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ミラクルエース久住小春
- 1 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:20
-
「ミラクルエース様。こちらになります」
従者がそう言って扉を開くとそこにはテレビで見慣れた顔が勢ぞろいしていた。
- 2 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:21
- 私がミラクルエースとなったのは一週間ほど前のことだった。
それは決して突然起こったのではなく、
私が12年間積み上げてきたミラクルエースとしての修行があってのことだった。
- 3 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:26
- 興味津々といった趣で私を見つめる働き蟻たちを前に
私は苦しかった12年間のミラクルエース修行のことを思い出していた。
カラオケで「でっかい宇宙に愛がある」を熱唱したこともあった。
それは実に1時間にも及ぶ大特訓だった。
私はミラクルエースになれる日のことだけを夢見て何度も何度も歌った。
ミラクルエースとなるためにうさぎとびを繰り返したこともあった。
それは実に15分にも及ぶ苦行だった。
人は「うさぎとびは非科学的トレーニングだ」などといったが、
ミラクルエースとしてミラクルを起こす義務を負った私に「科学的」なことなど無意味だった。
- 4 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:28
- 「久住小春ちゃんだよねー、はじめまして」
「わー、可愛いー」
「まだ12歳だっけ?」
「れいなより大人なんじゃない?」
「なーにを言ってるんですか!」
「新潟なんだよね」
「久住ちゃんってさ・・・
「はじめましてみなさん!ミラクルエースの久住小春です!!」
- 5 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:30
-
「ミラクルエースです!」
- 6 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:30
-
「ミラクルエースなんです!」
- 7 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:32
- 部屋は水を打ったように静まり返る。
皆はミラクルエースのオーラに圧倒されているのだろう。
そうだ。ここからミラクルエースの伝説が始まるのだ。
これが最初のミラクルだ!
よく見ればみんな可愛い顔をしているではないか。
よしよし。悪いようにはしない。
ミラクルエースについてくればきっとミラクルが待っているのだ。
- 8 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:36
- 「・・・・えーっと・・・・あの」
「あー・・・あ! そうそう、ミラクルなんだよね!小春ちゃんは」
「あー、そういえばつんくさんがそんなこと言ってたよ」
「なるほど。小春ちゃんはミラクルキャラでいくんだ」
「もう。びっくりしたなー」
「気合入ってるよね」
私がミラクルを解くととたんに堰を切ったようにメンバー達は喋り出す。
なぜならば私がミラクルエースだからだ。
これから始まる偉大なるミラクルエース伝説にこの子らは欠かせない。
ミラクルがミラクルであるためにはミラクルを受け取る子らが必要だから。
- 9 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:40
- 「とりあえず・・・・『小春ちゃん』っていうのもありきたりだからさ」
「そうだね!ニックネームをつけてあげようよ!」
「久住だからくすみんとかでええんとちゃう?」
「なにそれー。そのままじゃーん」
「ださーい。もっとさあ・・・
「ミラクルエースです!」
- 10 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:40
-
「ミラクルエースです!」
- 11 :名無し娘。:2005/05/04(水) 12:40
-
.
