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魔法騎士れいにゃーすっ!

1 :名無し娘。:2005/04/30(土) 17:03
从 ´ ヮ`)<にゃ〜♪

355 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:30

( ´D`)<てへへ。嘘なのれす。

( ;‘д‘)<えーーー!

( ´D`)<のんは嘘つきなのれす。

( ;‘д‘)<えーーー!

( ´D`)<だから嘘つきというのも嘘なのれす。

( ;‘д‘)<えーーー!

( ´D`)<つまりのんは正直者なのれす。

( ;‘д‘)<えーーー!

( ´D`)<やっぱりそれも嘘なのれす。

( ;‘д‘)<えーーー!

( ´D`)<でも嘘というのは本当なのれす。

( ;‘д‘)<えーーー!

( ´D`)<ということはのんはやっぱり正直者なのれす。

( ;‘д‘)<えーーー!

川;o・-・)<あの、どっちでもいいんで、話進めませんか?

( ;‘д‘)<えーーー!

356 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:30

某時刻――同・楽屋

( ´D`)<では話を進めるのれす。

( ´D`)<まずはその誰が入れたかわからない曲というのを教えていただけますかな?

川o・-・)<えーと、曲名なんだったかな・・・。

( ´D`)<ほほお。曲名もわからないのに歌ったとは、これまた新事実発覚れすな。

川o・-・)<あの、有名な曲だったから。ひゅ〜りる〜ひゅ〜りる〜らら〜♪って曲。

( ´D`)<歌詞が少し間違ってるけど、それは『越冬つばめ』れすな。

川o・-・)<あ、そうそう。それそれ。『越冬つばめ』。それが私の後に入ってたの。
                                                  マドカ
( ´D`)<離婚で騒動になった森昌子の曲れすな。ちなみに作曲は「とんでとんで」の円ひろしなのれすよ。
       関西では嫌でも週に一度は見かけるおっさんれす。のんは別に嫌じゃないけど。

( ;‘д‘)<関係ないウンチクはいらへんから、話進めようや。

( ´D`)<てへへ。これは失敬なのれす。

川o・-・)<それで、知ってた曲だったから、美貴ちゃんに「歌ってもいい?」って聞いて。

( ´D`)<それで二曲連続で歌ったわけれすね。そして誤解が生じたと。

川o・-・)<私があの時歌わずにすぐに消してたらこんなことにはならなかったんだけど・・・。

( ‘д‘)<でもまあ、そういう偶然があるからカラオケはおもろかったりするんやけどな。

( ´D`)<ほほお。珍しくいいことを言いますな。確かカレーライス和尚とか申しましたかな?

Σ( ;‘д‘)<誰がカレーライス和尚や!どこをどうやったらカレーライス和尚なんて名前になんねん!

( ´D`)<いや、まあなんつーか、ただの昔のネタの再利用なのれすよ。作者が自分で大爆笑、みたいな。

( ;‘д‘)<ったく、のんものんやけど作者も作者やな。よりにもよってカレーライス和尚を再利用せんでも・・・。

357 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:30

( ・e・)<ねえ・・・なんか一つ思いついたんだけど・・・。

( ´D`)<ん?これはこれはマーガレット男爵殿、いかがしましたかな?

( ;‘д‘)<今度はマーガレット男爵かいな。どないな感性しとんねんな。

( ・e・)<本当に入力ミスだったのかなって。これはマーガレット男爵としての長年の経験からの疑問なんだけど。

Σ( ;‘д‘)<ほんまにマーガレット男爵やったんかいな!そっちの方が事件やんか!

( ´D`)<誰かが故意に入力したと言いたいのれすかな?ふむ。確かにありえる話れすな。

∬ ~▽~)<ありえるの?

( ´D`)<犯人には何らかの意図があった。例えば・・・退屈しのぎに適当に曲を入れて順番を狂わせようとした。
       あるいはもっと単刀直入に言えば、次の番である藤本美貴への嫌がらせという線もありますな。

( ´D`)<そう言えば小川麻琴さん、あなたさっき、昨日のカラオケは盛り上がりに欠けたとか言ってましたかな?
       しかもマイクを独占する藤本さんに対してあまりいい印象は抱いていないようにお見受けしましたが?

∬;~▽~)<そ、それは・・・。

( ´D`)<怪しいれすな。マーガレット男爵殿の閃きのおかげで容疑者が一人浮かび上がったのれす。

( ;・e・)<あ、あの、故意に入力したって言っても、私が言いたかったのはそういうことじゃなくて・・・。

( ´D`)<あ、違ったのれすか?こりゃ早とちりしちゃったのれす。めんごめんご。

358 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:30

( ´D`)<ではマーガレット男爵殿、どういうことですかな?

( ・e・)<だから、もしかするともっさんが自分で入力したんじゃないのかって。

( ´D`)<藤本美貴が自分で、れすか?

( ・e・)<本当は自分が歌うつもりだったのに、みんなもっさんがそんな古臭い曲を歌うなんて思いもよらず、
      それを入力ミスだと思ってしまった。そんな空気にもっさんも自分が入れた曲とは言い出せなくなった。
      その時あさ美ちゃんがその曲を知ってるからというので、もっさんの曲を歌い出してしまった。
      もっさんはますます言い出せなくなり、その不満がくすぶってあさ美ちゃんに怒りをぶちまけるに至った。

( ´D`)<なるほど。筋は通ってますな。筋は。

359 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:30

【推理】――新垣里沙(マーガレット男爵)

・『越冬つばめ』を入力したのは藤本自身だった
・しかし周りがそうだとは思いもよらず、入力ミスということにしてしまった
・そんな空気に藤本も自分の曲だとは言い出せなくなった

360 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:31

川o・-・)<じゃあ、あれは美貴ちゃんの曲だったんだ・・・。

∬ ~▽~)<あれ?でも『越冬つばめ』の後にちゃんと藤本さんの曲入ってたような気がするけど?

( ´D`)<ふむふむ。となると、藤本真犯人説は成立が難しくなりますな。やはり素人の浅はかな推理だったのれす。

( ・e・)<あ、でももっさんが二曲連続で入れたってことも考えられるんじゃないかな?

( ´D`)<やれやれ。敗北をなかなか受け入れないのは素人の欠点なのれすよ。

( ・e・)<だってもっさん、さっきも言ったけど、いつもそうやって自分の順番以外でも歌ったりしてたし。
      その時はあさ美ちゃんが歌っちゃったけど、本当は自分が歌うつもりだったとしても・・・。

∬ ~▽~)<そっか。『越冬つばめ』なんてみんながみんな誰かの入力ミスだって思うはずだし、
       そこで「じゃあせっかくだから私が歌う」なんて言って連続で歌うつもりだったとしてもおかしくはないか。

( ´D`)<ほほお。素人にしてはやりますな。となると藤本真犯人説が再び浮上したということになりますかな。

( ;‘д‘)<そうやって敗北をなかなか受け入れないのは素人の欠点ちゃうんかいな?

( ´D`)<はいはい。

( ;‘д‘)<くーーー!なんやこのこみ上げてくる脱力感を含んだ不思議な怒りは!!!

361 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:31

( ´D`)<しかしあれですな。そうだとしてもやはり藤本真犯人説は強引な気がしますな。

( ・e・)<強引?

( ´D`)<筋は通ってるのれす。しかし、それを許すならば、
       その藤本美貴が主張するところの紺野あさ美が故意に入力したという疑念も許されるのれすよ。

∬ ~▽~)<そっか。藤本さんがあさ美ちゃんを疑ったのとほとんど同じことだもんね。

( ´D`)<それに、少し筋が通りすぎてるのれす。推理小説ならそれでいいかもしれませぬが、
       しかし実際の事件というものは不整合で様々な矛盾を内包してるものなのれすよ。
       犯人がなぜ事件を起こしたのか自分でも把握してない、なんてことも多いのれす。

( ‘д‘)<・・・。

( ´D`)<だから筋が通り過ぎてる場合はあえて除外するべきなのれすよ。それが逆に真相に近づく一歩になるのれす。

( ‘д‘)<なるほど・・・そうや・・・その通りや!

( ´D`)<ん?どうしたんれすか?のんの推理手法に感銘でも受けたのれすか?

( ‘д‘)<その通りやで。犯人がなぜ事件を起こしたのか自分でも把握してない。それがこの事件の真相や!

( ´D`)<・・・?

( ‘д‘)<全部わかったで。どんな無意味に見える情報でも、より多くの情報を集めるのが推理の基本・・・。
       それもその通りや。最初からずっとそれが引っ掛かっとったねん。その不可解で些細な情報が!!!

( ´D`)<ほほお、それではカレーライス和尚とやら、その推理を聞かせてもらいましょうかな?

( ‘д‘)<いや、これはもう推理やない!解決編や!!!

川o・-・)<か、解決編!

( ‘д‘)<ズバリ言うで!!!犯人は・・・犯人はこの中にいる・・・!!!!!

362 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:31

   Σ( ・e・)<犯人が!!!

         Σ∬ ~▽~)<この中に!!!

               Σ川o・-・)<いる・・・!!!

                      ( #´D`)<ケッ、そんなの当たり前なのれす・・・

363 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:31

川;o・-・)<その犯人というのは、一体?

( ‘д‘)<犯人は、もちろん昨日そのカラオケボックスにいた四人の中の一人です。

( ‘д‘)<そして、この中にいない藤本さんは犯人ではありません。

( ‘д‘)<つまり、あさ美ちゃん、まこっちゃん、そしてのんの三人の中にいるってことや!

( ´D`)<ふへへへへ。何言ってんれすか。それくらいなら誰にでもわかるのれすよ。
      藤本美貴真犯人説以外なら、当事者はその三人しかいないじゃないれすか。

( ‘д‘)<まあまあ。それはそうや。せやけどうちはもう、誰が犯人かはっきりとわかったねん。

( ;・e・)<その犯人というのは・・・?

( ‘д‘)<おかしいなって思ったんは、ある人物のある証言やった。

( ‘д‘)<その人物は通常知りえない情報を知っていた。

( ‘д‘)<そして、その人物は自分が犯人であるということに全く気づいてすらいなかった。

( ‘д‘)<いや、最初はフェイクやと思ったで。こいつは隠し通してるんちゃうやろかってな。

( ‘д‘)<せやけどそれは違うわ。犯人はそういうおっちょこちょいな奴やねん。

( ‘д‘)<そう。まるで昨日のカラオケのことを全く忘れていたような・・・!!!

Σ川;o・-・)<じゃ、じゃあ犯人は・・・犯人は・・・!!!

( ´D`)<・・・。

( ‘д‘)<のん、お前が犯人や!!!

Σ( ´D`)<・・・へ?な、なんでれすか?なんでのんが犯人なのれすか?

364 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:31

( ‘д‘)<簡単や。まず、昨日のカラオケボックスの順番を考えてみーや。

( ‘д‘)<あさ美ちゃんの証言で、それが藤本→辻→小川→紺野というのは明らかになっとる。

( ‘д‘)<普通に考えて、のんが順番を間違えてもっさんの前に選曲を入れてしまったというのは十分ありえることや。

( ´D`)<やれやれ。なに普通に考えてんれすか。これだから素人は困るのれす。

( ‘д‘)<話は最後まで聞きな、ウォッシュレット博士。

( *´D`)<はい。最後まで聞きます。

( ;‘д‘)<そう素直に喜ばれても困るんやけど。まあええわ・・・。

( ‘д‘)<確かにそれは単純な順番間違いで済む話やな。せやけど、鍵はのんの忘れっぽさや。

( ‘д‘)<のんは昨日のカラオケのことを忘れてたわな。そしてまるで部外者みたいに振る舞っとった。

( ‘д‘)<そんなのんのことや。順番を間違ったことも、自分の選曲のことも、忘れてても不思議やあれへん。

( ´D`)<・・・。

( ‘д‘)<それだけなら単なる人間的欠陥に基づく状況証拠に過ぎひん。せやけど・・・。

( ‘д‘)<のんはこんなこと言いよった。みんなも覚えてるやろ?

