる右手。

14 :名無し娘。:2005/08/15(月) 22:16
「いってぇ!」
バシッと良い音をたてて藤本の右手は俺の頭に到着。
思わず頭を押さえた。
急に叩いたと思ったら、急に立ち上がる藤本。
そのまま痛がっている俺を残して藤本は立ち去っていく。
呆然とその後姿を見つめていたら、廊下の端っこまで歩いて行った藤本が振り返った。
そして叫ぶ。

「別にあんたに合わせてピンクにした訳じゃないから!!!!!それに髪だって…てめぇの感想なんか聞いてねーんだよぉーーーー!!!!!!」

叫ぶだけ叫んで階段を降りていく。
藤本の大声を聞きつけてやってくる先生。
来た先生は朝のメシアだった。
「せんせぇー」
立ち上がって大きく手を振る。
「まーた坂下か!お前は早く教室に入れ!!」
「ぶー」
さっきまで藤本もここにいたのに俺だけ怒鳴られるなんて。
釈然としないものを胸に抱えたまま、俺は素直に教室に入った。

15 :名無し娘。:2005/08/15(月) 22:16



入るとすぐに目が合う俺と梨華ちゃん。
しかしすぐに逸らされてしまう。
これは仲直りは難しそうだぞ…。
とりあえず黒板に書いてある席に座ってHRが始まるのを待つことにした。



チャイムと同時に担任が入ってくる。
「あっ!」
俺が声を上げると先生が俺を見つける。
「メシアだ!先生!先生は俺のメシアだよ!」
「なんだお前は!なんだメシアって!!意味わかってんのか!?」
「救世主だしょ?」
クラスからおー、という歓声が沸く。
「これから一年よろしく!」
立ち上がって朝の矢口みたいにカッコよく敬礼。
「もう俺先生やめたい…お前なんか…お前なんか…うわぁー!!!!!!」
最後のうわぁーで教室を飛び出していった先生。
出席も取らないで挨拶もしないで。
「なんだぁ?」
「ちょっと坂下くん!」
「はい!」
着席と同時に話しかけてきたのはメガネをかけた1年のときの学級委員男子。
「先生は君があんなことを言ったから出て行ってしまったんだ!連れ戻してきてくれ!」
「俺が!?」
「当たり前だろう」
めんどくせーなぁ、と言いそうになった瞬間キラリと光る委員長のメガネ。
俺の本能が逆らうなと言っていた。
「探してきまーす」
俺はトボトボと教室を後にした。
「さーて、何処に行くかなー」

1>その他(行きたいところと誰に会いたいかを書いてください)

16 :名無し娘。:2005/08/15(月) 22:41
体育準備室

17 :名無し娘。:2005/08/16(火) 23:48
どうせ最初からメシアを探す気などない。
今日は2時間目まで授業があるみたいだから、これを口実に全てサボっちまおう。
問題はどこに行くか。
見つかりにくい場所で、尚且つゆっくり出来る場所。
「あこそしかないじゃん」
ぴったりな場所を見つけた俺はポケットに手を入れながら走って行った。



ガラガラと少しだけ錆びている扉を開ける。
ここは旧体育準備室。
去年新しく屋内に体育準備室が出来てから、屋外にあるこの体育準備室はあまり使われなくなってしまった。
鍵もついていたがいつの間にか誰かが壊し(恐らく藤本であろう)、その後直されることもなく知る人ぞ知る穴場って感じだ。
ほとんどの運動器具はもうないが、穴が開いているマットや空気の抜けたボール等が転がっている。
ご丁寧にマットの上には真新しいシート。
埃まみれのマットに寝転がるのは嫌だけど、シートがあったら寝やすいもんだ。
俺は静かにシートに横になった。
小さな窓から射し込む光と微かな心地よい風に、俺はいつの間にか寝てしまっていた。

18 :名無し娘。:2005/08/16(火) 23:49



ヤバイ。
息が苦しい…つーか出来ない!
死ぬっ…!!
「…ぷっはぁっ!!!ハァ…ハァ…ハァ」
「やっと起きたね」
「ししし死ぬかと思った…!」
息苦しくて飛び起きると、そこには笑顔の後藤がいた。
右手を見ると洗濯ばさみを持っている。
「後藤真希ちゃん!鼻摘んだな!」
洗濯ばさみを指差しながら言うと、声を上げて笑い始める後藤。
「だって准平が苦しくなってくのわかるんだもん。だんだん眉間に皺寄ってくんの」
「ほんっとーに死ぬかと思ったんだぞ…」
恨みがましい目で後藤を睨む。
しかし後藤はそんなことお構いなしに笑い続けている。
仕方なく俺は話題を変えることにした。
「ごっちんさ………」

1>「何組だった?」
2>「お腹空いてない?」
3>その他

19 :名無し娘。:2005/08/17(水) 00:44
2

20 :名無し娘。:2005/08/17(水) 06:10
2しか思いつかなかった

21 :名無し娘。:2005/08/17(水) 12:30
3 「処女だって噂本当?」

22 :名無し娘。:2005/08/17(水) 23:46
「ごっちんさ………お腹空いてない?」
「空いた空いた!だって朝ご飯食べてないんだよー?」
「そーなん?」
「うん。ちょっと寝坊しちゃって」
「寝坊なんていつものことじゃん!どしたの!?」
吃驚して後藤を見ると、後藤は少し苦い顔をしていた。
「お母さんがね、今年こそは無遅刻で!、とか言い出して…」
心底困ったように頭を抱えながらうーっ、と唸り声を上げる。
そんな後藤の頭を撫で撫でしてから提案をする。
「じゃあさ!今から俺と一緒になんか食べに行こう!」
「………准平の奢り?」
「………………」

23 :名無し娘。:2005/08/17(水) 23:47
後藤の言葉に固まる。
提案はしてみたものの、俺の所持金を思い出せば60円。
奢るどころかこれじゃ俺だって何も食べれない。
「スミマセン後藤さん…俺は今60円しか持ってないんです…」
顔の前で両手を合わせて謝ってみる。
チラチラと後藤を見ながら、何か言い出すのを待つ。
数秒考えた後藤が素晴らしいことを言った。
「よしっ!今日はあたしの奢りだ!」
「マジでっ!!」
「マジマジ。一人で食べるより二人のが美味しいしね」
「だよな!」
別に奢ってもらうつもりじゃなかったんだけどこれは良い方へ流れたもんだ。
「何処行く?」
「んーそーだなぁ…准平決めていいよ」
「そんじゃあ……………」

1>学食
2>購買
3>コンビニ
4>その他

24 :名無し娘。:2005/08/18(木) 00:05
3

25 :名無し娘。:2005/08/18(木) 06:24
3

26 :名無し娘。:2005/08/18(木) 07:07
学生らしく1

27 :名無し娘。:2005/08/18(木) 09:59
4>しょっちんの手作り

28 :名無し娘。:2005/08/18(木) 11:20
3で

29 :名無し娘。:2005/08/19(金) 02:49
「コンビニ行かない?」
「いいねー。んじゃ早速レッツゴー!」
勢いよく振り上げられる後藤の右拳。
俺も負けじとやり返す。
ちょっとだけ笑い合ってから旧体育倉庫に使えない鍵をかけて校門を目指した。