- 12 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:41
-
「私はミラクルエースなんです」
- 13 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:41
-
「すいません。生まれた時からミラクルエースなんです」
- 14 :名無し娘。:2005/05/04(水) 12:42
-
「ミラクルエースなんです」
- 15 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:44
- 「・・・・あー、え?事務所にそう言われてるの?」
従者がずいと前に出る。
「いいえ。事務所がどうとかは関係ありません。
久住様は生まれついてのミラクルエースなのです」
「あ、あのー、あなた誰?小春ちゃんのマネージャー・・・・じゃないよね」
「事務所の新メンバー担当の人?」
「初めて会いますよね?」
- 16 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:47
- 彼について話し出すと長くなる。
だが私はミラクルエースなのだから仕方がない。
「彼は私の従者です。
なぜ私に従者がついているかというと、私がミラクルエースだからです」
彼は思慮深げに頷く。
身の回りのことは彼に任せておけば間違いはない。
私は私のミラクルエースに100%の力を注がねばならぬのだから。
- 17 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:50
- 「じゅうしゃ?・・・・・ねえ?なにそれ?」
「知らないよ。事務所から何か聞いてない?」
「なんか言ってたけど忘れた」
「ちょっとーいつも忘れてるじゃーん」
「じゃああんたは覚えているの?」
「事務所の言ってることなんて覚えているわけないじゃん!」
部屋はドッと笑い声で満ちる。
このほのぼのとした空気も私がミラクルエースだからだろう。
私は私のミラクルエースに満足する。
ミラクルエースはどうやら万能らしい。
- 18 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:51
- 「要するにあれか?小倉優子みたいなもん?」
「あー、あれか。ゆうコリン星人か」
「事務所も無茶苦茶やるなー」
「うわーきつそー小春ちゃん大変だねー」
「ミラクルエースです」
- 19 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:53
- 「おお。完璧こなしてるね」
「やるじゃんミラクルエース!」
「よっ!ミラクルエース!」
「これさあ、結構面白くない?」
「えー、絶対みんなひいちゃうよー」
「今でもそうじゃん。引かせまくり」
「ちょっと何言ってんのよあんた」
「いいんです。私はミラクルエースですから」
- 20 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:53
-
「私はミラクルエースです」
- 21 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:54
-
「ミラクルエースですから、皆さんには私に従ってもらいます」
- 22 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/04(水) 12:57
- こうしてミラクルエースとしての私の一日が終わった。
ミラクルエースとしてやるべきことは全てやったつもりだ。
だがこれはまだ始まりにしかすぎない。
なぜなら私はミラクルエースだからだ。
私がやるべきことはまだまだたくさんある。
山積みになった仕事をすべてミラクルエースしなければならない
なぜなら私は―――――ミラクルエースだからだ
- 23 :名無し娘。:2005/05/04(水) 16:19
- ワロタ
出落ちっぽいけど、続くのかな?
- 24 :名無し娘。:2005/05/04(水) 19:39
- 川@´_」`)
とりあえずクズミンの顔文字置いておきます
- 25 :名無し娘。:2005/05/05(木) 02:38
- 狩狩復興の狼煙があがったとみた
- 26 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 20:36
- 今日はダンスレッスンの日だ。
ミラクルエースといえど努力は欠かせない。
血の滲むような特訓があるからこそミラクルを起こせるのだ。
そこがミラクルエースがそこらの平エースと違うところなのだ。
従者が開けた扉をくぐって私はレンジローバーを降りる。
タオルを握り締める手に力がこもる。
レッスンといえどメンバーに圧倒的な力量差を見せねばならない。
なぜなら私は―――――ミラクルエースだからだ
- 27 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 20:40
- 初めて来るスタジオにも気圧されることなく私は廊下を進む。
ミラクルエースとしてのミラクルオーラを発しながら私は角を右に曲がる。
歩く様さえ絵になってしまうのは仕方がない。
なぜなら私は―――
「小春ちゃーん!そっちじゃないよ!こっちこっち」
後ろから騒々しい声が聞こえてくる。
パタパタと駆け寄ってくるモーニング娘。のメンバー。
彼女は「私のために」「私の方へ」駆け寄ってくる。
なぜなら私がミラクルエースだからだ。