( ‘д‘)<あさ美ちゃんの歌を聞いて、それをすぐ『越冬つばめ』だと答えよった。

( ‘д‘)<そして森昌子の曲だとも言うたわな。さらに円ひろしの名前まで出しよった。

( ‘д‘)<それは全て、十代の女性が通常答えられるはずのない情報や!

Σ川o・-・)<た、確かに!!!

365 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:32

( ‘д‘)<それをなぜのんが答えることができたか、その答えは一つしからへん!

( ;・e・)<のんちゃんが・・・。

∬;~▽~)<その曲を入力した・・・。

( ‘д‘)<その通り。のんは昨日『越冬つばめ』を歌うつもりやった。

( ‘д‘)<以前からその曲を知ってたんや。いや、知ってるどころかかなり好きで歌ったりもしてたはずや。

( ‘д‘)<そして昨日もその曲を入力した。だが、順番を間違って入れてしまった。

川o・-・)<美貴ちゃんの後なのに、前に入れちゃったんだ。

( ‘д‘)<しかし、当ののん自身は、もっさんの前に『越冬つばめ』が流れたことに気づいていなかった。

( ‘д‘)<自分の番はもっさんの後だという意識があったんやろ。

( ‘д‘)<それか、すでに何の曲を入力したかすら忘れてたかもしれへん。

( ‘д‘)<とにかく、そうやって入力したのにも関わらず、のんはその自分のミスに気づかへんかった。

( ‘д‘)<そして、それが原因であさ美ちゃんがもっさんと喧嘩したことも、のんにとっては他人事やった。

( ‘д‘)<どないや?よーく思い出してみいや。のんが入力したんやろ?そうなんやろ?

366 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:32

【推理】――加護亜依(カレーライス和尚)

・犯人は辻希美
・辻は『越冬つばめ』を知っているどころか、通常知らない知識まで持っていた
・辻の順番は藤本の後だったが、間違ってその前に入力してしまった
・しかし忘れっぽい性格から、ほんの少し前に入力したことすら忘れていた
・実際、昨日のカラオケのことも、そのメンバーのことも忘れていた

367 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:32

( ´D`)<ふふふふふふ。甘い。甘い甘い。              オ ナ ペ ッ ト
       つるっぱげの和尚やら煩悩の塊のエロ小坊主どもの凌辱妄想の対象くらい甘いのれすよ。
                           アマ
( ;・e・)<わからないけど、なんとなくお寺の尼さんのことを言ってるっぽいってのはわかった。

( ‘д‘)<何が甘いんや!最初から登場してる中で最も意外な人物が犯人ってのがミステリの定番やんか!

( ‘д‘)<のんには十分にその資格があるで!そして『越冬つばめ』に対する情報という動かぬ証拠(証言)!!!

( ´D`)<やれやれ。まだわからないのれすか・・・。

( ‘д‘)<だから何がや!のんが犯人で間違いないやんか!

( ´D`)<ぶっちゃけ、これネタれすよ?

( ‘д‘)<ネタだからなんやねん!

( ´D`)<ネタなのにそんなにムキになって真面目に推理するとかありえないのれす。笑えるのれす。

( ‘д‘)<なんやそれ!

( ´D`)<この作者のネタ的にも、そんなまともな解決編は絶対にありえないのれす。

( ´D`)<大体のんが最も意外な人物だとか言ってる時点で間違ってるのれすよ。

( ´D`)<もう一度最初から読み直してほしいのれす。あんなにヒントがあったのになんで気づかないんれすか?

( ‘д‘)<なんや、なんのことを言うてるんや!のんは誰が犯人や言うつもりなんや!

( ;‘д‘)<ハッ・・・ま、まさか・・・!!!



.

368 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:32

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369 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:32

  Σ( ;・e・)<あっ・・・!

      Σ∬;~▽~)<いっ・・・!

            Σ川;o・-・)<うっ・・・!










( *´D`)<ブブー、残念!

Σ( ;‘д‘)<えーーーーー!!!

370 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:33

( ;‘д‘)<な、なんやねん!それじゃないとしたら誰が犯人やねん!この作者的に!!!

( ´D`)<簡単れすよ。のんもちょっとおかしいなって思ってたのれす。

( ;‘д‘)<なんや、何がおかしいねん。どこにどんな疑念があったねん!

( ´D`)<あさ美ちゃんの歌れすよ。歌。

川;o・-・)<私の・・・???

( ;‘д‘)<歌・・・???

( ´D`)<あさ美ちゃんが歌った『越冬つばめ』は、微妙に間違ってたのれす。

( ;・e・)<あさ美ちゃん、どう歌ったんだっけ?

川;o・-・)<えーと・・・ひゅ〜りる〜ひゅ〜りる〜らら〜♪って。

∬;~▽~)<確かになんか違う気がするけど、でもだからってあさ美ちゃんが犯人だとは・・・。

( ´D`)<あれあれ。誰もあさ美ちゃんが犯人とは一言も言ってないのれすよ。

( ;‘д‘)<それじゃなんやねんな。その歌の間違いから何をどう導くんや。

( ´D`)<犯人はその歌の中に最初からいたのれす。

川;o・-・)<歌の・・・中に・・・?

( ;‘д‘)<燕が犯人ってことか?それとも、森昌子?円ひろし?

371 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:33

( ´D`)<何言ってんれすか。口ずさめばわかるのれすよ。だってそこに名前があるじゃないれすか。

川;o・-・)<ひゅ〜りる〜・・・ひゅ〜りる〜らら〜・・・・・・ひゅ〜り・・・る〜らら〜・・・・・・る〜らら・・・。

( ´D`)<ズバリそれなのれす。「るーらら」こそが犯人なのれす!!!

Σ( ;‘д‘)<・・・。

Σ( ;・e・)<・・・。

Σ∬;~▽~)<・・・。

Σ川;o・-・)<・・・。



( ´D`)<いやはや、それにしても「るーらら」という奴はほんっと、人様に迷惑ばっかりかけてますなあ。

( ´D`)<まさかつんくのみならず、あさ美ちゃんやふじもっちゃんにまで火種を撒き散らすとは・・・。

( ´D`)<でもまああれれすね。奴が犯人であれば手加減はいらないのれす。問答無用で叩きまくれるのれす。

( ´D`)<いやー、それにしてもまさかこういうオチだとはねえ。
       見事解決したとは言え、さすがにこのオチはなかなか見抜けなかったのれす。手強い事件だったのれす。

( ´D`)<さーて、それじゃ事件も解決したことだし、記念にカツ丼でも出前取るのれす。

( ´D`)<ふんふんふ〜ん♪カツ丼カツ丼楽しいな〜♪

372 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:33

( #‘д‘)<って、待ちやがれえええええーーーーー!!!!!

Σ( ;´D`)<な、なんれすかいきなり?

( #・e・)<なんか全然納得いかないんだけど!

∬#~▽~)<納得というかありえないというか!

川#o・-・)<大体その場にいなかったるーららがなんで犯人なんだか!

( #‘д‘)<それ以前にるーららオチとかありえねーだろ!!!!!

( #・e・)<というか、どう考えてものんちゃんが犯人としか思えないし!!!

川#o・-・)<やっぱりのんちゃんが間違って入力してそのまま忘れちゃってたんだ!!!

川#o・-・)<私と美貴ちゃんが喧嘩しちゃったのも・・・全部のんちゃんが原因だったんだ!!!

川#o・-・)<なのにのんちゃん・・・全部忘れてて人のせいにばっかりして!!!

( ;´D`)<う・・・ううう・・・よってたかって責めなくても・・・のんにとって会心のオチだったのに・・・。

∬*~▽~)<でもまあなんだ。カツ丼が楽しみってのは理解できるかな。

Σ( ;・e・)<ズガーーーーーンやっぱり最後は食欲肥満オチで締めるのですかーーーーー!!!



( ;´D`)<・・・というわけで、お勝手探偵の見事な名推理、いかがでしたか?

( ;´D`)<・・・それではまたお会いできる日(多分二年後)を夢見て・・・さようなら!

373 :名無し娘。:2005/12/09(金) 21:33

 ━━━━━━━━『お勝手探偵のの』2nd stage ━━━━━━━━

 ━━━━━━━━  T  H  E   E  N  D  ━━━━━━━━

374 :名無し娘。:2005/12/09(金) 22:58
すげえ・・・
アームチェアディティクティヴだ・・・

375 :名無し娘。:2005/12/10(土) 11:50
ワロタ。真相が二転三転・・・というより
のた打ち回ってるって感じw

376 :名無し娘。:2005/12/10(土) 19:45
おっさんワラタw

377 :名無し娘。:2005/12/10(土) 20:09
この延々としたやり取りが独特でね、ワロスw

378 :名無し娘。:2005/12/25(日) 23:44
今年も芸スポ+で表を作ってしまった俺;

┌────┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐
|        │所属│カウス.│石井│洋七│大竹│渡辺│松本│紳助│合計│順位│
├────┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
|笑い飯 ..|吉本| 95 │ 92 │ 91 │ 85 │ 90 │.*95 │ 85 │ 633.│**3 .|
|アジアン .|吉本| 90 │ 86 │ 81 │ 82 │ 80 │ 70 │ 75 │ 564.│  8 .|
|南海キャン |吉本| 88 │ 80 │ 79 │ 79 │ 79 │ 75 │ 72 │ 552.│  9 .|
|チュートリアル|吉本| 91 │.*95 │ 86 │ 84 │ 86 │.*95 │ 85 │ 622.│  5 .|
|ブラマヨ |吉本| 96 │ 94 │.*96 │.*90 │.*93 │.*95 │.*95 │ 659.│**1 .|
|品川庄司|吉本| 89 │ 91 │ 95 │ 89 │ 87 │ 90 │ 85 │ 626.│  4 .|
|タイム3号 │非〃| 88 │ 85 │ 82 │ 82 │ 83 │ 75 │ 76 │ 571.│  7 .|
|麒麟    |吉本|.*97 │.*95 │ 95 │.*90 │ 91 │ 90 │ 88 │ 646.│**2 .|
|千鳥    |吉本| 93 │ 89 │ 86 │ 88 │ 89 │ 80 │ 82 │ 607.│  6 .|
├────┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│最終決戦│−−│ブラ │笑飯│笑飯│笑飯│ブラ │ブラ │ブラ │−−│−−│
└────┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘

