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川 ’−’川<高橋がまた×10マジレスするやよ(狩狩)

905 :名無し娘。:2004/08/02(月) 03:38
「ナイフ汚さないで済んだと思ったんだけど」
言いながら懐からナイフを出すと、少年の額をつついた。
「ね、ユーウツのウツって漢字で書ける?」
満面の笑みを浮かべたままで、優しく語りかける。まるで憧れの家庭教師みたいに。

少年は眉を顰めると、
「な、なに言ってんだあんた……」
「分かりやすい覚えかたがあるんだ。まず、二本の木が離れて生えています」
教師の口調のままで、藤本は少年の額にナイフで「木」「木」と刻み込んだ。
呻き声をあげて暴れ出すが、喉と身体を押さえられてどうにもならない。
血が垂れ下がって、こめかみに縞模様のように垂れ下がった。

「そんで、次は」
「分かった、分かった、言うよ、言うから」
涙を浮かべた目で、切なげに見つめてきている。藤本はナイフの手を止めると、
「漢字博士になりたくない?」
「こ、こいつらは、ニダーなんだ」
少年が言うのに、藤本は二人の死体へ視線を向けた。
ニダーの噂は聞いたことがあった。バックについているのは韓国系のマフィアで、
不法滞在の外国人労働者や、以前から風俗関連で根を広げていた中国闇社会との
繋がりがあるとも見られている。秘密裡に、震災後の混乱を狙って半島から
工作員が送られているという噂もあった。
「うちのリーダーが、矢口にニダーを挑発するようにって言われて、……リーダーも
わけ分かんねえって言ってたけど、とにかくあいつらを怒らせればいいんだって……」
「矢口真里が、そうしろって言ったんだ」
「そうだよ」
「それで、その矢口真里は、今どこにいるのかな? 前のアジトは灰にされた
って噂だけど、どうせまたどっかに集まってるんでしょ?」
「……知らねえ」
「ふーん……。じゃ、最後に、先生英語の授業してあげる。私の質問に対する
あなたの答え。英語で言うと?」
「……?」
「ノー」
そう言うと、左の頬に深くナイフを突き立てた。今までのような浅いものではなく、
カタカナの「ノ」は深く口蓋の奥まで突き刺さっていった。
「……う……」
悲鳴を上げようと口を開けた途端、大量の血が溢れた。
「もういっぺん訊きます。矢口真里の居場所を教えてくれますか? Yes? NO?」
「……」
小刻みに震えながら、それでも答えようとしない。藤本はもう笑ってはいない。
もう一度深く頬に「ノ」を刻み込む。少年は声も挙げられず、暴れる気力も
残っていないようだった。

「ラストチャンス。あんた顔ちっちゃいから喉に行っちゃうね」
「……分かった、言うよ、言うから……」
消え入りそうな声だったが、なんとか聴き取ることは出来る。
藤本は、ほとんどうわごとのような口調で矢口たちの居場所を口にする少年を
見下ろしながら、血塗れになったナイフを拭った。

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