- 28 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 20:41
- 「小春ちゃんはここに来るの初めて?ここはね・・・・
「ミラクルエースです」
「は?」
- 29 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 20:42
-
「私はミラクルエースです」
- 30 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 20:42
-
「ミラクルエースなんです」
- 31 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 20:42
-
「だから私のことはミラクルエースと呼んでもらいます」
- 32 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 20:47
- 「小春ちゃーん。大丈夫だよ。今はカメラ回ってないからさー」
「関係ありません。私は常にミラクルエースなのです」
「まー、確かにその心がけは大事だけどさー」
「ミラクルエースと呼んでもらわないと困ります」
「はあ。『ミラクルエース』ちゃん?呼びにくいなあ・・・・・」
「『ちゃん』はいりません。『ミラクルエース』と呼んでください」
困惑した表情を浮かべるモーニング娘。のメンバー。
無理もない。
おそらく彼女はこれまでの人生で「ミラクルエース」に出会ったことはなかったのだろう。
だがこれからは違う。私はミラクルエースだ。
これからはミラクルエースのやりかたに従って貰わねばなるまい。
- 33 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 20:50
- 「ねえ。疲れない?そういうの。普段は無理しなくていいよ?」
「構いません。ミラクルエースとしての覚悟は出来ています」
「あたしが言うのもなんだけどさー、芸能界って変なところだよね」
「案内してください」
「ああ。もう時間だね」
- 34 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 20:56
- 彼女を従えて私は時間ギリギリにスタジオに入る。
私はミラクルエースとして満を持して最後に登場したつもりだったが、
驚いたことにまだ来ていないメンバーがいるとのことだった。
ミラクルエースを待たせるとはどういうことだろう。
「藤本は取材で田中と亀井は学校行事ね・・・・じゃあ始めようか」
「先生!今日から新メンも・・・」
「あー、聞いてるよ。えーっと名前は
「ミラクルエースです!」
- 35 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 20:57
-
「ミラクルエースです!よろしくお願いします!」
- 36 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 20:58
-
「ミラクルエースなので、そういう振り付けでお願いします!」
- 37 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 21:03
- 「あ?お前何言ってんだ?」
「見ての通り、ミラクルエースです」
「おい、吉澤!なんだこいつは!」
「あー、先生。この子はミラクルエースなんだってー」
「答えになってないだろ・・・・ミラクルエースってなんだよ?」
「つんくさんが言うにはこの子はミラクルなエースになるとかなんとか」
「チッ・・・またあの男か・・・・何をわけのかわらないことを・・・」
「大丈夫です先生!安心してください!
なぜなら私は―――――ミラクルエースだからです!!」
- 38 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 21:07
- 私はキラキラと輝いた目で先生を見つめる。
先生はいたたまれなくなったように視線を外す。
そうだ。
私のミラクルオーラの前では先生といえど耐えることはできない。
「どんなレッスンにも耐えてみせます!だから先生!
ミラクルエースに相応しい振り付けでお願いします!」
- 39 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 21:14
- 「あのなー振り付けってもんはだな
「関係ありません。私はミラクルエースですから」
「うるさい!おい!吉澤!このミラクルエースちゃんをさっさと引っ込ませろ!」
「はいはいはい。わかったらかレッスン始めましょうよ先生・・・おいガキさん」
「あ、はいはい。こは・・・ミラクルエースはこっちこっち」
「はい。こっちですね」
私は先生がミラクルエースだと認めたことに満足する。
何十年とこの世界でダンスレッスンをしてきた人間を
私はたった5分でミラクルエースだと認めさせたのだ。
これをミラクルと言わずして何と言うのだろうか。
全員の視線が私の方へと集まる。
これがミラクルエースの実力なのかという驚きに満ちた視線が。
- 40 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 21:23
- 最初、私は視線に入っているものが何なのか全くわからなかった。
段々と時間た経つにつれて、それがスタジオの天井だとわかってきた。
胸が焼けるように熱い。喉が焼けるように熱い。
「あっ気がついた?」
「???」
「小春ちゃん、途中でぶっ倒れちゃったのよ」
私は「ミラクルエースです」と言おうとしたが声にならない。