379 :名無し娘。:2005/12/25(日) 23:44
審査員別
┏━┯━━━━┯━━┳━┯━━━━┯━━┳━┯━━━━┯━━┳━┯━━━━┯━━┓
┃順│中田カウス.│得点┃順|ラサ石井.│得点┃順|島田洋七│得点┃順|大竹まこ │得点┃
┠─┼────┼──╂─┼────┼──╂─┼────┼──╂─┼────┼──┨
┃ 1.│麒麟    │ 97 ┃ 1.│チュートリアル│ 95 ┃ 1.│ブラマヨ │ 96 ┃ 1.│ブラマヨ │ 90 ┃
┃ 2.│ブラマヨ │ 96 ┃ 1.│麒麟    │ 95 ┃ 2.│品川庄司│ 95 ┃ 1.│麒麟    │ 90 ┃
┃ 3.│笑い飯 ..│ 95 ┃ 3.│ブラマヨ │ 94 ┃ 2.│麒麟    │ 95 ┃ 3.│品川庄司│ 89 ┃
┃ 4.│千鳥    │ 93 ┃ 4.│笑い飯 ..│ 92 ┃ 4.│笑い飯 ..│ 91 ┃ 4.│千鳥    │ 88 ┃
┃ 5.│チュートリアル│ 91 ┃ 5.│品川庄司│ 91 ┃ 5.│チュートリアル│ 86 ┃ 5.│笑い飯 ..│ 85 ┃
┃ 6.│アジアン .│ 90 ┃ 6.│千鳥    │ 89 ┃ 5.│千鳥    │ 86 ┃ 6.│チュートリアル│ 84 ┃
┃ 7.│品川庄司│ 89 ┃ 7.│アジアン .│ 86 ┃ 7.│タイム3号 │ 82 ┃ 7.│アジアン .│ 82 ┃
┃ 8.│南海キャン │ 88 ┃ 8.│タイム3号 │ 85 ┃ 8.│アジアン .│ 81 ┃ 7.│タイム3号 │ 82 ┃
┃ 8.│タイム3号 │ 88 ┃ 9.│南海キャン │ 80 ┃ 9.│南海キャン │ 79 ┃ 9.│南海キャン │ 79 ┃
┠─┼────┼──╂─┼────┼──╂─┼────┼──╂─┼────┼──┨
┃--│平均点  │91.9 ┃--│平均点  │89.7 ┃--│平均点  │87.9 ┃--│平均点  │85.4 ┃
┃--│得点幅  │ 09 ┃--│得点幅  │ 15 ┃--│得点幅  │ 17 ┃--│得点幅  │ 11 ┃
┗━┷━━━━┷━━┻━┷━━━━┷━━┻━┷━━━━┷━━┻━┷━━━━┷━━┛
┏━┯━━━━┯━━┳━┯━━━━┯━━┳━┯━━━━┯━━┓
┃順│渡辺正行│得点┃順|松本人志│得点┃順|島田紳助│得点┃
┠─┼────┼──╂─┼────┼──╂─┼────┼──┨
┃ 1.│ブラマヨ │ 93 ┃ 1.│笑い飯 ..│ 95 ┃ 1.│ブラマヨ │ 95 ┃
┃ 2.│麒麟    │ 91 ┃ 1.│チュートリアル│ 95 ┃ 2.│麒麟    │ 88 ┃
┃ 3.│笑い飯 ..│ 90 ┃ 1.│ブラマヨ │ 95 ┃ 3.│笑い飯 ..│ 85 ┃
┃ 4.│千鳥    │ 89 ┃ 4.│品川庄司│ 90 ┃ 3.│チュートリアル│ 85 ┃
┃ 5.│品川庄司│ 87 ┃ 4.│麒麟    │ 90 ┃ 3.│品川庄司│ 85 ┃
┃ 6.│チュートリアル│ 86 ┃ 6.│千鳥    │ 80 ┃ 6.│千鳥    │ 82 ┃
┃ 7.│タイム3号 │ 83 ┃ 7.│南海キャン │ 75 ┃ 7.│タイム3号 │ 76 ┃
┃ 8.│アジアン .│ 80 ┃ 7.│タイム3号 │ 75 ┃ 8.│アジアン .│ 75 ┃
┃ 9.│南海キャン │ 79 ┃ 9.│アジアン .│ 70 ┃ 9.│南海キャン │ 72 ┃
┠─┼────┼──╂─┼────┼──╂─┼────┼──┨
┃--│平均点  │86.4 ┃--│平均点  │85.0 ┃--│平均点  │82.6 ┃
┃--│得点幅  │ 14 ┃--│得点幅  │ 25 ┃--│得点幅  │ 23 ┃
┗━┷━━━━┷━━┻━┷━━━━┷━━┻━┷━━━━┷━━┛

380 :名無し娘。:2005/12/25(日) 23:44
同率含む順位
┏━┳━━━━┯━━━━┯━━━━┯━━━━┯━━━━┯━━━━┯━━━━┓
┃順┃中田カウス.│ラサ石井.│島田洋七│大竹まこ │渡辺正行│松本人志│島田紳助┃
┠─╂────┼────┼──―─┼────┼────┼────┼────┨
┃ 1.┃麒麟    │チュートリアル│ブラマヨ │ブラマヨ │ブラマヨ │笑い飯 ..│ブラマヨ ┃
┃  ┃        │麒麟    │        │麒麟    │        │チュートリアル│        ┃
┃  ┃        │        │        │        │        │ブラマヨ │        ┃
┃ 2.┃ブラマヨ │        │品川庄司│        │麒麟    │        │麒麟    ┃
┃  ┃        │        │麒麟    │        │        │        │        ┃
┃ 3.┃笑い飯 ..│ブラマヨ │        │品川庄司│笑い飯 ..│        │笑い飯 ..┃
┃  ┃        │        │        │        │        │        │チュートリアル┃
┃  ┃        │        │        │        │        │        │品川庄司┃
┃ 4.┃千鳥    │笑い飯 ..│笑い飯 ..│千鳥    │千鳥    │品川庄司│        ┃
┃  ┃        │        │        │        │        │麒麟    │        ┃
┃ 5.┃チュートリアル│品川庄司│チュートリアル│笑い飯 ..│品川庄司│        │        ┃
┃  ┃        │        │千鳥    │        │        │        │        ┃
┃ 6.┃アジアン .│千鳥    │        │チュートリアル│チュートリアル│千鳥    │千鳥    ┃
┃ 7.┃品川庄司│アジアン .│タイム3号 │アジアン .│タイム3号 │南海キャン │タイム3号 ┃
┃  ┃        │        │        │タイム3号 │        │タイム3号 │        ┃
┃ 8.┃南海キャン │タイム3号 │アジアン .│        │アジアン .│        │アジアン .┃
┃  ┃タイム3号 │        │        │        │        │        │        ┃
┃ 9.┃        │南海キャン │南海キャン │南海キャン │南海キャン │アジアン .│南海キャン ┃
┗━┻━━━━┷━━━━┷━━━━┷━━━━┷━━━━┷━━━━┷━━━━┛

381 :名無し娘。:2005/12/26(月) 01:16
ありがたい表だぜ!!!!
これ見ながら録画見よう!!!!

382 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:15

年末――

川 ’ー’)<来年の年賀状は何通くらい来るやろか……。

川 ’ー’)<久住ちゃんも加わったし、あいぼんとれいなちゃんで三通は確実やね……。

川 ’ー’)<……。

383 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:15


                    ○
                / ̄\
              /WWW\
             /        \
           /           \
         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


元日――

川 ’ー’)<みんな忙しいし、きっと出すのが遅れたんやろね……。

川 ’ー’)<……。

384 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:15

二日――

川 ’ー’)<三日にまとめて配られるはずやよ。明日に期待するやよ……。

川 ’ー’)<……。

385 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:16

三日――

川 ’ー’)<やっぱり三が日の年賀状は難易度高すぎやね。ここからが勝負やよ……。

川 ’ー’)<……。

386 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:16

四日――

川 ’ー’)<……。

387 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:16

五日――

川 ’ー’)<……。

388 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:16

六日――

川 ’ー’)<……。

389 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:16

七日――

川;’ー’)<い、一週間やよ。そろそろフラグが立つはずやよ……。

川;’ー’)<……。

390 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:16

八日――

川;’ー’)<郵便局員が廃棄したんやろか?毎年そんなニュース聞くやよ。心配やよ……。

川;’ー’)<……。

391 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:16

九日――

川;’ー’)<おかしいやよ。そろそろ正月気分も終わりやよ……。

川;’ー’)<……。

392 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:16

十日――

川;’ー’)<……。

393 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:17

十一日――

川;’ー’)<……。

394 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:17

十二日――

川;’ー’)<

395 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:17

十三日――

川;’ー’)<……。

396 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:17

十四日――

                                         ガタッ


川*’ー’)<き、来たやよ!い、今郵便ポストに何かが届いたやよ!はっきりと聞いたやよ!


                    うふふふふふ    川*’ー’)つ


         □⊂(’ー’*川   えへへへへへ


川*’ー’)つ□<差出人はあいぼんやよ!!!

川*’ー’)つ□<やっぱりあいぼんは親友やよ!遅出しでもいーたん全然気にしないやよ!

川*’ー’)つ□<うふふふふふ。なんて書いてあるんやろ。いーたん、あいぼんには期待しまくりやよ!

397 :名無し娘。:2006/01/01(日) 17:17

川*’ー’)つ□<えーと……。

川*’ー’)つ□<あけましておめでとう……。

川*’ー’)つ□<昨年はお世話になりました……。

川*’ー’)つ□<来年もよろしく……。

川;’ー’)つ□<……。

川;’ー’)つ□<ら、来年?

川;’ー’)つ□<……。

川;’ー’)つ□<いいよ……あたし待つから……来年まで待つから……。

川 ;’ー’)つ□<だって……だって今年はもう、あいぼんから優しさが届いたもん……。

川*;’ー’)つ□ えへへへへへ




高橋ごめん

398 :マジ高 ◆MAJI3nr8FI :2006/01/01(日) 18:27
お前そんなネタ書いて、今年は分かってるだろうな。
マジ高は今年は責めでいくぞコラ。
もう今年はビール三本飲んでるからな。もう飲ま飲まイェイだぞ。

399 :名無し娘。:2006/01/01(日) 21:03
来年w

400 :名無し娘。:2006/01/01(日) 22:51
マジ高がコテでレスをしているw

401 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/01/30(月) 20:52
>362 名前:軍艦ランチ 投稿日:2005/12/22(木) 00:11:30 0
>逃した魚はLOVEマシーン

>366 名前:軍艦ランチ 投稿日:2005/12/22(木) 00:13:54 0
>気がつけば きょうりゅう音頭

おいおい、俺よりおもしろかったら意味ないだろw
逃した魚数え歌(お風呂ば〜じょん)とか、俺はそんな感じな

402 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/01/30(月) 20:53
おっと、上のレス番は狼の某スレですんで

403 :名無し娘。:2006/01/30(月) 21:11
また偽者が出たのか

404 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/02/08(水) 21:04

『さきがき!シタタカ美貴ちゃん』

405 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/02/08(水) 21:04

( ・e・)<私の名前は藤本美貴。新垣家の財産を手に入れるため、思い切って整形してみた。
      すでに通帳とハンコも手に入れてある。この顔なら疑われることなく大金を手に入れられるだろう。

( ・e・)<そして私は早速、銀行へと足を運んだ。このドキドキ感がたまらない。

ウイーン

スタスタスタッ

( ・e・)<暗証番号がわからないので、並ぶのは窓口だ。47番と書かれた紙を手に取る。

( ・e・)<緊張しながら待っていると、ピポーンと電子音がしてディスプレイに47という数字が表示された。

( ・e・)<いよいよ私が大金を手に入れる時がやって来た。長年の夢が今、厳かに叶おうとしている。

スタスタスタッ

406 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/02/08(水) 21:04

(´∀` ソリ<いらっしゃいませ。

( ・e・)<ど、どうも。あの、これ……。

( ・e・)<私は通帳とハンコを差し出した。通帳の名義は新垣里沙。
      この名前を見れば、目の前の私が本人であることは一目瞭然だろう。疑問の余地はない。

(´∀` ソリ<免許証など、なにか身分を証明できるものはお持ちですか?

( ;・e・)<えっ?あの、そんなのいるんですか?

( ;・e・)<なんということだろう。ただ金を引き出すだけなのに、身分証明を求められるとは。
        様々な詐欺が世間を騒がせている昨今の時勢を私も知らないわけではないが、
        というか現に今、整形してまで他人の口座から現金を引き出す未曾有の事件が起きようとしているのだが、
        それにしてもこれはガードが固すぎる。だが、心配は無用だ。そのための整形なのだから。

( ・e・)<モーニング娘。の新垣里沙です。この顔がすでに身分を証明しています。

(´∀`;ソリ<いや、私モームスとか知らないし。見たことあるってのはわかるんだけど、誰が誰とかわかんないし。

Σ( ;・e・)<ガーーーン、マジっすか!

( ;・e・)<まさかこんなところで不人気メンの辛い実情を思い知ることになるとは予想だにしなかったが、
        しかしそんなことで挫折する私ではない。田舎ではシタタカ美貴ちゃんと呼ばれていたこの私だ。
        ちゃんと保険証も手に入れてある。その辺の思いつきの犯行と一緒にしてもらっては困る。

( ・e・)<保険証でいいですか?役所からの公的な通知書等も持参してますけど。

(´∀`ソリ<あ、はい。それで結構です。今確認しますので。

( ・e・)<第一段階はなんとかクリアしたようだ。それにしてもこのガードの固さはなんだろう。
      この銀行の方針なのか、それとも新垣家に関しては扱いが特別なのか。

407 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/02/08(水) 21:05

(´∀`ソリ<それではご本人確認のため、質問をさせていただきます。

( ;・e・)<えっ?