授業中ということでもちろん校門は閉まっていた。
俺はなんとか乗り越えられるけど後藤は大丈夫だろうか。
少し後ろを歩いていた後藤を振り返って、校門を指差す。
「これ、飛び越えられる?」
「余裕だよぉ」
笑顔で答える後藤。
こんな質問は無意味だったみたいだ。
先に俺が校門を飛び越えた。
その後に後藤が続く。
「ちょっとパンツ見えるかもだから目ぇ瞑ってー」
「…………チッ」
「何、期待してたんだ?えっちぃ」
「まぁ…そーですけど」
パンチラ期待してたのに…!
後藤の凄まじい力で殴られるのは嫌なので素直に目を瞑る。
数秒の後、後藤が飛び降りたらしい音が聞こえた。

30 :名無し娘。:2005/08/19(金) 02:49
一応確認する。
「もう目開けても良い?」
「んー…もうちょっと」
もう飛び降りたハズなのに、疑問に思いながらも俺は目を瞑り続ける。
ふっと良い香りが漂う。
その瞬間俺の頬に柔らかいものが触れた。
驚いて目を開ける。
「…!?真希ちゃん!?あんた今何したの!!」
「いやぁちゃんと目ぇ瞑ってたご褒美!あはっ」
少し頬を赤く染めながら笑った後藤。
俺はしばらく自分の頬を指で触り続けた。



やっとコンビニに着く。
…なんだかすごく長い道のりだったような気がする。
俺はもちろん照れてて後藤の話に相相槌を打つ程度。
その内に後藤も照れだして無言で二人歩いてきたような感じだ。
「まったく…自分でしてきて照れんなよなー」
「…うるさいのっ!」
小さな声で呟いたハズなのにしっかり届いてしまった。
後藤は俺を置き去りにしてさっさと中に入っていってしまった。
「待ってよ後藤!」



中はとても涼しくて、俺たちにゆっくり商品を選ぶ時間をくれた。
「好きなもの買っていいからね」
「えーっと…何にするかな」


1>後藤に遠慮してドリンクだけ
2>いつものようにパンとドリンク
3>アイスクリーム
4>その他

31 :名無し娘。:2005/08/19(金) 04:28
3をお願い!

32 :名無し娘。:2005/08/19(金) 09:34
……何でだろ? 眩しくて、目が開けてられない。


3で

33 :名無し娘。:2005/08/19(金) 18:08
1〜

34 :名無し娘。:2005/08/20(土) 02:20
夏真っ盛りのこの時期、コンビニのアイスボックスはたくさんの種類のアイスで賑わっている。
様々なアイスを見下ろしながらどれにしようかと考える。
安いのだったら定番のガリガリくんとか。
後藤の奢りなのでやっぱり値段を気にしながら見てしまう。
ガリガリくんを手に取ろうと開けたとき、今の俺にぴったりのアイスが見えた。
急遽そのアイスに変更し、後藤のところへ戻った。
「俺決まったけど後藤は?」
「んー…もうちょっと。先に買って良いよ」
「サンキュ」
後藤から財布を受け取り会計を済ます。
外で待ってようかと思ったけどこのクソ暑い日に外で待つなんてバカだと思いやめた。



「おまたせっ」
雑誌コーナーで立ち読みしていると、カゴの中に数個の商品を入れた後藤に肩を叩かれた。
財布を渡すと後藤は会計に向かう。
俺もその後を付いていった。
「…結構食べるんだね」
「育ち盛りだからねー」
笑ってかわす後藤だけどこれは明らかに食い過ぎだ。
まぁもうちょっと太くても十分痩せてる部類に入ると思うけど。
会計が終わった後藤と俺はクソ暑い街の中に戻っていった。

35 :名無し娘。:2005/08/20(土) 02:21



コンビニから少し先にある公園で俺たちは休むことにした。
丁度良い具合に木陰のベンチが空いている。
どかっと座り込んでさっき買ったアイスを袋から出す。
それを二つに割って、片方を後藤の方に突き出した。
が、運悪くコンビニ袋の中を覗いている最中だった後藤の頬に当たってしまった。
「ひゃっ!冷たい…」
「ごめんごめん」
「え?これ…くれるの?」
自分の頬に当たったアイスを指差し、俺に尋ねる。
「奢ってもらったお礼ね」
「ありがと」
そう、俺が見つけたアイスとはパピコ。
これなら二人で分けられるし暑いこの季節にぴったりだ。
俺たちはそれから他愛もない話をしながら過ごした。



やがて学校が終わったのか校舎の方から人が歩き出してきた。
「さてと!ゴチになりました!」
「パピコありがとぉね」
「じゃーね」
「バイバイ」
すぐに家に帰って寝る、という後藤に別れを告げて俺は一人公園を出た。
「これからどーすっかな…」


1>帰宅
2>学校に行ってみる
3>その他

36 :名無し娘。:2005/08/20(土) 09:10
2!

37 :名無し娘。:2005/08/20(土) 23:57
>>1で新学期で書いてあるのに夏っておかしいですよね…。
季節は夏でいきます。
夏休み明けにクラス変えがあったということで…。

38 :名無し娘。:2005/08/21(日) 00:29
下校してくる見知った顔の奴らと立ち話をしながらだんだんと学校に向かっていく。
学校に着くともちろん校門は開いていた。
後藤のさっきの行動が思い出される。
校門を抜けながら一人照れながら歩いていると、前から梨華ちゃんが歩いてきた。
梨華ちゃんは俺を見ると物凄い形相で見つめて…睨んできた。
あの純情で可憐な梨華ちゃんがあんな顔するハズがない!
目を擦ってから見直してみるとそこには優しい笑顔のいつもの梨華ちゃんが。
一緒にいた吉澤さんに何かを話している。
呆然と見ていると吉澤さんに手を振って梨華ちゃんがこっちに来た。
そしてあの誰もが憧れる唇が俺の耳元で囁いた。
「旧体育準備室で待ってるから…絶対来いよ」
それはもう世にも恐ろしい声で。
俺を呼び出した梨華ちゃんは颯爽と去って行った。
それからしばらく今の出来事を頭の中で整理していると、メシアが目の前を通ったのが見えた。
「メシア!助けてお願い!」
「うわっ!なんだ坂下!!お前学校サボって何やってんだ!!!離れろ!!!」
泣きすがる俺を露骨に避けている。
そういえばメシアは叫びながら教室を飛び出したハズだけどその後すぐに戻ってきたんだろうか。
しかしそんなことは今の俺にはどうでもよくて、頭の中は梨華ちゃんのことでいっぱい。
隙を見て逃走したメシアの後姿をボーっと見つめる。
「ぁ゛ー…真希ちゃんと一緒に帰れば良かった…」