喉に金属の棒でも突っ込まれたような違和感を感じる。
「最初はみんなぶっ倒れるのよねー」
「だからあんまり気にしないでね」
「小春ちゃんってミラクルエースなの?」
「朦朧としながらそればっかり言ってたよ」
- 41 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 21:29
- そうだ私はミラクルエースだ。
この人たちはなかなか飲み込みが早い。
よく見ると彼女達はモーニング娘。のメンバーではない。
見慣れない顔ばかりだ。10人近くいるだろうか。
「でも小春ちゃん、なかなか良かったよ」
「うん。最初にしては筋が良いんじゃない?」
「踊りは初心者だけどさー、根性が凄いよね」
「そうそう!先生に逆ギレする子なんて初めて見たよ!」
「私は―――ミラクルエースですから!!」
「キャハハ!似てる似てるー」
「あ・・うう・・・
声が出ない
- 42 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 21:41
- やがてモーニング娘。のレッスンが終わる。
メンバー達はやれやれといった感じで座り込み、先生は大声で叫ぶ
「おいベリーズ!始めるぞ!!」
「はーい」
「じゃあね、小春ちゃん」
「頑張ってね」
私は彼女達がぶっ倒れるのを見るのは忍びないのでそっと廊下に出る。
起こすべきミラクルも思いつかないので私はメンバー達の方へと歩み寄る。
倒れたことは恥ずべきことではない。
私が目指すミラクルエース像はもっと崇高な場所にあるのだから。
- 43 :目指すミラクルエース像はもっと崇高な場所にあるのだから。:2005/05/05(木) 21:47
- 「おーう。ミラクルエース。派手にぶっ倒れてたね」
「もう歩いても大丈夫?」
「あんまり無理し過ぎない方がいいよ」
「最初だから張り切るのはわかるんだけどね」
大丈夫です、の「い」を言ったところで私の足はもつれる。
メンバー達が座り込んでいる板間に派手にダイビングを敢行する。
汗でつーーーーーーーっと滑りながら私は考える。
滑るのは恥ずべきことではない。
私が目指すミラクルエース像はもっと崇高な場所にあるのだから。
と。
- 44 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 21:49
- 「あちゃー」
「これがミラクル?」
「あんた今日そればっかり言ってない?」
「だってー」
「ほら手ぇ貸してやんなよ」
「小春ちゃん無理しちゃ・・・・・
「ミラクルエースです」
- 45 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 21:49
-
「私はミラクルエースですから」
- 46 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 21:50
-
「ミラクルエースとして皆さんのために頑張ります」
- 47 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/05(木) 21:54
- 私は従者の手を借りてよろよろとレンジローバーに乗り込む。
こうして私のミラクルエースとしての一日は終わった。
「ミラクルが一つ、ミラクルが二つ、ミラクルが三つ・・・・・」
今日起こしたミラクルの数を指折り数えながら私は眠りに落ちる。
ステージで華麗に舞うミラクルエース
それはもう夢ではない。
手を伸ばせば届くところにある。
ぶっ倒れたり滑ったりしてるくらいで落ち込んでいる暇はない。
なぜなら私は―――――ミラクルエースだからだ。
- 48 :名無し娘。:2005/05/05(木) 22:50
- オモロイデス
- 49 :名無し娘。:2005/05/05(木) 23:16
- 応援したくなってきた
- 50 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:01
- test
- 51 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:02
- 今日は写真撮影の予定が入っている。
そこで撮られた写真が何に使われるのかは知らない。
そんな瑣末なことは知る必要もない。
なぜなら私は―――ミラクルエースだからだ。
「あーダメダメ!もっと普通に!」
「そんなに足を開いちゃダメ!」
「こら!普通にって言ってるでしょ!」
「ちゃんとカメラを見て!」
「ほら!そんなに激しく動かない!」
「笑顔!笑顔!笑顔!」
「はい一旦撮影止めまーす!休憩!」
- 52 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:02
- 「あのー・・・・・ちょっといいかな。小春ちゃん」
「ミラクルエースです」
- 53 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:03
-
「私はミラクルエースなんです」
- 54 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:03
-
「久住小春という名前は忘れてください」
- 55 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:03
-
「私はミラクルエースですから」
- 56 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:04
- 「ミラクルエース?」