( ;・e・)<ぬぬぬ。保険証では飽きたらず、そのような念の入った防止措置を取っているとは是れ尋常ではない。
        すでに順番待ちの数字は57番まで進み、10人以上が後ろで待っている状態だというのに。

(´∀`ソリ<それでは干支(えと)を教えてもらってよろしいでしょうか?

( ;・e・)<な……なんですって?

(´∀`ソリ<干支(えと)です。教えてもらえますか?

( ;・e・)<まさかそういう質問が来るとは思いもよらず、私はかなり焦っていた。
        一応生年月日くらいは暗記してあったが、同級生ならいざ知らず、新垣の干支など知る由もない。
        とりあえず頭をフル回転させ、全ての干支をまず思い浮かべる。

( ;・e・)<ねーうしとらうー……だが続かない。自分の干支から逆算しようにも順番がわからないのだ。
        これは大きな痛手だった。干支の順番がわからない。干支の順番がわからない。干支の……。

(# ・e・)<干支ってなんだよ!!!

( ;・e・)<興奮のあまり、私は無意識にそう怒鳴っていた。店内にいた全ての店員が私を見ていた。
        そして順番待ちをしている大人どもも、嘲笑と悲哀と恐怖の色を浮かべながら私を眺めていた。

(´∀`;ソリ<……。

( ;・e・)<……。

( ;・e・)<だが、私はそれが逆に功を奏したことを知ることになる。
        質問とは、常に正しい答えを求めるものではないのだ。

(´∀`ソリ<はい。新垣里沙さんですね。ご本人だと確認できました。

Σ( ;・e・)<えーーーーー!

408 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/02/08(水) 21:05

( ・e・)<そうなのだ。この質問は決して新垣里沙の干支を尋ねるものではなかったのだ。
      干支というものを知っていますか?という、新垣里沙の知能を確認するためのものであり、
      本物の新垣自身、この銀行を訪れたときは毎回、その質問に窮していたのだ。
      だからこそ、それがいつの間にか本人確認の質問として採用されるに至っていたのだ。

( ・e・)<こうして私藤本美貴は、新垣里沙の口座から全財産を引き出すことに成功した。

( ・e・)<だが……。

( ・e・)<シタタカ美貴ちゃんにも失敗はあったということか。そう、計画は挫折したのだ。
      まさか新垣里沙の口座に3万8千円しか入っていないとは想像できなかったのだ。

( ・e・)<しかし、それはよく調べればわかることだったのだろう。
      現実の新垣家はそこまでの金持ちではないし、新垣が稼いだ金も、本人の口座に入るとは限らない。
      つまり、私はネタに踊らされていたのだ。新垣=成金という構図のネタに。

( ・e・)<こうして私の新垣家全財産引き落とし作戦(整形編)は失敗に終わった。
      残ったのは3万8千円と、そしてこの顔だけである。元の顔に戻るには、まだまだ時間がかかりそうである。

おわり

409 :名無し娘。:2006/02/08(水) 23:01
ワロタ    

410 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/02/09(木) 22:27

『さきがき!シタタカ美貴ちゃん』 vol.2

411 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/02/09(木) 22:27

( ‘д‘)<私の名前は藤本美貴。元の顔に整形しようとして金を稼いだまではよかったが、
         藤本美貴にしてくださいと頼んだはずなのに、なぜかこんな顔になってしまった。

( ‘д‘)<フィギアスケートのデブと間違われるよりはマシだが、まさかこんなガキと間違われるとは完全な想定外だ。
         紅白単独出演の経験もある私としては、これはショック以外の何物でもない。
         加護亜依と藤本美貴、名前も全く似ていなければ、顔も外見もキャラもなにもかもが違うというのに。

( ‘д‘)<とりあえず私の顔を知らなかった整形外科医は今すぐ沖縄のカプセルホテルに偽名で泊まるべきだろう。
         それと間違いを指摘できなかった看護婦どもも命を狙われて然りだ。

( ‘д‘)<それにしても、せっかく整形費用を稼いだというのに、まさかこんな顔になってしまうとは不運と言うほかない。
         だが、文句を言っていても何も始まらない。仮にも田舎ではシタタカ美貴ちゃんと恐れられたこの私だ。
         どんな状況に追い込まれようが、焦りは禁物。現実を直視し、そして次を見据えるのだ。

( ‘д‘)y-~~

( ‘д‘)<とりあえず、まずは再び整形費用を稼ぐべきだろう。
         新垣の顔ではかなり苦労したが、この顔であれば二三日もあればなんとかなるだろう。
         新垣の時のように、ブルマを大量に購入し、ネットオークションで写真とともに売りさばくか、
         それとも別の新しい方法を取るか、どちらにせよ、加護であれば知名度は新垣の比ではない。
         まあ新垣の場合はコアなファンなのか、ブルマ姿の需要が意外に多かったというのもあるが。

412 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/02/09(木) 22:27

( ‘д‘)<と、そんなことを考えていた私の前に、突然ある男がしゃしゃり出てきた。
         手にはカメラを持っている。そしてそのレンズは私の手にあったタバコを捉えていた。

カシャッカシャッ

Σ( ‘д‘)y-~~

(~ー~ 3i]<やったぞ!加護亜依の喫煙写真をゲットしたぞ!

( ‘д‘)<どうやら写真週刊誌のカメラマンに喫煙写真を撮られてしまったらしい。
         だが、私は冷静だった。私にとってそれくらいのハプニングは日常茶飯事なのだから。

スススススッ

Σ(~ー~ 3i]<えっ?

ドスッ

Σ(~ロ~;3i]<うぐっ……。

( ‘д‘)<私は滝川パンチを腹部に一発お見舞いし、その勢いでカメラをぶんどってフィルムを引っこ抜いた。
         全く無駄のない流れるような動き。自分で言うのもなんだが、もはや芸術と呼べるほどの熟練技だ。

(~ロ~;3i]<あ、あああああ……。

( #‘д‘)<たく、てめえどこのカメラマンだおい。ブブカか?それともフライデーか?

( ‘д‘)<ここでフラッシュを入れなかった理由は、ファンなら周知のことだろう。
         フラッシュはアップフロントと蜜月な関係にあり、このような盗撮は絶対にありえないのだ。
         確かにフラッシュにも何度か激写・盗撮を謳ったものが載ったことがあるが、
         安倍なつみ反省姿、市井紗耶香引越し姿など、それらは全て事務所が主導した宣伝戦略に過ぎない。

413 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/02/09(木) 22:27

( #‘д‘)<で、どこのカメラマンなんだ!どこに頼まれた!

(~ロ~;3i]<ブ、ブブカです……。

( #‘д‘)<ちっ、しょーもないゴシップ誌クラスかよ。まあ加護亜依じゃその程度かもしれないが。

(~ロ~;3i]<その程度って……。

( ‘д‘)<と、その時、私に一筋の光明が射した。ゴシップ、それは逆の立場であれば、まさに金の生る木だった。
         芸能人の格付けにもよるが、掲載されるレベルに達してさえいれば、最低でも一本十万円は固い。
         大きいスキャンダルの場合は百万円を軽く超える。つまり、問題は加護亜依の相場ということになる。

( ‘д‘)<おい、確かブブカって言ったな。

(~ロ~;3i]<は、はい……。

( ‘д‘)<ブブカだと加護の喫煙はいくらだ?十万くらいか?

(~ロ~;3i]<えっと、多分五万くらいかと……。

( ‘д‘)<ちっ、やっぱゴシップ誌如きじゃ駄目だな。全く話になんねー。

(~ロ~;3i]<いや、あの、話って言われましても……。

( ‘д‘)<となると……やっぱりフライデーだな。よし、そういう線でやってみるか。

( ‘д‘)<私はカメラを男に返し、新しいフィルムを入れさせた。そして胸ポケットからバージニアスリムを取り出す。

( ‘д‘)y-~~

( ‘д‘)<よし、撮れ!

Σ(~ロ~;3i]<えーーーーー!と、撮るんですか?

414 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/02/09(木) 22:28

( ‘д‘)<当たり前だろ。お前なあ、ブブカ如きじゃ金になんねーだろ。
         俺がフライデーに持ち込んでやるから。だからちゃんと撮れよ。高く売れるようにな。

(~ロ~;3i]<う、売るって、あ、あの、どういう……。

( #‘д‘)<ごちゃごちゃ言ってないでさっさと撮れ!

(~ロ~;3i]<は、はい。

カシャッ

( ‘д‘)<こうして私は喫煙写真を撮らせ、早速フィルムをフライデー編集部に持ち込んだ。
         だが、自ら持ち込んだというのに、フライデーの反応は予想よりも鈍いものだった。

( #‘д‘)<なんだと?たったの二十万だと?貴様ら、どこに目ーつけてやがんだごるぁ!!!
         天下の加護亜依様が自らネタをプレゼントしてやるってのに、金に糸目つけてんじゃねーーー!!!
         なんだったらたけし軍団雇ってもう一度襲ってやっぞごるぁ!!!

( ‘д‘)<私は編集部中に響き渡るほどに怒鳴り、対応した編集者を震え上がらせることに成功した。
         どうやら本人の持ち込みというところに困惑していたらしいが、押せばなんとかなりそうな様子だった。

( #‘д‘)<おい、お前もなんとか言ってやれ!

(~ロ~;3i]<あ、あの、私がですか?

( #‘д‘)<お前そんなんだからブブカなんかに扱き使われんだよ!売り込みイコール脅迫ってこと肝臓に刻んどけ!

(~ロ~;3i]<は、はい……(普通は肝って言うよなあ……肝臓って……)

( #‘д‘)<で、フライデーさんよお。いくらにするんだ?百万か?五百万か?それとも一千万か?

(~ロ~;3i]<それはさすがに言いすぎかと……。

( #‘д‘)<てんめーそんな弱気でどうすんだごるぁ!写真にはなあ、人間の命がこもってんだよ、命が!!!
         魂抜かれるとかって話聞いたことねーのかよ!どこの生まれだ!どこの育ちだ!

(~ロ~;3i]<げ、現代です……。

415 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/02/09(木) 22:28

( ‘д‘)<結局写真は27万円にしかならなかった。やはり加護亜依というところがネックだったのだろう。
         これが私、藤本美貴であれば百万を軽く超えていただろうが、この場合は妥協せざるをえない。
         しかし、写真とは別に、私は平和的な交渉によって整形費用をどっさり稼ぐことに成功していた。

(~ロ~;3i]<あの……これ、なんか凄い札束なんすけど……いったいどういう?

( ‘д‘)<どういうって、まあ簡単なことだ。写真以外に色んなネタをだな、ちょっとレクチャーしてやっただけだ。
         未成年メンバーの飲酒や喫煙。それに過去も含めての男関係全般。中には女関係もいるけど。

(~ロ~;3i]<マジっすか……。

( ‘д‘)<まあ男関係が結構いい額になったから、ドラッグとかの話までは持ち出さなかったけどな。
         それとメンバーの殴り合いの喧嘩なんかはここじゃなくてブブカとかの方がいいだろうし。

(~ロ~;3i]<……。

( ‘д‘)<ま、とりあえず整形費用も稼げたことだし、余った分は全部お前が持ってっていいぞ。

(~ロ~;3i]<い、いいんすか?こ、こんなに貰って?

( ‘д‘)<こうして私は元の顔に戻るための整形費用を捻出することに見事に成功した。
         私も元の顔に戻れるし、フライデーも儲かる、そしてあのカメラマンもいい小遣いになったことだろう。
         顔を間違われた時はどうなるかと思ったが、どうやら全てが丸く収まりそうである。

おわり

Σ( ;‘д‘)ノ□<な、なんやこれ!うち全然身に覚えがないで!

    ↑
本物の加護亜依

416 :名無し娘。:2006/02/10(金) 02:11


417 :名無し娘。:2006/02/10(金) 03:07
なぁーんだ、そーゆーことだったのか。安心安心!

418 :名無し娘。:2006/02/10(金) 12:07
説明口調ワロス

419 :名無し娘。:2006/02/11(土) 20:08
藤本どこまでいくねん

420 :名無し娘。:2006/02/12(日) 16:07
.