39 :名無し娘。:2005/08/21(日) 00:30



ガラガラと少しだけ錆びている扉を開ける。
ここは旧体育準備室。
先程と何も変わっていない室内。
しかし決定的に違うものがひとつ。
「…梨華ちゃん?」
「遅い」
「すすすみませんっ!」
俺が寝ていた青いシートの上に座っている梨華ちゃん。
つーかさっきから梨華ちゃんの声が低いんですけど…高音で有名なハズでは!?
「梨華ちゃん声低いね…風邪ひいた?」
「勝手に喋らない」
「はいっ」
ダメだ。
緊張する。
背中を嫌な汗が伝うのを感じるのと同時に梨華ちゃんが話し出した。
「今朝のこともあるし同じクラスだし…准平には話そうと思う」
今朝のこと、と言われれば思い当たるのはあれしかない。
しかも今さり気なく呼び捨てにされた、俺。
「察してると思うけど、あたし純情でもなんでもないから」
あぁ、やっぱり…。
薄々は気付いてたんだよ。
「普段は声も何もかもつくってるから」
「………もしかして今巷を騒がせてる“タンポポ”って梨華ちゃんなんか関わってる…?」
「うん、あたしリーダー」
なるほど、これで寒いネーミングな訳がわかったぞ。
明日みんなに自慢してやろう。

40 :名無し娘。:2005/08/21(日) 00:30
「わかってると思うけどバラしたらバラし返すから」
この場合バラし返すというのは殺られると解釈していいだろう。
「じゃ、あたし帰るから」
そう言ってシートから飛び降り、扉付近で声の調子を整える。
「チャオー」
いつもの高音でお決まりの台詞を吐いた梨華ちゃんは俺を残して帰って行った。



「変なのに関わっちゃったな…」
むちゃくちゃ後悔しまくりで帰宅すると、家の前にいたのは…。


1>親戚のおばさんと菅谷梨紗子
2>親戚のおじさんと夏焼雅

41 :名無し娘。:2005/08/21(日) 00:31
1を選んだ場合菅谷梨紗子ちゃんは幼稚園年少です。
2を選んだ場合夏焼雅ちゃんは幼稚園年長です。

42 :名無し娘。:2005/08/21(日) 08:22
桃子が良いな




1で

43 :名無し娘。:2005/08/21(日) 17:14
キッズはキャラがよくわからないので、誰か幼稚園生役で出て欲しい人いたら言ってください。
辻さんとか加護さんとか。

44 :名無し娘。:2005/08/21(日) 22:34
じゃあ高橋でひとつ

45 :名無し娘。:2005/08/23(火) 02:25
安倍さんで

46 :名無し娘。:2005/08/23(火) 06:07
辻で

47 :名無し娘。:2005/08/24(水) 18:11
誰で書けばいいでしょうか…。
とりあえず

1>高橋愛
2>安倍なつみ
3>辻希美

で投票してください。

48 :名無し娘。:2005/08/24(水) 20:51
やはり1>高橋で

49 :名無し娘。:2005/08/24(水) 21:37
3の辻さんで

50 :名無し娘。:2005/08/24(水) 22:31
1の たかはちあい でちゅー

51 :名無し娘。:2005/08/25(木) 17:56
初心の2で

52 :名無し娘。:2005/08/27(土) 00:04
家の前には親戚のおばさんとその子供がいた。
丁度うちのインターホンを押すところだったみたいで、おばさんの手が伸びる。
その前に俺は声をかけた。
「高橋のおばさん?」
一瞬ビクッとしらおばさんは、俺の方を見て声をかけたのが俺だとわかると安堵の息を漏らした。
「准平くんじゃないもうびっくりしちゃったわよ!おっきくなったわねぇ」
「おばさんこそどうしたんですか?立ち話もあれですし入ってください」
鍵を探しながらおばさんと会話をする。
確か最後に会ったのが俺が中学一年のときだから、随分会っていないことになる。
ちらりとおばさんの子供――愛ちゃんを見やると、俺の視線に気付きおばさんの後ろに隠れてしまった。

53 :名無し娘。:2005/08/27(土) 00:04



俺は今自分の部屋で愛ちゃんの遊び相手をしている、…はずなんだけど。
俺がどんなことをしても一向に懐いてくれないのだ。
部屋の隅っこで体育座りしながら手をモジモジさせているだけ。
たまに俺と目が合うとすごい勢いで逸らされる。
こんな状況が数十分間続いていた。
うちの両親と愛ちゃんのお母さんは何やら下で『大人の話』をしているのだそうで、俺に愛ちゃんが預けられたのだ。
正直もうどうしていいかわからずにお手上げしようと思っていたら、下から俺を呼ぶ声が聞こえた。
「愛ちゃんちょっと俺下行ってくるね」
一応そう言ってから階段を降りていった。



リビングにはおばさんはいなくて、両親となち姉だけがいた。
「あれ?おばさんは?」
「帰ったわ…」
「え?でも愛ちゃんまだ俺の部屋に…」
「ちょっといいから座りなさい」
疲れた様子の母さんにそう言われ座ると、父さんが大きくため息を吐いた。
「何?なんなの」

54 :名無し娘。:2005/08/27(土) 00:05
「おばさんね、明日から海外に行くんですって」
「へー」
「それでまだ幼稚園の愛ちゃんは連れて行けない場所に行くらしいのよ」
「ふーん」
「だからしばらくうちで面倒見ることになったから」
「え!?うち?」
今まで一言もしゃべらなかったなち姉が始めて言葉を発した。
「あんたが面倒見なさい」
「ハァーーーーーー!!!!?」

1>そんなんやってられっかよ!
2>……………マジかよぉ
3>その他

55 :名無し娘。:2005/08/27(土) 05:22
2で

56 :名無し娘。:2005/08/27(土) 06:03
2

57 :名無し娘。:2005/08/27(土) 09:18
3の ハァ━━━━━━ *´Д`*━━━━━━ン!!!!! で 

58 :名無し娘。:2005/08/27(土) 09:19
なっち姉さんの冷たさテラモエス

59 :名無し娘。:2005/08/28(日) 00:55
「…………マジかよぉ」
「そういうことで今日から愛ちゃんのことよろしくね。でもあんたも学生なんだから無理だったらお母さんにちゃんと言うこと」
「わかった…」



驚愕の家族会議が終わって部屋に戻る。
ドアを開けると、愛ちゃんが真ん丸い目で俺を見つめてくる。
なんだ、意外と可愛いじゃん。
愛ちゃんと同じ目線になって頭を撫でてみた。
ビクッとするのが手から伝わる。
同時に愛ちゃんは目も瞑ってしまう。
「俺ってそんなに嫌われてんの…」
思わずボソリと呟いた言葉は愛ちゃんには聞こえていないだろう。
しばらくそのまま撫で続けていると、やっと愛ちゃんが目を開けてくれる。
それでもまだビクビクしているのが面白いくらい伝わってくる。
とりあえずちゃんと向かい合って愛ちゃんの面倒は俺が見ることになったことを伝える。
「そーゆーことだから…これからヨロピク!…なーんて」
思いっきり明るく言ってみる。
その後に訪れる耐え難い沈黙、沈黙、沈黙。
俺はついに耐え切れなくなって布団に潜ってしまった。