「はい。モーニング娘。の救世主ミラクルエースです」
- 57 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:04
- 「ああ・・・後藤真希の再来とかなんとかいうあれか・・・」
「そうです。私がそのミラクルエースです。」
- 58 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:05
- 「あのポーズはミラクルエースのポーズなの?」
「はい。昨日寝ないで考えました」
- 59 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:05
- 「あのね、小春ちゃん、モーニ
「ミラクルエースです」
- 60 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:05
-
「私はミラクルエースですから」
- 61 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:06
-
「ミラクルエースと呼んでもらわないと困ります」
- 62 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:07
- 「ハハハ。じゃあミラクルちゃん、あのね」
「ちゃんはいりません。ミラクルエースで結構です」
「・・・・・あのね、モーニング娘。はアイドルなの」
「はい。知っています」
「うーん。辻ちゃんとか加護ちゃんは知ってるかな?」
「はい。大好きです」
「おじさんはね、あーゆーポーズが撮りたいんだな」
「あーゆーポーズ?」
「おーい!ちょっと!あれ持ってきて!Wのファイル!」
- 63 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:08
- カメラマンが広げたファイルには笑顔でポーズをとるWの姿があった。
なるほど素敵な笑顔と可愛らしいポーズだ。
だが彼女らはミラクルエースではない。
そういう話は一度も聞いたことはない。
ミラクルエースとは後にも先にも私一人のはずなのだから。
ミラクルエースにはそれに相応しいポーズというものがあるのだ。
だがミラクルエースを見たことがない、
撮ったこともないこの人にそれを説明するのは非常に難しい。
私ですらミラクルポーズを考えるのに一晩かかったのだから。
- 64 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:08
- 「わかるかな?こういうの」
「これと同じポーズでと」
「そうだね。最初は全く同じでいいよ」
「私はアイドルですが、ミラクルエースでもあるのです」
「あー、君が考えたポーズはね・・・・・ちょっと・・・」
「ちょっと・・・・・なんですか?」
「いや、いいと思うよ!それも後で撮るからさ!」
「はあ。後で」
「最初は練習だと思って色んなことをやってみようよ!」
「はあ」
- 65 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:10
- 私はミラクルエースである前にモーニング娘。でもある。
「モーニング娘。の新メンバーは超ナマイキ!」
「久住小春(12)態度だけは既にエース級!」
「写真撮影で我がままし放題!!」
「問題児ぶりでさっそくミラクル発揮!」
「問われるミラクルエースとしての責任感!!」
そんなタイトルが女性週刊誌を賑わしてもマズイ。
モーニング娘。のイメージが下がってしまう。
ミラクルエースがメンバーに迷惑をかけるというのも本末転倒だ。
ここは素直にカメラマンに従わねばなるまい。
- 66 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:10
- 「はい!いいよいいよー」
「そうそう。その笑顔!」
「もっと元気よく!」
「よしよしよーし!」
「はい、オッケーでーす!」
- 67 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:11
- こうしてミラクルエースとしての一日が終わる。
結局ミラクルエースポーズは撮らずじまいだった。
うそつき。
だがそんな瑣末なことはどうでもいいだろう。
私はそんなことは引きずらない。
なぜなら私は―――ミラクルエースだからだ。
私は酸欠でぶっ倒れることなく仕事を終えたことに満足する。
そうだ。私は昨日までのミラクルエースとは違う。
モーニング娘。を率いて世界制覇を果たすその日まで
ミラクルエースは日々進化を続けていくのだ。
ミラクルエースポーズなどどうでもいい。
- 68 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:12
- 私は従者の待つレンジローバーへと向かう。
今日も家に帰ったらミきちんとラクルエース帳をつけねば。
進化には予習と復習が欠かせない。
それにしてもミラクルエースポーズがボツになったことは残念だ
やはりもう少し改良して―――
- 69 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:12
-
「あ!おーい、小春ちゃーん!」
- 70 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:14
- カメラマンの声に私は超高速で振り返る。
どうやら彼は今になってあの約束を思い出したようだ。
振り返りざまに私は改良型ミラクルエースポーズをとる。
さあ!撮れ!