421 :名無し娘。:2006/02/12(日) 17:32
hu

422 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:55
『剣客輪廻譚』

423 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:55

一.

 道場の中は蒸しかえるような暑さでございました。普段は三十人の門弟が十分に練習できるほど
の広さがあり、特に道場が狭いというわけでもありませんが、その時ばかりはさすがに違っておりま
した。
 剣心一体と書かれた掛け軸のある上手には道場主がただ一人座っているだけでしたが、下手の
壁ぎわはびっしりと人で埋まっており、また横手にある風を通すための格子状の板戸の隙間にもた
くさんの顔がありました。どれも門弟というわけではなく、話を聞きつけた武士や町人なども混じって
いる様子です。
 そして皆が皆、こぶしを握りしめながらその勝負を見守っています。人垣によって風通しが悪くなっ
ているのは確かですが、それを超えてあまりあるほどの熱気が道場の中にこもっていました。
 しかしながら、そんな熱気とは裏腹に、道場の中央にいる二人の若者はともに冷たい汗をかいて
おりました。
 左側、白虎(びゃっこ)で木刀を構えるはしなやかな体型の飯田織部(おりべ)。
 右側、青龍(せいりゅう)で木刀を構えるは若いながら落ち着きのある福田十兵衛。
 ともに道場の将来を背負って立つことになると期待されている若き門弟でございます。

 しかし勝負はなかなか動きません。師範代の座と江戸表への剣術留学がかかっているということ
もあるのでしょうが、それ以上に二人の力量に初めてはっきりとした優劣がつけられるということが、
二人を慎重にさせ、また二人を真剣にしているのでしょう。
 これまでの稽古では飯田が六、福田が四といったところで、飯田が若干優勢でしょうか。しかし、
福田も負けてはいません。己の剣を信じているという点では、完全に福田が抜きん出ております。

424 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:55

 さて、その両者の勝負ですが、そうこうする間も一進一退の攻防が続いておりました。
 見た目には両者ともにらみ合ったまま動きがないように思えますが、二人の心中では激しい火花
が散っているのです。少しでも自分に有利な情勢に持ち込もうと様々な思惑がぶつかります。
 重心の位置をほんの少しずらしたり、木刀を握る肘の角度を広げたり、それによって相手の反応
を見ているのです。そしてそんな反応によって、突然にして空気が動くことがあります。
 例えば飯田の木刀がやや下がったかと見ると、福田が上段から木刀を振り下ろしにかかります。
飯田は待っていたとばかりにすっと後ろに下がってそれをかわすと、福田の小手を狙いにいきます。
福田はその小手を木刀を斜めにして払いのけ、そして再びの静寂に戻るのです。
 同じように飯田も動きます。福田の足がほんの少し前に出たと見るや、瞬時に突きを喰らわせま
す。福田はそれをよけずに木刀で横に払い、接近戦に持ち込みますが、これには飯田が後ろに飛
びのいて間合いを戻します。
 そしてこうした目に見える動きには、周りからおおっとかあっといった歓声があがります。そうした
ことがあって周りの熱気はさらに高まっているのです。

 しかし半刻(はんとき)もそのような攻防が続くと、どこからか野次が飛んだりします。もちろん門弟
や見学している侍たちはそのような真似はしません。町人などの剣の道を知らない者が、その真剣
勝負にたまらずに発破をかけるのです。
「おう、どうしたどうした!」
「お若いの、そろそろ疲れたか!」
 ただし邪魔するつもりはありません。その場を盛り上げようという町人の心意気なのです。
 ところが、時にそんな野次の中から場が動くことがあるのですから、勝負はおもしろいものです。
「えー、弁当はいらんかねー。夕食(ゆうげ)の弁当はいらんかねー」
 もちろん弁当売りがやって来たわけではありませんし、太陽はまだまだ高い位置にあります。勝負
が長引きそうだという冗談の言葉なのでしょう。それによって外から笑いがおきます。
 が、その笑いが何かの琴線に触れたのか、先に動いたのは飯田織部でした。まだ若いとはいえ、
福田よりは三つ年上で、それが早く決着をつけようという思いに至ったのかもしれません。
 外からの笑いが静まろうとした瞬間、ふっと飯田が前に出ました。
 上段へと木刀を振り下ろし、それから一気に進みながら胴を狙おうとする動きです。正眼の構えを
取っていた福田はこの打ち込みを木刀を横にして下から持ち上げるようにふせぎますが、福田のそ
うした力癖は飯田の熟知するところ、飯田は打ち込みの瞬間にわざと力を緩めていました。木刀が
撥ね上げられないようにするとともに、その反動を軽く利用しようとしたのです。
 そして空いた胴めがけて飯田の木刀が横を流れます。が、その瞬間、飯田は目を疑いました。

425 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:56

 突然、狙っていた胴が視界から消え、木刀が空を斬ったのです。
 そしてそう思った時にはすでに飯田の脳天には福田の一撃が打ち下ろされていました。うっと声を
出して飯田が床に倒れます。
 福田は飯田の打ち込みのほんの少しの軽さを見極め、その瞬間大きく真上へと飛び、そして胴を
狙う飯田の頭上から木刀を振り下ろしたのです。その飛ぶ鳥を落とすような渾身の打ち込みに、周
りから大きな歓声がわいたのも当然のことでした。
「勝負あり」
 道場主の静かな声が聞こえ、歓声はさらに大きなものとなりました。門弟たちの間からもどよめき
が起こります。
「うーむ、十兵衛が勝ったか。織部も悪くはなかったが」
「互角であろうが、最後のあの打ち下ろしはいやはや恐るべし」
 そして町人の中からも声があがりますが、そこはそれ、町人です。
「おらあよ、あっちの小さい方が勝つって思ってたんだ」
「ちっ、調子がいいなあ。最初あっちのすらっとした方だって言ってたのはどいつだい?」
 とまあ、そんな会話は置いておくとしまして、こうして福田十兵衛が師範代の座を獲得し、ついに
江戸表へと修行に出ることになったのでございます。

426 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:56

二.

 陽が暮れるのにはまだ早いが、明るいうちに次の宿場に辿り着くにはやや急がねばならぬか、
という頃合の街道に、一人の旅装束の侍の姿がありました。
 国元の道場での勝負に勝って師範代となり、これからは他流派の剣技も知らなくてはならないと
いうことで江戸表へと修行に出た福田十兵衛その人であります。
 その福田が一人峠道を上っておりました。こだま峠といい、平安時代に謀略によって地方へと
追放された貴族が旅の途中で非業の死を遂げ、それ以来夜な夜なこだまのような声が聞こえて
くるという言い伝えのある峠でございますが、それより今ではこだま党と呼ばれる山賊が出没する
峠ということで周囲に知られております。
 主街道でありながら旅人の姿がやけに少ないというのもそうしたことによるのでしょう。蛇のよう
に曲がりくねった道の中ほどにある二町ほどの直線区間を見てみても、そこに人の姿がある時間
よりない時間の方が長いほどで、多くの旅人は西に向かう人も東に向かう人も、手前の宿場で無
難に夜を過ごすのがよさそうだと思っているのでございましょう。それほどこだま党の悪名は知れ
渡っているのでございます。
 しかし剣に覚えのある若き武芸者にとっては田舎の山賊など眼中にはありません。手前の宿場
で山賊が出るからここで一泊していく方がいいと言われても、なるほどそうであるかとうなずくだけ
で、そうでないのならば陽が暮れるまでに次の宿場に着くように急ぎなされ、との宿の客引き女の
言葉にも、心配御無用とばかりに笑って流したほどでございます。
 そんな福田がおやっと思ったのは、再び蛇のような道にさしかかった時でございました。何やら
奥の方から声が聞こえてきたのです。福田は街道をそれて脇にある細い道へと足を踏み入れま
した。思った通り、そこにはどこかで見たことのあるような光景がありました。
 武家の出か町人の娘かはわかりませんが、杖を持った若い娘とそれの供であろう爺(じいや)
が、いかにも人相が悪いと思しき五人の男たちに囲まれていたのであります。
「へっへっへ、金だけで済むと思ったら大間違いだ」
「し、しかし、これで通してくれるとさきほど……」
「その面(つら)見ちまったらむざむざ返すわけにはいかねえだろ。上玉だ」
「違いねえ。確かに上玉だ」
 つまり金目のものだけに飽き足らず、その娘をものにしようとの下卑た魂胆なのでしょう。そ
んな会話を遠くから聞きながら、ささささっと侍が駆け寄ります。

427 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:56

 と、賊の一人が侍に気づいて声を出しました。
「なにやつ!」
 侍が冷静に答えます。
「それがし、福田十兵衛と申す。わけは知らぬが、大勢で老人、女子(おなご)を襲うとは武士として
見過ごすことはできぬ。お相手ならそれがしがいたそう」
 相手は五人、それも悪名高き山賊とはいえ、賊ごときに負けるような軟弱な侍ではありません。
何より剣の腕に自信がみなぎっている一番の時期なのです。福田は堂々と山賊に向き合いました。
「こしゃくな、やっちまえ!」
 山賊の一人が号令を下し、それぞれ懐から小刀を取り出したり、腰にぶら下げた長脇差を手に
取って構えたりしますが、福田は全くひるみません。鞘から剣を抜き、まず最初に飛びかかってき
た左の賊の小手を打ち落とします。小刀が地面にこぼれ落ちました。そして次に右から突っ込んで
きた賊の腕を打ちます。ともに血が噴き出さなかったのは、福田が刀の刃ではなく峰の部分で打ち
込んだためでした。
「これで終わりか」
 それは自分の余裕を伝えて相手を退かせるための言葉でしたが、仮にもこだま党として悪名を
馳せる山賊です。それを挑発と受け止め、三人がかりで福田に向かいます。福田は一歩退いて
間合いを取ると、三人の勢いを見定め、近づいてきた順に相手を打ちました。一人目は肩を打た
れ、二人目は腕を打たれ、三人目は脳天を打たれてその場に倒れこみました。
 しかし、事はそれだけでは終わりませんでした。

428 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:56

 福田の後ろからふっと気配がし、それと同時に声がしました。
「少しは使うようだな」
 振り向くと、そこにはそれまでの賊とは格段に様子の違う男が立っていました。細身ながら腰が
しっかりと落ちていて、着る物からも風格が漂っています。なにより驚くのは、その涼しげな表情
です。そしてその鼻には飾りでしょうか、金細工がきらっと光っていました。
「賊の頭か」
「左様。こだま党の党首、石黒の彩と申す。特別に私がお相手いたそう」
「望むところ」
 彩と名乗った賊の頭が刀を抜きます。構えはやや横向きですが、変形の下段といったところ。
一方の福田は正眼に構えますが、相手がかなりの使い手であることは剣を交えるまえでもなく
伝わってきます。嫌な汗が流れ、自ら動くことができません。
 彩がゆっくりと間合いを詰めます。福田も間合いを計りますが、そのままでは追いつめられると
思ったのでしょうか、横に動いて傾斜のやや高い位置に移動します。この相手に打ち勝つには
自分の必殺技である飛鳥剣を使うしかないという考えもあったのかもしれません。
 ふっと彩の気配がしなくなり、次の瞬間、彩は福田の目の前に迫っていました。殺意に強弱を
つけることによって相手の隙を作ったのです。しかし福田も負けてはいません。その白刃の突き
をかわすと、地面を蹴って飛び上がり、相手の頭上に刀を振り下ろします。
 すわ、決まったか、と思われたものの、倒れこんでいたのは福田の方でありました。袴が破れ、
血に染まっていました。しかし、彩が福田の動きを予め察知していたわけではありませんでした。
 福田が飛び上がった瞬間、若干の戸惑いが生じていたのです。その戸惑いの原因は二人とは
離れた場所にありました。さきほど倒した山賊の手下どもが小刀を手に爺と娘に近づいていくの
が見えたのです。
 しかしそうだとはいえ、福田の動きは素人目には全く無駄のない流れるような動きでございまし
た。そこに一瞬の隙を見出したのはこれ、彩と申す賊頭の冷徹なまでの神経によるものなので
しょう。もし福田の戸惑いがなかったとしても、福田の飛鳥剣が決まっていたかというと難しいと
ころでございます。