60 :名無し娘。:2005/08/28(日) 00:55



学校での梨華ちゃんのこととか、愛ちゃんとのこととか色々あって本当に泣きそうになってた俺。
真っ暗な布団の中で一筋の涙を流そうとしていると、真っ暗だった視界に急に光が射した。
誰かが布団を少しだけズラしたみたいだ。
誰かって言ってもこの部屋には俺と愛ちゃんしかいないから愛ちゃんだ。
亀の様に、布団を被った状態で頭だけだして見てみると、愛ちゃんが足りない背で俺の布団を引っ張っている。
俺のベッドは少し高めのやつだから、まだ幼稚園の愛ちゃんにはギリギリ身長が足りないのだ。
何て言うか……とても可愛い。
しばらくボーっとその様子を傍観していると愛ちゃんが泣きそうになってしまったのでやっと布団から出る俺だった。



先程のことで少しだけ仲良くなれた気がする俺と愛ちゃん。
その証拠に触れてもビクッとしなくなったし、たまに笑顔まで見せてくれるようになった。
「さてと、どーしよっか?」


1>愛ちゃんと室内でかくれんぼ
2>公園にお散歩に行く
3>その他

61 :名無し娘。:2005/08/28(日) 05:54
1で

62 :名無し娘。:2005/08/28(日) 06:14
2〜

63 :名無し娘。:2005/08/28(日) 14:23
2で

64 :名無し娘。:2005/08/31(水) 18:42
3 室内でお絵かき遊び

65 :名無し娘。:2005/08/31(水) 19:03
2で

66 :名無し娘。:2005/09/02(金) 00:53
外は物凄く暑いけど、夕方になって多少は涼しい風が吹くようになってきた。
それに愛ちゃんは今日からうちに住む訳だからこの辺の子供たちと仲良くなれるかもしれないな。
という訳で、俺たちは公園に向かうことにした。



「じゅんぺーおにーちゃん」
「んー?」
「あい、おなかすいたー」
「じゃぁコンビニでなんか買ってやるよ」
公園までの道のりに丁度コンビニがある。
昼間後藤と寄ったコンビニだ。
自動ドアの前に立つとドアが開く。
一瞬にして俺たちは冷気に包まれた。
「いらっしゃいませー」
「うぉ!藤本じゃん」
カウンターの中で暇そうにしていた藤本に気付き、声をかける。
「なんでアンタがこんなとこいんだよ」
「買い物。愛ちゃん、なんでも好きなもの一個買っていいからな」
「はーい!」
元気よく返事をくれた愛ちゃんは店の奥にタッタッと駆けていった。

67 :名無し娘。:2005/09/02(金) 00:53
「何、あの子。アンタの子供?」
「んな訳ねーじゃん。親戚の子デス」
「ふーん…可愛いね」
「だろ!?無邪気さっつーのかな…最初口も聞いてくれなかったのに今じゃすっかり懐かれちゃってさぁ」
「デレデレしてんなバカ」
ギュっ!と思い切り頬を抓られる。
「いふぁい!ふぃふのふぃてる!」(痛い!肉伸びてる!)
「お前はロリコンか」
「っ…ちっげーよ!」
やっと離してくれた頬は、恐らく真っ赤になっているであろう。
触ってみると少しだけ熱を持っていた。
マジ痛いよ、あー後藤がキスしてくれた方なのに。
「じゅんぺーおにーちゃん」
「どーかしましたかー?」
「きんちゅうじたいでーす」
「緊急事態なぁー。蜂にでも刺されましたかー?」
「ちょっと来てー」
「ハーイ…っていてーよ!」
愛ちゃんと会話をしていただけなのに後ろにいた藤本に後頭部を思い切り叩かれた。
「なんでそんな距離空けて話してんの!めいわく」
そう言ってまた藤本は俺を叩いた。
「あー!じゅんぺーおにーちゃんをいじめちゃだめー!」
「あ?」
「ビクッ……」
さすがに幼稚園児に藤本を直視する勇気はなかったみたいだ。
愛ちゃんは藤本と目が合った瞬間、硬直してしまった。

68 :名無し娘。:2005/09/02(金) 00:54



「じゃーな藤本」
「もう来んな!」
とてもバイトが客に言う言葉ではないことを言われ、俺たちはコンビニをあとにした。
「じゅんぺーおにーちゃん…あのおねえちゃんこわい…」
「ハハ…ハハハッ」
それから公園に着くまで愛ちゃんの顔に笑顔はなかった。



公園に着いてからの俺の努力は素晴らしかった。
なかなか藤本の恐怖から離れられない愛ちゃんと、どうにか遊ぼうとあの手この手で頑張った。
そして今は愛ちゃんが乗っているブランコを、押してあげている。
「ねー!」
「何?」
「あいね、あいね」
「おー」
「おっきくなったらねー!」
「うんうん」
「じゅんぺーおにーちゃんとけっこんするー!」
生まれて初めてプロポーズされてしまった。
さて、相手は愛ちゃん。
どう答えるべきか。


1>曖昧に流す
2>適当に相槌を打っておく
3>その他

69 :名無し娘。:2005/09/02(金) 06:39
1で

70 :名無し娘。:2005/09/02(金) 11:01
3 真剣に受け止める

71 :名無し娘。:2005/09/02(金) 13:31
3 誓いのキスをしちゃう

72 :名無し娘。:2005/09/02(金) 21:56
前フリとしては2が熱い  何年後だって話だが

73 :名無し娘。:2005/09/03(土) 02:04
3 約束の指きりをする 

74 :名無し娘。:2005/09/03(土) 09:21
3 両親に挨拶する

75 :名無し娘。:2005/09/04(日) 21:00
1>真剣に受け止める
2>誓いのキスをしちゃう
3>約束の指きりをする
4>両親に挨拶する


の中から選んでください。

76 :名無し娘。:2005/09/04(日) 23:17
3!!

77 :名無し娘。:2005/09/06(火) 05:16
じゃあ俺も3で

78 :名無し娘。:2005/09/08(木) 07:16
じゃあ俺は2で

79 :名無し娘。:2005/09/15(木) 18:34
3 de

80 :名無し娘。:2005/09/21(水) 22:32
頑張れ!
3で

81 :名無し娘。:2005/09/23(金) 16:52
B

82 :名無し娘。:2005/09/24(土) 18:21
(3-_-)<……3を

83 :名無し娘。:2005/09/26(月) 06:53
━┓
━┫
━┛で

84 :名無し娘。:2005/09/28(水) 06:45
sunday

85 :名無し娘。:2005/10/04(火) 07:58
サーン!

アシタカー!