「ハハハハハ。そのポーズ好きだね」
「撮らないんですか?」
「ゴメンね。撮影はもうあれでお終い」
じゃあ何をしに来たんですか、と言おうとすると
カメラマンはそっと一枚の写真を差し出した。
- 71 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:15
- 「はい、これあげる」
「なんですか、これ?」
「やだなあ、今日撮った写真に決まってるじゃん」
「お仕事に使わない・・・・・ボツ写真ですか?」
「ミラクルエースはキツイこと言うなあ」
私はカメラマンが、私のことをついに
ミラクルエースだと認めたことに満足しながら差し出された写真を見る。
- 72 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:15
- 「普通はこんなことしないんだけどね、今日は特別」
「?」
「今日のベストショットだよ」
「えー、じゃあこれは使ってくださいよ」
「今日が初めてだったんでしょ?記念にね」
- 73 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/06(金) 18:16
- レンジローバーの後部座席にもたれながら私は写真を見る。
手渡された写真には大人っぽいメイクを施された私がいる。
まるで別人だ。
私はしばしミラクルエースの魅力に虜にされる。
そうだ。
ポーズなんてどうでもいい。
私がそこにいればいいのだ。
私が私らしくあればいいのだ。
なぜなら私は―――ミラクルエースなのだから。
- 74 :名無し娘。:2005/05/06(金) 20:44
- ミラクルエースポーズがどんなのかめっちゃ気になる。
- 75 :名無し娘。:2005/05/06(金) 21:46
- イイヨイイヨー
- 76 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 18:53
- test
- 77 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 18:54
- 「さっ、ミラクルエース、どんどん食べていいよ」
「遠慮しなくてもいいからね」
「ここは全部石川さんのおごりだから」
「ちょっとあんた達!調子乗ってんじゃないわよ!」
「石川さんお金持ちだからなー」
「ほら、もう焼けてるよ」
「食べないんならミラクルエースの分もあたしが食べてあげるから」
「あんた達さー、今日の主役が誰だかわかってんの!?」
- 78 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 18:55
- 私はいわゆる「お誕生日席」に座ってメンバーが焼いた肉を食べる。
もちろん私は遠慮したりはしない。
なぜなら私は―――――ミラクルエースだからだ。
ミラクルエースは普通のアイドルではない。
私は私がミラクルエースであることを、
平のメンバーに思い知らせるために非情の決断を下す。
隣の席の人が鉄板の脇にキープしていた肉を、私はあえてごっそりと奪い取る。
- 79 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 18:55
- 「あ・・・・・・・あたしの肉」
「アハハハハ。ミラクルエースは容赦ないねー」
「何何?新潟戦争勃発?」
「あたしの肉ーーー」
「ほらマコっちゃん、わたしのあげるから」
「それも私にください」
「え?」
「その肉もわたしにください」
- 80 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 18:56
-
「その肉もわたしが食べます」
- 81 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 18:56
-
「なぜなら私は――――
- 82 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 18:57
- 「ミラクルエースだからです!!!」
全てのメンバーの声が揃う。まさにミラクルだ。
もはや全メンバーを私の掌中に収めたと言っても過言ではあるまい。
ドッと弾ける笑い声。
周りのお客さん達が一斉にこちらを振り返る
いくら店が広いくとも10人近いメンバーが騒げば自然とそうなる。
私は非礼を詫びるために、立ち上がってコンサートのときのように
周りのお客さん達に向かって深々と頭を下げる。
それを見てまた笑いこけるメンバー達。
何が可笑しいんだ。この無礼者達が。
- 83 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 18:57
- 「あーそーなんだ。小春ちゃんはミラクルエースなんだ」
「そうです。ミラクルエースです」
「ミラクルエースはあれか」
「はい?」
「なんでもありか」
「いいえ」
「先輩の肉を取っても許されるのか」
「はい。ミラクルエースですから」
- 84 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 18:57
-
「私はミラクルエースですから」
- 85 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 18:58
-
「肉は全てミラクルエースに渡してもらいます」
- 86 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 18:58
-
「文句もあると思いますが受け入れてください」
- 87 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 18:59
-
「なぜなら私が―――ミラクルエースだからです」
- 88 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 18:59
- 「麻琴ー、肉くらいでうだうだ言うなよ」
「そうそう。また焼けばいいじゃないですか」
「おかわりはいくらでもあるから」
「なんたって今日は石川さんのおごりだからね!」
「ほら、ミラクルエース、そこ焼けてるぞ」
- 89 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 19:00
- 「ありがとうございます。いただきます」
「ミラクルエースは優しくないなー」
「はひ?」
「まあいいや。今日はあんたが主役だからね」
そう言いながらも彼女はまだ未練がましく箸をいじっている。
この人ちょっと可哀想。
仕方ないな。
ここはミラクルエースとして彼女に―――
「ちょっと麻琴。あんた何言ってんのよ」
- 90 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 19:00
- 「はい?なんですか石川さん」
「今日の主役は誰だって?」
「そりゃミラクルエース様こと久住小春ちゃんじゃないですか」
「バーカ」
「バカ!?」
「バカだからバカって言ったのよ!このバカ!」
「奢ってくれるっていったのは石川さんじゃないですかー」
「そういうことじゃないの。あんたホントにバカね」
「どういうことすか?」
「今日の主役はね・・・・・あたしよ! あ、た、し!」
- 91 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 19:01
- 場がシーンと静まり返る。
この人が喋り出すとなぜかみんな黙って下を向いてしまう。
上手く言えないが、場の空気を変える「何か」を持っているのだ。
それにしても今日のこの会の主役がミラクルエースではないとは。
一体どういうことなのだろう。
- 92 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 19:01
- 「いいこと?この石川梨華あってのモーニング娘。なのよ?