429 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:56

 さて、その福田十兵衛ですが、深くないとはいえ足に傷を負い、見る見る間に血が流れこぼれ
ておりました。すっくと立ち上がって刀を構えますが、もはや勝負は決したと言ってもよいかもしれ
ません。福田が立ち上がるのを彩が待っていたというのは、ある意味で武士の情けに近いものが
あったのでしょう。福田も目の前の彩がただの山賊ではないことにはとうに気づいている様子でし
た。
「元は名うての者とお見受け申す」
「くだらん侍崩れにて」
 そう答えた彩が再び攻勢に出ます。しかし傷を負う福田は後ろに下がりながら防戦する一方で、
ついに木に追いつめられて後ろに下がることができなくなりました。そしてその福田の喉元に彩の
白刃が突き刺さります。
 と、まさにその時、どこからともなく飛んできた石のつぶてが彩の手に当たり、福田はとっさに横
へと飛びのきました。
「くっ……邪魔が入ったか」
 福田とともに彩が後ろを振り返ると、そこには菅笠をかぶった一人の武士の姿がありました。黒
の着流しを着ているところは素浪人でしょうか、しかしそんな観察をしている間にも、すでに二人の
戦いは始まっていました。
 彩は福田を無視してサッときびすを返すと、その菅笠男に向かって一目散に進みました。そして
そのままの勢いで男の横を通り過ぎます。その瞬間、金属のぶつかる音がして、閃光が走りまし
た。彩が横一文字に白刃を流し、菅笠男が刀を鞘から半分ほど出してそれをふせいだのです。
男は彩が通り過ぎると再び刀を鞘に引っ込めました。福田が目を丸くするほどの剣技です。

「なるほど。流派を極めている」
 彩がそう言うと男はゆっくりと菅笠を脱ぎ捨て、ニッと笑いました。年の頃は三十過ぎか、日焼け
した肌に青い目が印象的です。
 二人は再び向き合いました。彩は福田と対峙した時と同じく変形の下段。男の方は左手の親指
で刀の柄を持ち上げてはいますが、まだ刀を抜こうとはしません。
 福田は爺と娘のそばに戻り、賊の手下どもを追い払いながらそれを眺めました。
 そして再び空気が動きます。先に動いたのはまたもや彩でした。一度目で相手の出方がわかっ
たのでしょう、今度は破られまいとばかりに再び同じ太刀筋を繰り出します。そして全く同じように
男の横を通り過ぎて立ち止まります。傍目には男の動きもさきほどと同じでした。
 が、福田はその動きをかろうじて捉えていました。男は素早い動きで刀を抜きあげると、その剣
先で斜め十字を描き、そしてそのまま刀を鞘に戻していたのです。福田の目には十字の光が焼き
ついていました。思わず声が出ます。
「す、すごい……」

430 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:57

 そして、立ち止まっていた彩が突然に崩れ落ちました。胸を二重に斬られ、もはや動くこともでき
ずにいたのです。倒れた彩は目を見開いたまま、その場で絶命しました。手下どもはそれを見て
恐れおののきながら逃げていきます。それはこだま党の終焉を意味していました。

 福田は袴の布を縛って傷口をふさぎながら男に近づきました。
「あ、ありがとうございました」
 そう言って深々と頭を下げます。それに対して男が菅笠を拾いながら答えます。
「あまりのへっぴり腰に見かねただけだ」
 福田は少しむっとしましたが、しかしそう言えるだけの腕が男にはありました。そして男は親切心
なのか、福田に対して助言を口にしました。
「生を断ち切れぬようでは剣とは呼べぬ。ようよう励まれよ」
 山賊の手下を峰打ちで倒したことが、後に一瞬の隙を作ってしまったのだと男は言ったのです。
それは初めて真剣勝負に臨んだ福田に対する戒めでありました。命のやり取りに躊躇は禁物で
あるのだと。
 そして去ろうとする男に、福田が慌てて尋ねました。
「もし、お名前を……」
「中澤二十郎。来年で三十郎になる」
 その後姿を見送りながら、福田はこれからの剣術修行に更なる決意をしていたのでありました。
 目指すは江戸にある寺田道場。
 しかし、寺田流の太刀筋を福田はまだ知らないのでございます。

431 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:57
 
三. 

 気まぐれで山賊を退治した中澤二十郎はそのまま休むことなく街道を進んでおりました。ところが
進めば進むほど嫌な汗が溢れ出ていくのであります。どういうことだ、と思わず口にせずにはいられ
ません。
 それというのも、中澤の前、三十間ほどのところを歩いている行商人が、まるで背中に目がついて
いるかのように中澤の歩に合わせているのでございます。中澤がゆっくり進めば行商人もゆっくりと
進み、あるいは遅く進めば遅く進むというように、その距離が全く変わらないのでございます。
 長年武者修行に明け暮れ、様々な武芸者と剣を合わせたこともある中澤にしても、そのような体験
は初めてのことで、何より気配を感じさせないことに思わず背筋が寒くなってくるのでございます。
 そして中澤はいてもたってもいられなくなり、ついに行動に出ました。曲がりくねった道にさしかかり、
前の行商人の姿が見えなくなったところで、おもむろに走って間合いを詰めようとしたのです。
 が、そこに行商人の姿はありませんでした。先の道にも姿はなく、もちろん後ろにもありません。
 中澤は目を街道脇の森の中にやりました。そしてゆっくりとその森の中に歩を進めます。五歩ほど
進んで、すぐに中澤は立ち止まりました。先ほどと同じく三十間ほど前にその姿があったのです。
 行商人は木の株に座ってキセルを咥えていました。中澤の方には全く目も向けませんが、中澤が
追ってくるのを察知し、それを待ち構えていたことは間違いありません。
 中澤はゆっくりと行商人に近づきました。近づかない方がいいということは薄々感じているのでしょ
うが、それ以上にその不気味さには興味がわきます。左手の親指はいつ事が起きてもいいように、
すでに刀の柄に触れていました。

「薬をご所望だべか?」
 どこの訛りなのか、行商人がそう言いました。相変わらず中澤の方を見向きもしません。
「拙者、中澤二十郎と申す浪人者。そなたが何者かを問いたい」
「訊いてどうするべ?」
「それはまだわからぬ。しかし訊かずにはおれぬ」
「覚悟はあるだべか?」

432 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:57

 と、薬売りが言うやいなや、中澤は刀を抜いて襲い掛かっていました。先手を打たなければ負ける
相手だと思ったのでしょう。素早い動きで薬売りに近づくと、必殺の十字剣を繰り出します。
 しかし、薬売りはそのままの体勢で飛び跳ねると、別の木株の上にまたもや座ったのです。
「忍……」
 中澤はしっかりと刀を握り直し、間合いを見定めました。すでに勝っても負けても名を聞くことはで
きないということはわかっていました。こうなってしまっては殺すか殺されるかなのです。そして自分
が勝ったとしても、その時には相手は死んでいるわけですから、その名を知ることはできません。
 中澤は再び相手に向かって突進しました。相手の素早い動きを計算して、今度は剣先から相手を
逃さないように柔軟な攻撃を仕掛けます。が、薬売りは咥えていたキセルでその剣を受け止め、ふ
わりと身をかわしたかと思うや、中澤の頭上に足を乗せ、それを蹴るようにして後ろに着地したので
す。
 そして中澤が振り返った時にはすでに中澤の体を後ろから短刀が貫いていました。
「ぐはっ……」
 中澤は刀で体を支えようとしましたが、力が入らず、そのままその場に倒れ込みました。そして
結局その名を知ることなく息絶えたのでした。
「薬をご所望だべか?」
 その問いかけに答えるのは、ただ森の中を駆け抜ける風の声だけでございました。

433 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:57

四.

 薬売りの格好をした安倍那智(なち)は街道に戻ると、何事もなかったかのように再び道を進み、
峠の茶屋までやって来ました。山賊が出るとの噂のこだま峠とはまた別の峠であります。
 忍とは申せ、長旅には疲れるし、腹が減りもするのです。おいしそうなお団子の匂いに那智の足
は止まりました。
「いらっしゃい。なんにします?」
「うーんと、団子二つにするべ」
「はいな。すぐお持ちします」
 茶屋の主がすぐ団子の皿と湯呑みを運んできます。那智は木の長椅子に腰を下ろし、その団子
をつまみました。すぐ隣の長椅子にはどこぞの店の隠居なのか、旅の老人の姿がありました。
「うーん、うまいべ。やっぱり峠といえば団子だべなあ」
 そう言いながら串にささった団子をほおばり、そして次の団子の甘さを減らさないように、湯を呑
んで口の中を流します。茶屋といっても、お茶はまだ高価なもので、普通はただの白湯なのでした。
 と、隣の老人がその仕種を見て声をかけてきました。
「ほっほっほっ。お若いの、さもうまそうに食いなさる。いやはや見事でござるのお」
「照れるだべ」
 那智は素直に照れていました。忍であっても、普段は薬売りの行商人をしているのですから、こ
うしたやり取りは普通にこなせるのです。が、それはあくまでそれが普通であったらのこと。一歩
修羅の臭いがすればその場は血の海と化すこともあるのです。
「熊野にはよっぽどうまいものがござらんのであろうな」
 老人がそう言いました。那智はいやあと愛想笑いを浮かべていましたが、その内心は当然穏や
かではありません。忍であることを感づかれているどころか、那智が熊野忍であることもその老人
に見抜かれていたのですから。
 思わず懐に手が行くのを那智はなんとか止め、そのまま団子を食べて茶屋を離れました。忍と
して人の目につく場所で行動に移すことは避けたかったのでしょう。
 懐に入っているのは手裏剣でした。といってもお馴染みの十字手裏剣ではありません。通常の
忍が使う手裏剣は釘型のものがほとんどで、十字手裏剣は武器としてではなく道具として使われ
ることが多かったのです。

434 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:58

 那智は街道を少し歩くと、そのまま森の中へと道をそれました。そして木陰に隠れて老人が通り
過ぎるのを待ちます。隠れたところで気づかれることは承知の上でしたが、道でただ待っていると
いうわけにもいきません。
 老人はそのまま街道を進んでいきました。当然ながら那智の存在には気づいていましたが、そ
れをどうこうするつもりはない様子でした。
 那智は老人の後を追い、二人はそのまま街道から小道にそれていきました。そして老人が立ち
止まります。
「お若いの、ただの老人を相手にしてもつまらぬだけかと思うがの」
「正体を知られたからには生かしてはおけないだべ」
「それなら仕方ないかの」
 老人は左手に持っていた杖を右手に持ちかえ、そして指差すように杖を那智に向けました。那
智は一瞬、仕込み杖かとも疑いましたが、どうやらそのようなことはない様子です。その杖だけで
勝てるという自信があるのでしょう。そしてその自信を裏づけるかのように、老人の動きには一分
の隙もありませんでした。
 そして気配というものが全くありませんでした。それは茶屋に座っていた時からそうでした。その
時点で那智も気づくべきだったのかもしれませんが、少し前に素浪人を刺した時の短刀の血の
臭いが、完全な無気配というものを那智が察知することを麻痺させていたのでした。

 那智は短刀を構えると、そのまま瞬間的に姿を消しました。空気の流れを読むことで、空気と
一体化するように高速で動くことができるのです。そして右に左にと流れながら老人に近づき、
背後から短刀を突き刺しました。
 が、その瞬間、老人の杖が後ろに伸びて那智の腹部を打ち、短刀は紙一重で老人の着物の布
に届きませんでした。

435 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:58

 那智は一瞬ひるんだものの、すぐに後ろに跳ね飛んで間合いを取ります。そして今度は木から
木へと飛び移りながら相手を惑わします。いわゆる熊野の三社渡りと呼ばれる術です。
 そして釘型の手裏剣を連続して打ち込みながら、老人に向かって真一文字に突き進みます。
しかしまたしても後一歩というところで老人の杖がそれを阻止します。老人は全ての手裏剣をよ
けたのみならず、その杖を今度は那智の脳天に叩きつけていました。
 那智は空中で反転することでその衝撃を減らすと、地面に足をついた反動で再び飛びのいて
間合いを取ろうとしました。が、それは老人に完全に読まれていました。
 老人の後ろ十歩ほどの場所に着地した那智の胸に、釘型の手裏剣が突き刺さっていたのです。
「な、なんだべ?」
 那智がそう言うまもなく次の手裏剣が刺さり、さらに次の手裏剣が刺さりました。三社渡りから
投げた手裏剣が全てかわされたどころか、全て那智に向かって返されていたのです。それもど
れもが那智が着地する場所を予知して返されたものでした。
「な、なんで……」
「お若いの、そう急ぎなさるな。何が起こるかわからぬのが人生じゃて」
 振り向きながら老人がそう言いました。那智はそのまま前方へと倒れこみました。
「うう……那智が……那智がこんな老人に……」
「ほほほ、那智と申されたか。悔やまれますな。わしは名張の充代斎(じゅうだいさい)と申す老い
ぼれにて、多少は名を知られておる」
「じゅうだい……さい……?」
「平家流といえばわかるかのお」
「け、剣聖……」
 那智はそう言い残すと、そのまま息を引き取ったのでございました。

436 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:58

五.