86 :名無し娘。:2005/10/07(金) 07:50









87 :名無し娘。:2005/10/09(日) 13:20
( ^▽^)<3

88 :名無し娘。:2005/10/09(日) 17:49
3を

89 :名無し娘。:2005/11/15(火) 17:13
そろそろ更新を

90 :名無し娘。:2006/01/05(木) 21:33
一旦ブランコを止めて愛ちゃんの前に行く。
そのまま俺はしゃがんで、ブランコの愛ちゃんと同じ目線になった。
「よーし、じゃぁ愛ちゃんはお兄ちゃんがもらっちゃうぞー!」
愛ちゃんを抱きかかえ高い高いする。
「やー!たかーい!」
「愛ちゃんが将来お兄ちゃんより良い人見つけるまで俺が愛ちゃんの彼氏ね」
「きゃーっ」
ほっぺにチュッとキスしてあげたら両手でほっぺを押さえて恥ずかしがる。
この野郎…マジで可愛いじゃねーか。
愛ちゃんを降ろして小指を差し出す。
「んじゃ指切り。約束」
「ゆびきりー」
「嘘ついたら…チューしちゃうぞぉー」
思い切り唇を突き出して愛ちゃんに迫る。
「やー!!」
叫びながら逃げ出す愛ちゃんを笑いながら追いかける。
公園の入り口近くのところでやっと愛ちゃん捕獲。
「捕まえた」
「つかまっちゃった!」
「じゃぁ暗くなってきたのでおうちに帰りまーす」
「あーい」
元気な返事を返す愛ちゃんと手を繋いで家に帰る。
帰路の途中、愛ちゃんがボソリと言う。
「あい、おかーさんいなくてもおにーちゃんいるから平気だもん…」
まるで自分に言い聞かせるような言葉の後に、少し鼻を啜る音。
俺は居た堪れなくなって思わず愛ちゃんを抱き上げた。
最初不思議そうな顔をしていた愛ちゃんだけど、だんだん笑顔になってきて俺の顔を弄りだす。
「くすぐったいって」
「えへへ…」
そのまま愛ちゃんを抱えながら走って家に帰った。

91 :名無し娘。:2006/01/05(木) 21:34



「「ただいまー」」
「あんたたち元気良いわねー…羨ましい」
「なち姉だってまだ若いじゃん、ねー」
「ねー」
帰った俺たちを迎えてくれたなち姉に、愛ちゃんと顔を合わせて声を揃える。
実際なち姉まだ若いし。
「二人とも手洗ってご飯食べなさいね」
「「はーい」」



それからご飯食べて、風呂入って、愛ちゃん寝かしつけて。
ちなみに愛ちゃんは堂々の一人部屋だ。
丁度空いてた部屋がひとつあったので、そこを使ってもらっている。
どうやら愛ちゃんは絵本がないと眠れないようで、おばさんの置いてった荷物から大量の絵本が発見された。
毎日俺が読むのかな…。
少し気を落としながらリビングに戻る。
リビングでは風呂上りのなち姉が冷蔵庫からビールを取り出しているところだった。
俺に気付いたなち姉に声をかけられる。
「准平も飲む?」
「俺まだ未成年だけど」
「そんなこと言わないの。外じゃ結構飲んでんでしょ」
「飲んでねーよ!何それ」
「だって今日も愛ちゃんと公園行ってる間に女の子から電話あったし」
「電話?」
ソファに座りながら雑誌をパラパラと捲りながら答える。
「なんか妙に声高い娘。石川って言ってた」
「梨華ちゃん!?」
なんでそんな重要なことをすぐに教えてくれないんだ!
ヤバイぞ、非常にヤバイ。
「梨華ちゃん……タンポポ…殺…殺さ…」
「何ブツブツ言ってんの。彼女?」
「彼女だなんて滅相もございません!!!」
ここは全力で否定しないと後々面倒なことになりそうだ。
俺は知ってるんだ。
なち姉の親友のカオリさんがタンポポのメンバーだってことを。
いつなち姉→カオリさん→梨華ちゃんという順でバレるかわからない。
ビールを飲み干したなち姉は興味なさ気にそうなんだ、と言うと自分の部屋に戻って行った。

92 :名無し娘。:2006/01/05(木) 21:34



そして俺は今、携帯片手に悩んでいる。
梨華ちゃんはどうして俺の携帯番号を知っているにも関わらず自宅に電話をしたのだろうか。
答えは簡単だった。
電池切れでいつの間にか切れていた俺の携帯。
充電して電源を入れてみると恐ろしいことが起きていた。
受信メール7通、着信10回。
全て梨華ちゃんだ。
なんだ、なんなんだ、なんなのよ!
はっきり言って電話するのが怖い。
しかししなければもっと怖いことになりそうな…。


1>電話する
2>電話しない
3>その他

93 :名無し娘。:2006/01/06(金) 01:18
更新キテター
3のメールで様子見

94 :ひとみ:2006/01/06(金) 11:31
君この話パチだろ!!

95 :名無し娘。:2006/01/06(金) 15:56
更新乙
3で会いに行く

96 :名無し娘。:2006/01/06(金) 20:32
>>94
これは小説ですが何か?

97 :名無し娘。:2006/01/07(土) 23:44
1>メールで様子見
2>会いに行く

のどちらに投票してください

98 :名無し娘。:2006/01/08(日) 06:30
2〜

99 :名無し娘。:2006/01/08(日) 08:19
まずはジャブで1かなぁ

100 :名無し娘。:2006/01/12(木) 19:39
次の投票で話進めますので誰か投票してください

101 :名無し娘。:2006/01/12(木) 20:06
2で

102 :名無し娘。:2006/03/06(月) 02:10
夜中に一人こっそりと家を出て、梨華ちゃん家へ向かう。
この時期の夜、布団の中は蒸し暑いだけでも外に出ると意外に涼しい風が吹いていた。
それでもしばらく歩き続けると汗が出てきて、体に張り付き始めたTシャツが気持ち悪くなってきた。
その上今向かっている先は梨華ちゃん家。
気も重くなり、自然と足取りも重くなるってもんだ。
そんなこんなで梨華ちゃん家の前に着いてしまった。
この浮かない気持ちを吹き飛ばそうと携帯に手を伸ばし梨華ちゃんに電話をかける。
しばらくのコール音の後、やっと梨華ちゃんが出てくれた。
『…もしもし』
「あれ?梨華ちゃん…?」
『そーだけど、准平か…』
「今梨華ちゃん家の前にいんだけどさ」
『今?』
「うん。今日メールとか電話くれたみたいだけど、どーしたの?」
『ちょっと待ってて、今行くから』
「え、ちょっ……」
一方的に電話は切れ、梨華ちゃん待ちの状態。
それにしても梨華ちゃん、声低くなかったな。
もしかして作ってるっつーのは嘘であれが地声なんじゃ…?
「お待たせ」
俺の耳に高めの声が響く。
前を向くと、梨華ちゃんが玄関から少し離れたところで俺を呼んでいた。
風呂上りなのか前髪が上で結ばれていて、少し湿っぽい様な感じだ。
不覚にも、ドキッとしてしまう。
「風呂上り?」
「そう」
少しだけ近づくと、ふわっと良い香りが漂う。