そのあたしがモーニング娘。を卒業するの。ふふん。
モーニング娘。はこれまでにない苦境の陥るわけよ。でしょ?
そんなピンチを乗り切るためにはどうするべきか。わかる?
それを今日はあたしが直々にみんなに―――
「必要ありません」
- 93 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 19:02
- だらけきっていた空気が私の一言でピーンと張り詰める。
ミラクルエースとしてここは譲ることはできない。
これからのモーニング娘。は私が引っ張っていくのだ。
「ここにミラクルエースがいますから」
- 94 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 19:02
-
「モーニング娘。は不滅です」
- 95 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 19:03
-
「ミラクルエースがいる限り―――
- 96 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 19:03
-
「モーニング娘。は、モーニング娘は、
- 97 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 19:04
- 言いかけた私の肩にそっと手が触れる。
その手に促されて私はすとんと席につく。
言いたいことは山ほどあるのに言葉が全く出てこない。
「はいはい。そこまで。梨華ちゃんちょっと冗談が過ぎるよ」
「そんなー。軽いジョークのつもりで言ったのにー」
「あんたねー、入ってきたばっかの中学生泣かすなよ」
「石川さんが言うと冗談に聞こえないんですよ」
「あのね、小春ちゃ
「ミラクルエースです」
「あの石川って人はちょっと変な人だから」
「あんまり真面目に相手しない方がいいよ」
「ほらほら、肉焼けてるよ」
- 98 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 19:05
- 私は焼けた肉を口に入れるが味なんて全くしない。
何がジョークだ。
誰も笑ってなかったじゃん。
みんな反論もせずにシーンとしてただけで。
頭が真っ白になり時間の感覚も消える。
いつしか会はお開きになったようだ。
気がつくと私は笑えないジョークを言ってた人と二人になる。
- 99 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 19:05
- 「ミラクルエースは家こっちなんだ」
「・・・・・・・」
「じゃあ、一緒に帰ろうか」
「・・・・・・・」
「まだ怒ってるの?」
「いいえ」
「ゴメンね。悪気はなかったのよ」
「はあ」
「私っていっつもあんな感じだから」
- 100 :ミラクルエース ◆BKM.ACE. :2005/05/07(土) 19:06
- 私は彼女と二人でレンジローバーに乗り込む。
彼女は深々とシートに腰掛け従者に自分の住所を告げる。
悪びれることなく語りかけてくる彼女に私は少し辟易とする。
私の車なのにー。
「ミラクルエースはモーニング娘。が好きなんだ」
「当たり前じゃないですか」
「いいなあ。真っ直ぐで」
「モーニング娘。が好きじゃないんですか?」
「私はね、もう5年以上もモーニング娘。にいるの」
「もう好きじゃなくなったんですか?」
「そしてね、これからもずーっと『元モーニング娘。』として生きていくの」
「好きなんですか?好きじゃないんですか?どっちなんですか?」
「それはね、変わらないの。もう変えることはできないの」
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