 城下町に一人の老人の姿がありました。気ままな隠居の身とはいえ、平家流の創始者であり、
今や伝説の剣聖とも称されている名張充代斎であります。
 その充代斎がまたもや団子屋で団子を食べていると、そこを爽やかな汗を流す集団が通りか
かりました。城下で三指に入る道場の道場主と門弟たちです。と、その道場主が充代斎の顔を
見るやいなや、血相を変えて飛び込んできて、その前に肩膝をついたのであります。
「も、もしや、平家流の初代様ではござりませぬか」
「ほっほっほっ。いかにも充代斎じゃが、そなたは」
「それがし、この城下で道場を営んでおり申す。まだ若い時分、江戸の剣術大会にて充代斎殿
の剣技を拝見したことがござりますれば……」
 とまあ、そんな挨拶があり、せっかくの機会とばかり、充代斎は道場へと招かれたのでありま
す。ただし、剣聖と剣を合わせられるような者は道場にはおらず、差し出された饅頭を食べな
がら稽古を見学するという程度のことでしたが、それでも門弟たちの稽古には熱が入ります。
 特に年下の門弟に敗れて師範代の座を逸した飯田織部は意欲に抜きん出ていました。
「うむ。その若いの、なかなかいい筋をしてなさる」
「は、ははははははい。こ、光栄です」
 剣聖から直に声をかけられたとあっては舞い上がるのも無理もない話で、他の門弟たちから
もおおっと声があがります。
「それは飯田織部と申し、いずれはこの道場の師範代、師範となる者にて」
 道場主がそう説明し、飯田は嬉しそうに頭を下げました。
「ふむ。よかろう。お若いの、わしにかかってきなされ」
 えっという声が方々からあがります。飯田自身も信じられないという表情を浮かべ、目をパチク
リしていました。
「ほうかひたはの?」
 充代斎が饅頭をモグモグと食べながらそう言いました。どうかしたかの、と言ったのでしょう。
「あの、ですが……」
 飯田がそう尋ねかけました。それもそのはず、充代斎はその場に座ったまま饅頭をほおばって
いて、かかってこいと言われてもどうしていいかわからないのです。

437 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:58

「よ、よろしいのですか?木刀もなにもありませんが」
 飯田の問いかけに答えずに、充代斎はなおも饅頭をほおばり続けていました。
 道場主が飯田に言います。
「試してみたらよかろう。本当は私が試したいところだが、何事も勉強だ。だが油断はするな」
「は、はい!」
 飯田がそう返事をして、木刀を構えました。一方の充代斎は相変わらず座ったままです。そし
て饅頭を取る手を止めません。
 しかし木刀を構えてみればすぐにわかります。充代斎には全くといっていいほど隙がありませ
んでした。どこから打ち込んでもかわされるような、そんな気がしてきて、飯田の足は完全に止
まっていました。
 門弟たちも稽古の手を止め、その様子を見守ります。飯田もただ突っ立ってはいられません。
叶うとは思わないまでも、どのような受け方をされるのかという興味は存分にあります。
 そして飯田は動きました。座っている充代斎に対して一気に歩を進めて木刀を振り下ろしたの
です。が、充代斎は全く動きませんでした。飯田の木刀が寸でのところで止まることを見切って
いたのです。本気で打ち込んできなさい、ということなのでしょう。
 飯田は一歩退いてまたもや木刀を構えました。今度は上段ではなく中段の構えです。座ってい
る者に対してはその方が無駄がないと判断したのでしょう。
 そしてじりじりと間合いを詰め、充代斎が饅頭を手にして口にほおりこんだ瞬間に飯田は動き
ました。小手先の剣技ではどうかわされるかわかりません。飯田はその中段の構えからそのま
ま座した充代斎に向かって突きを繰り出しました。
 と、その瞬間でした。おいしさのあまりいくつも饅頭を詰め込んだせいか、充代斎は饅頭を喉
に詰まらせ、ごほごほっと苦しそうに咳き込んだのであります。目の前からは木刀が迫っていま
したが、それよりも脅威なのがその饅頭でありました。

438 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/04(土) 17:58

 充代斎はとっさに置いてあった湯呑みを手に取り、それを飲み干しながら体を後ろにそらして
木刀をかわそうとしました。が、それはそれ、経験豊富とはいえそんな体勢で湯を飲んだことな
ど当然ありません。喉に詰まった饅頭にはばまれた湯が気管へと流れ、充代斎はもがきながら
そのまま後ろに倒れこんでしまったのであります。
 その顔の上には空振りに終わった突きが浮いていましたが、飯田は当然ながらかわされたの
だと思いました。しかし一度かわされても次を打つのが必定であります。飯田はその木刀をその
まま下へと軽く振り下ろしました。
 これもかわされるだろうと当然ながら思います。しかしもはや勝敗は関係ありません。どのよう
なかわされ方をするのか、飯田のみならず皆の興味はそこに移っているのであります。

 が、飯田の木刀はそのまま充代斎の額に打ち込まれていました。コツリと音がして飯田の手に
もその感触が伝わります。しかし何が起きたのかすぐには理解できません。
 周りからどよめきが起き、飯田は周りを見ました。皆が驚きの目で見ています。そして飯田もよ
うやくそれを理解しました。飯田の木刀が確かに剣聖に打ち込まれたのです。

 しかし、その時すでに充代斎が息絶えていたことに周りの者たちは誰一人気づいてはいません
でした。饅頭で喉を詰まらせ、さらに湯を気管に入れた時点で充代斎は絶命していたのでした。
 様子が変だと思ったのはそれからしばらくしてからのことでした。息をしていないことに気づき、
周りは大慌てに慌てます。道場主もどうしていいかわからずにただただうろうろしていました。
 しかし、一つだけはっきりしたことがありました。
 それは飯田織部が剣聖に勝ったのだということ――。

 こうして飯田織部に勝った福田十兵衛を追いつめた石黒の彩を破った中澤二十郎を葬った
安倍那智の息の根を止めた剣聖名張充代斎を、飯田織部が打ち負かしたのございます。
 はてさて、結局のところ一番強いのは誰なのでございましょうか。
 それは多分、誰にもわからないことかもしれません。

 完

439 :名無し娘。:2006/03/05(日) 11:10
充代斎の最期ヒドスw
軍艦は芸風が広いな

440 :名無し娘。:2006/03/06(月) 17:21
(ノД`)・゚・。ミチャーソ…

441 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:54

  ┌―――――――――┐
  │  剣  客  至  道  │
  └―――――――――┘

442 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:54

  ┌───────────────────────────―─┐
  │*主人公を選んでください                            │
  └─────────────────────────────┘
  │                                              │
  │  現在の選択 名張充代斎                             │
  │              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                             │
  │  説明      平家流槍術を会得。能力は安定。悲運の相。       │
  │                                              │
  ┌─────────────────────────────┐
  ||▼|| 名張充代斎  │槍徒│平家流    │                 │
  ||  || 中澤三十郎  │剣客│丹波流    │                 │
  ||  || 石黒彩之進  │浪人│(我流)    │                 │
  ||  || 飯田織部    │藩士│電波流    │   剣   客   至   道   │
  ||  || 安倍那智    │忍豚│陸奥派    │                 │
  ||  || 福田十兵衛  │門弟│銀杏流    │                 │
  ||  || ・・・・・・・・・・・・│・・・・│・・・・・・・・・・│                 │
  └―――――――――――────────―─────――――┘

443 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:54

  ┌───────────────────────────―─┐
  │*主人公を選んでください                            │
  └─────────────────────────────┘
  │                                              │
  │  現在の選択 中澤三十郎                             │
  │              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                             │
  │  説明      丹波流剣術の心得あり。全国行脚中。         │
  │                                              │
  ┌─────────────────────────────┐
  ||  || 名張充代斎  │槍徒│平家流    │                 │
  ||▼|| 中澤三十郎  │剣客│丹波流    │                 │
  ||  || 石黒彩之進  │浪人│(我流)    │                 │
  ||  || 飯田織部    │藩士│電波流    │   剣   客   至   道   │
  ||  || 安倍那智    │忍豚│陸奥派    │                 │
  ||  || 福田十兵衛  │門弟│銀杏流    │                 │
  ||  || ・・・・・・・・・・・・│・・・・│・・・・・・・・・・│                 │
  └―――――――――――────────―─────――――┘

444 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:54

  ┌───────────────────────────―─┐
  │*主人公を選んでください                            │
  └─────────────────────────────┘
  │                                              │
  │  現在の選択 福田十兵衛                             │
  │              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                             │
  │  説明      銀杏流剣術の門弟。やや早熟。ダートが得意。     │
  │                                              │
  ┌─────────────────────────────┐
  ||  || 名張充代斎  │槍徒│平家流    │                 │
  ||  || 中澤三十郎  │剣客│丹波流    │                 │
  ||  || 石黒彩之進  │浪人│(我流)    │                 │
  ||  || 飯田織部    │藩士│電波流    │   剣   客   至   道   │
  ||  || 安倍那智    │忍豚│陸奥派    │                 │
  ||▼|| 福田十兵衛  │門弟│銀杏流    │                 │
  ||  || ・・・・・・・・・・・・│・・・・│・・・・・・・・・・│                 │
  └―――――――――――────────―─────――――┘

445 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:54

  ┌───────────────────────────―─┐
  │*こちらでよろしいですか?                            │
  └─────────────────────────────┘
  │                                              │
  │  現在の選択 福田十兵衛                             │
  │              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                             │
  │  説明      銀杏流剣術の門弟。やや早熟。ダートが得意。     │
  │                                              │
  ┌─────────────────────────────┐
  ||  ||             │    │          │                 │
  ||  ||             │    │          │                 │
  ||  ||             │    │          │                 │
  ||  ||             │    │          │   剣   客   至   道   │
  ||  ||             │    │          │                 │
  ||▽|| 福田十兵衛  │門弟│銀杏流    │                 │
  ||  ||             │    │          │                 │
  └―――――――――――────────―─────――――┘

446 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:55

  ┃  ┏┓
  ┣━┗┛┃┃┃
  ┗━      ━┛

447 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:55

  ┌───────────────────────────―─┐
  │*主人公は福田十兵衛に決定しました                        │
  └─────────────────────────────┘
  │                                              │
  │  説明      銀杏流剣術の門弟。やや早熟。ダートが得意。     │
  │                                              │
  │  能力      剣25 力15 速15 術00 名00                │
  │                                              │
  ┌─────────────────────────────┐
  ||  ||             │    │          │                 │
  ||  ||             │    │          │                 │
  ||  ||             │    │          │                 │
  ||  ||             │    │          │   剣   客   至   道   │
  ||  ||             │    │          │                 │
  ||  ||             │    │          │                 │
  ||  ||             │    │          │                 │
  └―――――――――――────────―─────――――┘

448 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:55

1.