103 :名無し娘。:2006/03/06(月) 02:11
俺はドキドキを隠すように話し出した。
「なんつーかさ!そのぉ…風呂上りの女の子って色っぽいよね!」
「…そうかな」
ヤバイ、完全に墓穴を掘ってしまった。
思ったことをそのまま言ってどうする、俺。
しかし梨華ちゃんの反応は意外なもので、俺があたふたと本心を漏らしているのを微笑みながら聞いている。
まるで学校にいるときの、みんなのイメージ通りの梨華ちゃんの様だ。
「あっ、電話とかメール。何かあった?」
本題からズレ始めていた会話を、俺がここに来た理由に戻す。
梨華ちゃんから返ってきた返事は、俺を混乱させるものだった。
「なんかさー…疲れちゃって。優等生演じるの。でも……」
そこで一旦言葉を切って、俺の方にフラフラと近づいてくる。
やがて梨華ちゃんの湿った髪が俺のTシャツを濡らす距離まで近づくと、言葉を続けた。
「あたしの本性知ってるの准平くらいしかいないし…」
内心梨華ちゃんがこんな至近距離にいることにドキドキしながらも、平静を装って会話を続ける。
「タンポポのメンバーとかは?」
「無理よ…。あたし、リーダーだもん」
「で、俺な訳ね」
「うん、誰かに愚痴こぼしたかっただけなの。ごめんね」
「いや、別に良いよ。でもさ梨華ちゃん」
「…?」
「そんなに辛いんなら声、作んなくても良いんじゃない」
一瞬顔を上げた梨華ちゃんは、しまった、という顔付きで再び俯く。
「バレちゃった?」
「今気付いた」
「そっか…」

それからは穏やかな梨華ちゃんと他愛もない話をした。
今日梨華ちゃん家に来て、俺の梨華ちゃんに対する印象がかなり変わった。
もちろん、良い方向に。
それだけの収穫があっただけでも今日来たのは正解だったかなと思う。
怒られなかったし、梨華ちゃん可愛かったしね。

次の日からも梨華ちゃんは相変わらず優等生だ。
そして相変わらず怖いままだ。
まぁ声が高くなった分マシになったけど。

104 :名無し娘。:2006/03/06(月) 02:12



それからは特に何もないまま数日が過ぎた。
俺はいつもの様に図書室に来ている昼休み。
うちの学校の図書室はいつ何時来ても人がいない。
図書委員でさえもいないのだ。
それだけに、俺の落ち着ける空間になっていた。
が、ここ最近俺の他にもう一人図書室の常連になってる奴がいる。
今日ももうすぐ来る頃だろう。
「きたきた…ふじもとぉー」
本を片手に入ってきた藤本は、俺の声に気付き明らかに落胆した様な表情を見せた。
まぁこれもいつものことだ。
「勝手に本持ち出しちゃダメでしょ」
「いいじゃん、どーせ誰も困んないんだし」
「まーねぇ」
グダグダと藤本と話しながら昼休みが終わるのを待っていると、窓から鈍い音がした。
藤本は気付いていないみたいだが、窓の方を見るとごっちんがいるではないか。
何かを言っている様だがあいにく俺には読唇術の心得がない。
藤本も藤本で会話を続けてくるし…。


1>後藤は後で。藤本との会話優先。
2>藤本ちょっとごめん。窓に近寄る。

105 :名無し娘。:2006/03/06(月) 07:57
キテター!!!
2で。

106 :名無し娘。:2006/03/07(火) 15:25
2でお願いします!!

107 :名無し娘。:2006/03/07(火) 17:42
「ちょっと待って」
何だろうと思い藤本にそう言い窓に駆け寄る。
俺が近づいてくるのに気付いた後藤は笑顔で手を振ってみせる。
窓の鍵を開け、後藤と直接話せるようになったところで、俺の視界にいてはいけない人が映った。
「…愛ちゃん?」
「じゅんぺーおにーちゃん!」
右手で後藤のスカートをキュッと掴み、左手には大きなバスケットを持っている。
何で愛ちゃんが高校に?
訊ねるように後藤に視線を移すと、後藤は苦笑いしながら説明してくれた。
「准平お兄ちゃんにお弁当持ってきたんだって。校門のとこでオロオロしてたのをあたしが連れて来たの」
なるほど、俺に弁当を…!
無邪気に笑いながら俺を見つめる愛ちゃんを見ている内に、胸に込み上げる何かを抑え切れなくなり、
窓から身を乗り出して愛ちゃんを抱きかかえた。
瞬間。
目の前に広がるピンクの………。
「キャァっ!!!」
ずっと後藤のスカートを握っていた愛ちゃんを上に持ち上げたので、スカートも一緒に捲れてしまったのだ。
後藤は慌てて隠そうとするが、すでに時遅し。
バッチリ目に焼き付けましたとも。

108 :名無し娘。:2006/03/07(火) 17:43
「…見た…?」
「…もちろん」
ナイス、愛ちゃん。
赤い顔で俯く後藤が場の空気を変えるように話題を振る。
「お弁当…食べようよ」
「え?ごっちんも食べんの?」
「悪い?あたしここまで愛ちゃん連れて来てあげたんだけどなぁー…」
ここまでの会話を聞いていた愛ちゃんが耳元で大きな声を上げた。
「まきちゃんもいっしょ!!」
「「ねー」」
すっかり仲良しになったご様子で。
まぁいいか。
それじゃあ藤本も一緒に…、と図書室を振り返ると、さっきまでそこにいたハズの藤本はいなくなっていた。
「アレ」
「どーしたの?」
「んー…何でもない」
力なく笑って返す俺に、窓を乗り越えてこっちにやってくる後藤。
校門も乗り越えられる後藤からしたら何てことないんだろうな。
愛ちゃんを降ろしてあげて重いバスケットを受け取り図書室の机に広げる。
「「「おぉー…」」」
三人揃って感嘆の声を上げた。
愛ちゃんも目をキラキラさせている。
「なち姉が作ったの?」
「うん!」
マジで美味そうだけど結構な量がある。
…生憎こっちは今さっき食べ終わったばかりだ。
「後藤さん頑張ってね」
「こんなの余裕だって」
弁当はおにぎりとサンドウィッチにわかれていて、俺はサンドウィッチをもらうことにした。
愛ちゃんと後藤はおにぎり。
美味しそうに食べる二人を見ていると、どうやら二人とも唇の少し下、同じところにご飯粒がついている。
「普通これってシチュエーション逆だよね…」
さて、どっちにしようか。


1>後藤の方を取ってあげる。
2>愛ちゃんの方を取ってあげる。
3>その他

※二人とも取ってあげるはナシで。

109 :名無し娘。:2006/03/07(火) 17:50
1で

110 :名無し娘。:2006/03/07(火) 21:01
1でお願いします

111 :名無し娘。:2006/03/08(水) 01:09
うっきゃーい!!
1でお願いします!!!