 普段は和やかな雰囲気の道場もその時ばかりは趣きを変え、ピリリとした緊張が張り詰めていた。
 日はまだ高い位置にあった。窓から光が射しこみ、板の間を照らし出す。陰となった部分の方が面
積としては大きいものの、道場全てが光に包まれているような、そんな柔らかな暖かさがあり、それ
はそこにいる者全てに未来への希望を予感させた。
 道場の中央の壁に「銀杏虚弱」と書かれた額が掛かっていた。銀杏流(ぎんなんりゅう)剣術の創始
者である先々代の筆で、落ちてくる銀杏の実を剣で真っ二つにしたことに由来するともされているが、
実のところ、その意味はよく伝えられていない。「いちょうきょじゃく」と読んではならない、ということだ
けが暗黙の了解として存在している。
 その額の前に現在の道場主である三代目が座っていた。壮年になりかけたといった年頃で、威厳
はあまりない。しかし五年前の東京剣術大会では予選を突破して本線に進んでいるから、剣の腕は
まあまあといったところ。そのおかげで弱小の道場ながら三十人の門弟を抱えている。
 その三代目の隣に左右に分かれて四人の若者が座っていた。どれも三段以上の高段者で、師範
や師範代として門下生に教える立場にある。その一番右側の溌剌とした師範代が尋ねるように口を
開いた。
「それでは始めますか」
 三代目がうなずき、師範代はすっくと立ち上がった。そして今度は腹の底から大きな声を出す。
「これより、福田十兵衛の師範代昇格テストを行う。福田十兵衛、前へ」
「はい」
 静かに返事をして、福田十兵衛が道場の中央、左側に立った。
 年の頃は二十歳をやや過ぎたといったところ。七年ほど前に開催された織田家主催棍棒術大会、
通称オリコンでは我流ながらジュニアの部で優勝、「オリコンの一位だけが一位ではない」との名言
を残したものの、棍棒術の限界を感じ、その後は武道から遠ざかっていた。
 そんな福田が復帰したのは半年前。実家の呂宋(ルソン)酒場で手代(てだい)をしながら学堂の
夜間部に通っていたのだが、卒業を機に剣の道に足を踏み入れたのだ。
 元々棍棒術を習っていたわけではなく、剣技の応用として大会に出ていたため、剣術は初めてで
はなかった。ただし、ブランクがあり、過去の経歴をあまり表に出したくなかった福田が入門したの
は銀杏流だった。東京に数ある道場の中でもあまりパッとしない流派だ。
 ただ、そこは武士や町人の別なく誰でも気軽に入門できる道場であり、強さを求めないという方針
があって、それが復帰を悩む福田には合っていたのかもしれない。
 実際、福田は週一というのんびりしたペースでこの道場に通いながらも、見る見るうちに勘を取り
戻し、二ヶ月目で初段を獲得、更にあっさりと二段に進み、いよいよ師範代の資格を取れるか、とい
うところまで来ていた。その日のテストには三段への昇段と師範代への昇格が同時にかかっていた。

449 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:55

「師範代昇格テストは三人掛かりにて行い、勝敗ではなくその対処の仕方によって判定する」
 師範代がそのように説明し、続いて三人の名を呼び上げる。
「亀井、道重、田中。前へ」
「じ、自分ですか?」
 突然の指名に戸惑った田中がそう言葉を発した。
 武士のせがれであるが、口先に比べて剣の腕はパッとせず、これを嘆いた親が幾つかの道場に
入門させるもどれも長続きせず、最終的にこの銀杏流に落ち着いたという、つまりヘタレである。た
だし、入門歴は三年で、おまけながら一応初段の段位を持っていた。
 一方、その隣にいた二人は自分が指名されたことがよほど嬉しかったのだろう、わーいわーいと
素直に喜んでいて、そのうちの一人などは鏡を見て自分の格好よさを確認しているほどだった。田
中と同期だったが、こちらの二人はまだ段位は持っていない。
 三人は木刀を手に中央の右側に立った。田中は震えていて亀井と道重は笑っていた。
「亀井、道重。ふざけてると怪我するぞ。真面目に構えろ」
 師範代から注意され、二人がつまらなさそうに顔を見合わせた。田中はやはり震えている。
「それでは始め!」
 四人が礼をし、木刀を構える。

450 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:55

┌―――――┬――┬―┬―┬―┬―┬―┬――――――――┐
│Fiter      │素性│剣│力│速│術│名│流派/必殺技    │
├―――――┼――┼―┼―┼―┼―┼―┼――――――――┤
│福田十兵衛│門弟│25│15│15│--│--│銀杏流          │
└―――――┴――┴―┴―┴―┴―┴―┴――――――――┘
  ┌―――――┬――┬―┬―┬―┬―┬―┬――――――――┐
  │亀井某    │雑魚│10│05│10│--│--│銀杏流          │
  └―――――┴――┴―┴―┴―┴―┴―┴――――――――┘
    ┌―――――┬――┬―┬―┬―┬―┬―┬――――――――┐
    │道重某    │雑魚│05│15│05│--│--│銀杏流          │
    └―――――┴――┴―┴―┴―┴―┴―┴――――――――┘
      ┌―――――┬――┬―┬―┬―┬―┬―┬――――――――┐
      │田中某    │雑魚│15│05│05│--│--│銀杏流          │
      └―――――┴――┴―┴―┴―┴―┴―┴――――――――┘

451 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:56

 左側、福田は正眼の構え。静かに前を見据える。
 それに対し、早速仕掛けたのが右側の道重だった。
「うおりゃあーーー」
 いきなり福田の目前に駆け込み、剣技などなんのその、力まかせに木刀を叩きつける。
「むっ」
 福田は一歩退き、木刀でそれを受けて横へと払った。と、今度は亀井が道重に続く。
「ええーい」
 道重のようなパワーはないが、一応基本に忠実なのが亀井だった。ただし、それは長所がないと
いうことでもあり、福田はあっさりとその面をかわして小手に一撃を喰らわした。
「いたっ」
 亀井がそう口にしたと同時に、手から落ちた木刀が板の間に当たってカランという音を立てた。
 カーボンコーティングされた木刀とはいえ、防具はつけていないから、小手であってもダメージは大
きい。亀井は顔を歪ませながら落ちた木刀を拾い、福田を睨みつけた。
 その福田はすでに道重の二撃目に対処しているところだった。
「ちょりゃーーー」
 道重の再びの面を受け止め、間合いが詰まる。パワーで押すしかない道重は接近戦にもちこもう
とするが、福田も接近戦は苦手ではない。ただ、三人掛かりであるからここは退きたいところ。
 亀井が立ち上がって木刀を構えたのを見た福田は、ふっと力を弱め、道重の木刀を滑らせた。突
然の力の強弱に道重は前のめりになり、そこをすかさず福田が横に回りこむ。
 若干の間合いが開き、福田は一歩退くやいなや再び前に出て道重の無防備な面を打った。
 鈍い音がして道重は目を見開いたまま崩れ落ちた。周りからおおっという声が漏れる。
 が、福田はすでに亀井に向かっていた。がら空きの胴に一撃をお見舞いし、うぐっという声とともに
亀井もまたうずくまる。あっさりとしたその剣技に、福田の表情もまたあっさりしていた。

452 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:56

 道場の中央には福田が立っていた。そして右側には田中。一応正眼に構えてはいて、その構え方
もやられた二人とは違ってさまにはなっている。ただ、かなり緊張しているらしく、手はガチガチに固
まっていた。
「どうした」
 見守っていた道場生から声が飛ぶも、田中は全く動こうとしない。ヘタレであるから動けないのかも
しれない。しかし福田は構わずに静かに田中を見据えた。すでに射程に入っている。
 ガクガクと震えながら田中はゆっくりと下がった。と、転がっていた亀井の木刀を踏んづけてしまい、
びっくりしてひーっと大きな声を出した。そして更に仰向けに倒れていた道重を見て、あわわわわ、と
大きく口を開いた。そして突然、なにかの回線が切れたらしい。
「うわあああああ」
 田中は突然木刀を大きく振り回し始めた。そして振り回しながら前進して福田に襲いかかる。
 基本も技もあったもんじゃないそのがむしゃら剣法に福田は若干戸惑っていた。
 隙はいくらでもある。しかし、そこを狙おうとしても相手はすでに剣の基本を忘れている。普通の相
手であればどういう反応をするかは大体わかる。が、田中の場合は全くそれが読めない。
 福田は二歩退いて間合いを確保した。そして相手の動きを読もうとするも、田中は泣き出さんばか
りの表情を浮かべ、まるで阿修羅のように木刀を振り回していた。
 と、福田は唐突に構えを解き、木刀を左手に持って腰の脇に戻した。すでに勝負は決したというア
ピールなのか、それとも無用な相手には近寄らぬが吉と考えたのか。福田から闘争の気配が消え、
一同シーンとなった。田中はあいかわらず木刀を振り回していたが、なんだか様子がおかしいとは思
い始めたらしい。その速度を弱め、それまで全く見ていなかった前方を見た。
 が、そのときにはすでに福田は田中たちに対して礼をし、正面の師範代に対しても礼をしていた。
そしてそのまま下座に進み、もう一度軽く礼をして見学していた門弟たちの中に着座した。
 困ったのは師範代である。その行動を見事として「勝負ありっ」と声をかけるか、それとも試合放棄
と見なすか。十秒ほど間が空いて、師範代が選んだのはそのどちらともとれる言葉だった。
「それまでっ」
 その声に、やはり戸惑っていた門弟たちから歓声が上がった。いやはや見事、と声をかける者もい
れば、逆に納得がいかないと呟く者もいて、それは微妙な結末となった。

453 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:56

 その日の稽古は福田のテストが最後だったため、後は三代目の結果待ちであったが、異例なこと
にその結果が講話の中で発表されることはなかった。三代目も福田の評価を迷っていたのだろう。
 全員で「銀杏虚弱」の額に一礼し、いつも通りの解散となった。その後は段位を持たない門弟たち
が雑巾がけをし、片づけをする。
 と、そこで三代目が福田に声をかけた。その後ろには二人の師範。部屋で話があるらしく、福田は
道場から渡り廊下を通って畳敷きの和室へと通された。
「今日のテストだが」
 三代目がそう口にして、顎をあげた。福田は背筋を伸ばして正座していた。
「一応訊いておくべきであろうな。なぜ田中を打たなかったのか」
 福田は一瞬黙ったものの、堂々と、しかし意外な言葉を発した。
「勝てないと思いました。ただそれだけです」
「ふーむ」
 三代目は腕組みをし、そのまましばらく黙りこくった。
 師範がなにか言いたげだったが、口を挟むべきではないと思ったのか、すぐにまた口を閉じた。
「銀杏流では物足りんのかもしれんな」
「そういう意味では……」
 その言葉に福田が大きな声を出した。
「いや、確かに私もあれは見事だったと思う。私にもできなかっただろうし、師範も、そうだな」
「は、はい……。私なら田中に打ち込んでいたと思います。隙を見て……」
「うむ。しかし、銀杏流の剣であの阿修羅のような田中に果たしてどう立ち向かうか」
 ここでもう一人の師範が口を挟んだ。
「田中は木刀を振り回すのに懸命で前が見えていませんでした。素早く後ろに回り込めば……」
「普通ならそう考える。しかし福田はそう考えてはいなかった。そうだな?」
「はい」
「横や後ろに回りこんで打ち込み、田中を倒したとして、それは勝ったことになるのかどうか」
 師範があっと声を漏らした。福田の第一声の意味にようやく気づいたのだ。
「もしかすると福田は我々より剣の道に真剣なのかもしれん。だとすると、やはり銀杏流では物足り
まい。きっとそういうことなのだろう。福田十兵衛、銀杏流三段へ昇段を認める」
「はい」
「ただし、師範代への昇格は見送り、三段にて卒業とする」
 師範の二人は言葉もなく、しかし福田は黙って一礼し、座を立った。

454 :軍艦ランチ5 ◆ApwLGUN5/6 :2006/03/24(金) 23:56

つづく?

455 :名無し娘。:2006/03/25(土) 21:11
どんな話になるか楽しみ

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0ch BBS 2006-02-27