112 :名無し娘。:2006/03/08(水) 12:09
いやいや、ここは2で

113 :名無し娘。:2006/03/09(木) 19:29
1が良いです

114 :名無し娘。:2006/03/11(土) 15:04
まぁここは2で

115 :名無し娘。:2006/03/13(月) 23:47
1で
お待ちしてます

116 :名無し娘。:2006/03/23(木) 22:49
そろそろ

117 :名無し娘。:2006/04/01(土) 11:32
2

118 :名無し娘。:2006/04/20(木) 16:22
まだ

119 :名無し娘。:2006/05/08(月) 22:15


120 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

121 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

122 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

123 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

124 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

125 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

126 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

127 :名無し娘。:2006/05/17(水) 20:02


128 :名無し娘。:2006/06/17(土) 19:33
オレハマッテルゼ

129 :名無し娘。:2006/07/07(金) 22:53
8月に更新予定です。

130 :名無し娘。:2006/07/18(火) 22:19

待ってます

131 :名無し娘。:2006/07/19(水) 18:57
1

132 :名無し娘。:2006/08/10(木) 23:17
8月でっせ

133 :名無し娘。:2006/08/13(日) 02:01
愛ちゃんの方は年齢的にも可愛いし、米粒がついてたところで問題ないだろ。
後藤の方も可愛いことは可愛いが、本人の名誉の為に取ってやろう。
「後藤さん、ちょっとこっち」
指をクイクイしてこっちに来るよう合図する。
不思議そうな顔をして素直に近付いてくる後藤with米粒。
近くで見ると意外とうけるな…。
ヤバイ、笑うな俺!
今にも笑い出しそうな自分を必死で制してゆっくり後藤の頬に触れ米粒を取ってあげる。
「あ、何だあたし恥ずかしいじゃん」
自分に米粒がついてたことがわかった後藤は照れる様に笑うと、俺の手を取って言う。
「ねぇ。食べてよ」
「えっ?何?」
突然の言葉に聞き返してしまった。
確かに俺の耳には『食べてよ』と聞こえたんだ。
それはつまり『私を食べてっ』ってやつか?
「いやでもそれはちょっと、ね?愛ちゃんもいるし」
「何言ってんの?」
俺のもっともな言い分に意味不明といった感じで小首を傾げる後藤。
「ご飯粒食べてって言ってんの」
あぁ…ご飯粒ね。
「米粒かよ…って、え!?」
さすがに『私を食べてっ』ではなかったにしろ米粒を食べてって…。
明らかにおかしいだろ。
俺はあからさまに不審な顔をして後藤を見上げる。
その表情から俺の気持ちを読み取ったのか後藤が説明を付け加えた。
「何か憧れなんだよねー。ご飯食べて口についてるクリームぺろって」
わかるけど、後藤の言いたいことはわかるけど。
だけどやっぱり俺としては後藤の唇周辺についていた米粒を食べるというのは…って考えすぎか。
どうってことないことなんだし、意識しすぎの俺が悪い。
俺は何とも思ってない風を装ってパクッと一口、自分の米粒が乗っている指を口に入れた。
「うん、後藤の味は……しない」
「あはっ、何言ってんの准平」
笑いながら満足そうな後藤の笑顔と、美味しそうにサンドウィッチを食べる愛ちゃんに囲まれて、俺は久々に楽しい昼食の時間を終えた。

134 :名無し娘。:2006/08/13(日) 02:01



「じゃぁ愛ちゃんはこのままあたしが准平んちまで送ってくね」
最初から早退する気満々だった後藤は、良い口実が出来たという感じで愛ちゃんと遊びに行ってしまった。
図書室に一人残された俺はこれからどうするかを考える。


1>そういえば藤本はどうしたんだろう
2>授業に決まってる
3>このまま図書室で一眠り

135 :名無し娘。:2006/08/13(日) 02:02
8月中に最低もう1回は更新します。

136 :名無し娘。:2006/08/13(日) 02:12
1で

137 :名無し娘。:2006/08/13(日) 11:34
更新乙です
3でお願いします。

138 :名無し娘。:2006/08/15(火) 12:49
1で

139 :名無し娘。:2006/08/23(水) 00:07

そういえば藤本はどうしたんだろう。
ついさっき予鈴が鳴ったばかりだから、あと五分くらいで授業が始まるはずだ。
アイツが真面目に授業を受ける…なんてのは考えにくい。
図書室じゃないとすると使ってない空き教室か、中庭か。
いや、俺の予想を超えていくのが藤本美貴という女だ。
よし。こうなったら意地でも藤本を探し出してやる。
「かくれんぼスタートだ!」



勢い良く図書室を飛び出し、勝手にかくれんぼを始めたものの、何処を探しても藤本はいない。
すでに予想していた空き教室や中庭は調べ尽くした。
それはもう掃除用具入れの中までバッチリと調べた。
なのに見つからないとなるともう何処を探せばいいのやらわからない。
まだ探していない場所といえば体育館と校庭と使用中の教室くらいだ。
まさかサボり中の自分が使用中の教室を堂々と探す訳にはいかないので、とりあえず俺は体育館へ向かう。
体育館は教室棟と一本の渡り廊下で繋がっていて、その渡り廊下の窓からは中庭が見渡せるようになっている。
俺は廊下を歩きながらキョロキョロと視線を動かし、藤本が何処にいても見失わないように注意をしていた。
そのお陰か、広い中庭を歩く背の小さい女の子を見つけることが出来た。
窓に走り寄った時、ゴツッと何かが落ちる音がして振る返る。
しかし、何も変わったことはない。
俺は気にせず大声で呼びかけた。
「矢口ー!!」
一瞬ビクッとしてから、小さい身体を捻ってどこからの声か必死に探そうとしている。
そんな姿が何となくもう少し見ていたくて声をかけずに笑いながら傍観する。
が、中々俺には気付かない。
早く藤本を探さないといけないことを思い出した俺は、からかうのをやめてもう一度呼びかけた。

140 :名無し娘。:2006/08/23(水) 00:07
「やーぐーちー」
今度は大きく手を振りながら呼んだお陰か、矢口も俺に気付く。
「何だ准平かよ!お前そこにいるならいるって言えよ!」
「うっせー!気付かねぇお前が悪いんだよ!」
「何だとー!?…っておいらこんなことしてる場合じゃないんだよ!」
「そーいえば何してんの?」
「美術でお絵描きしてるんだけどさー、何描くか決まんなくて」
「そっかぁ。まぁ頑張れよ!じゃなっ」
「おぉ!准平も授業受けろよー!」
最後に嫌な言葉を残して、矢口は中庭から姿を消した。
そういえば今は授業中だったか。
あんな大声で矢口と喋ったのはまずかったかな。
軽く周囲を見回してから廊下を渡り切って体育館への扉を開けた。
渡り廊下に、携帯を落として。



ガガガーッと音を立てて開けた扉の中は静寂に包まれていた。
今の時間は体育の授業でも使われていない様子だ。
気を緩めた俺は一瞬藤本を探すことを忘れてバスケットボールを手に取った。
軽くポンポンとその場でボールをつき、ドリブルを始める。
特に上手くもなければ下手でもない俺は、調子に乗ってそのままシュート。
しかしそんなに都合良く入る訳もなく、無念にもボールはゴールに当たって弾けてしまった。
そのまま入るまでやっていると何だかやめられなくなってしまい、途中からはネクタイをはずしてプレイする。
ちょっとこの短時間で上手くなった気がするのは気のせいだろうか。
無我夢中で色々とシュートを決めていると、チャイムの音が体育館に響いた。
呆然として壁にかけてある時計を見るとすでに授業終了時刻。
一時間程バスケをしていたことになる。
「熱中するって怖っ…」
帰りのHRは出ないと担任がうるさいので、教室に戻らなければならない。
額にうっすら浮かんだ汗を拭ってから、ボールを元に戻し、体育館を出て行った。
ライン際に、ネクタイを忘れて。

141 :名無し娘。:2006/08/23(水) 00:08



「なっ…!何でお前がここにいるんだよ!!!」
教室に戻った俺は驚愕の声を上げた。
それもそのはず。
ずっと探していた藤本が、なんと真面目に授業を受けていたのだ。
そりゃ、どこを探してもいないはずだ。
俺の予想を超えていく女、藤本美貴。
完全にやられてしまった。
藤本美貴vs坂下准平、第一ラウンドKO負けってとこか。



帰りのHRも終わり、帰ろうと廊下を歩いていた俺を呼ぶ声があった。
その声の主は…。


1>俺の携帯を持った梨華ちゃん
2>俺のネクタイをつけた藤本
3>その他

142 :名無し娘。:2006/08/24(木) 08:15
2〜

143 :名無し娘。:2006/08/24(木) 20:23
2で

144 :名無し娘。:2006/08/25(金) 01:45
2がいい

145 :名無し娘。:2006/08/29(火) 19:51
2で

146 :名無し娘。:2006/10/09(月) 20:20
年内に更新します

147 :名無し娘。:2006/12/25(月) 18:19
マジすか

148 :名無し娘。:2007/01/17(水) 10:35
年が明けたぜ

149 :名無し娘。:2007/02/13(火) 01:17
まさかこのままじゃ…

150 :名無し娘。:2007/03/11(日) 09:11
ないだろうな

151 :名無し娘。:2007/04/06(金) 16:44
さあ

152 :名無し娘。:2007/05/04(金) 13:13
うむ

153 :名無し娘。:2007/06/08(金) 08:18
どうかな

154 :名無し娘。:2008/06/21(土) 01:37
俺のネクタイをつけた藤本だった。
ふと自分の胸元を見遣ると、なるほど、何も無い。
そこで漸く俺は体育館にネクタイを置き忘れたことに気付いた。
「何でお前がそれしてんの?返してくれ」
ん、と藤本に向かって右手を差し出す。
しかし藤本に返すような素振りは見られない。
それどころかどこか意地の悪そうな笑みを浮かべるだけだ。
「返してくださいってば」
再度声をかけるがやはり藤本に動きは無い。
今までの経験からこの後の展開は容易に想像することが出来る。
恐らくこのまま俺が藤本に対して、何ら強制力を持たない呼びかけを続けても無意味だろう。
こちらからモーションをかけなければ延々と今と同じ状態が続く気がする。
それこそ藤本が飽きるまで、だ。
授業を返上してまで藤本を探すことに全力だった俺は、自分でしたこの後の展開予想に早くも帰りたい気持ちでいっぱいになった。
少々強硬な手段だが使わせてもらおう。
俺も藤本に負けず劣らず意地の悪い微笑を浮かべて、近付いて行く。
一歩一歩近付くけれど、藤本の表情に変化は見られない。
やっと藤本との距離が30cmくらいに迫ったところで、俺は足を止めた。
「ネクタイ、ありがと。でも俺もう帰るからさ、返して」
努めて優しい声で言ってみた。

155 :名無し娘。:2008/06/21(土) 01:37
これで返してくれたら良いんだけどな。
ある意味で俺の予想を裏切って欲しい場面だ。
さっきは見事にしてやられたが。
「えー?だってこれ見つけたの私だし?准平の物だって証拠もないでしょ」
そう言ってのける藤本の顔は過去に何度か見たことがある。
これは『何か面白そうなもの』を見つけたときの顔だ!
危険だ、危険極まりない。
卑怯とも思うが、ここであの手を使おう。
今しかない。
行けっ、俺!
「返してくれないならちゅーしちゃうぞ」
努めて真面目な顔で言い放つ。
こういう言葉は真面目に言わないとダメだ。
普段の俺の態度からして、少しでもふざけると途端に冗談にしか聞こえなくなる。
いや、これも冗談だけどね。
しかし相手は腐っても藤本。
何らかのリアクションが見られるだろうと予想していた俺は、相変わらず表情を変えない藤本に焦りだす。
何がまずかったんだ。
今の策が俺に出来る精一杯なんだけど…!
もちろん俺も表情には出さずに心の中だけで思う。
「准平とちゅーかぁ…ま、してあげないこともないけど?」

156 :名無し娘。:2008/06/21(土) 01:37
え……。
こいつは今何て言ったんだ。
俺の耳は腐ってしまったのか。
相手は腐っても藤本だが、俺は腐ったらただの異臭を放つ物体Xだ。
そんなことはどうでもよくて。
ちゅー?キス?接吻?口吸い?
何か最後のだけ生々しいな。
「…っ…そんなこと言ってるとホントにしちゃうからなー」
動揺して最初の言葉に呂律が回らなかったのは気付かれただろうか。
有限実行とばかりに、俺は勇気を振り絞って藤本との距離をゼロに近くする。
ここまできて初めて、藤本に焦りみたいなものが出てきた。
「え…?ちょっ待ってよ。マジかよ…?」
「マジかよってお前が言ったんだろ…」
まずい、止まれ、俺。
俺も藤本もお互い冗談だったんだからここでキスする必要はもうないんだ。
だがしかしこれがなかなか。
藤本の湿った唇を見ている内に理性的なものが崩壊してってる気がする。
それに追い討ちをかけるように焦っている藤本の声が、吐息が、俺の首筋を刺激する。
ヤバイって藤本、お前何でこんなに良い匂いすんだよバカヤロー。
「……っん…」
無意識に藤本の長い髪に手をかけている自分にハッとする。
そういえば今日の藤本の髪、朝から可愛いと思ってたんだよな…。
漠然と思いながらも指は髪と髪の間をするすると抜けていく。
反対の手で、軽く藤本の顎を上げてみた。
必然的に見つめ合う形になる訳で。
「目、閉じて…」
俺の囁きに、意外にも藤本は素直に従った。


1>流れに逆らわず。藤本にキスする。
2>俺を焦らせた罰だ。ここで「嘘だよバーカw」
3>その他

157 :名無し娘。:2008/06/21(土) 01:38
再開してみました。
まだ見てる方がいたら投票してください。
またいつ止まるかわかりませんが…。

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0ch BBS 2006-02-27