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( `▽´)<なんなのなによ!

89 :ジョセフ後藤 ◆JOJO8O9U :2004/04/18(日) 08:28

【第六話  DD刑事の狙撃】

90 :ジョセフ後藤 ◆JOJO8O9U :2004/04/18(日) 08:28

深く深くため息を一つ。大きく二つ深呼吸。フーフー。
このロッカーを開ける時はいつも心臓が早鐘のように鳴る。
別に矢口が入ってるわけじゃないのにね。


「おーい、行くぞDD。準備はできたか?」
「ゴアさん・・・・・・・」
「い・そ・が・な・きゃー、間にあわん DAY!」
「得意なことよりも・・・・・好きなことがいいっす」


この目は―たとえ二階席からでもやすすのホクロが見えるため。
この手は―たとえハワイまで行こうともあややと握手するため。
ゲスな犯罪者の頭を弾くためのもんじゃないはずだ。だだ。
もちもん断ろうと思えば断れたのだが、
夏の妙な雰囲気でついうなずいちゃった俺はDD。


この仕事が終わった後でも、俺は誰でも大好きなんて言う資格があるのだろうか。

91 :ジョセフ後藤 ◆JOJO8O9U :2004/04/18(日) 08:29

今度は誰が卒業するんだよ?ってなくらい重苦しい車内。
俺に狙撃のドレミ・・・・・じゃなかった狙撃の1・2・3・・・・・あれ?
じゃなかった狙撃のイロハを教えてくれたのは他ならぬゴアさん。
狙撃者の憂鬱は狙撃者にも理解不能な心の怪物。
俺に何も言わずにハンドルを操るゴアさんはかつての名スナイパー。


「ターゲットは?」
「21歳。身長165cm。体型・急杉田かな。茶髪」
「ポイントは?」
「4階のビルの屋上。ターゲットから約250m。晴れ」
「通り雨のちスキ?」
「天気予報はあてにならんよ」
「女の子の気まぐれはよりは予知できるでしょ」


いつものように軽口を叩き合っても表情は冴えない。
ゴアさんの目も心なしか空ろだ。鬱ロダ?今ならいくらでも画像をうpできますよ。
目の病気をしてからゴアさんはこの仕事を下りた。
なっちからやすすにうつされたのはものもらいだが、
ゴアさんから俺にうつされたのは、目の病気ではなくてやっかいなこの仕事。


ケースの中で静かにその時を待つ、もう一人の俺。

92 :ジョセフ後藤 ◆JOJO8O9U :2004/04/18(日) 08:29

なんのトラブルもなくパラッとポイントに到着。
覚醒剤の売買なんかして、良い子の私にバイバイしてた
ターゲット君は捜査官を振り切って人質を盾に立て篭もっているらしい。
英会話スクール。入ったきり。いけてないぜ。


ケースからバラッとライフルを取り出す。重い。
まるで高橋が一人ではしゃいでいる時の空気みたいに重い。
スコープを覗き込む俺はちょっとしたタシーロ気分を味わう。届けこの想い!
室内は昨日行った娘。のコンサートのように人がまばら。
ご丁寧に黒いシートまでかぶせてあって笑える。あははははははははははは。失礼。


「タイムリミットは16:00だそうだ」
「結構待つんですね」
「ギリギリまで突入の機会は狙うからな」
「今すぐ入れば?」
「無理だ。失敗するのは確実」
「コーラを飲んだらゲップが出るってくらいに?」
「次のシングルが10万枚を割り込むってくらいに」


何事にも初めてということはある。俺は犯人射殺の経験は一度もない。

93 :ジョセフ後藤 ◆JOJO8O9U :2004/04/18(日) 08:30

16時。その時はやってきた。後藤真希卒業の瞬間のようにあっけなく。
鏡を見るまでもなく自分の顔が強張るのがわかる。笑えDD。
笑え笑え笑え笑え笑え 笑顔のパワー!ヘイ!パワー!
吉澤ひとみの全盛期を思い出してテンションを上げる俺はDD。


スコープにターゲットをロックオン。カタカナばっかり。頑張れ日本語。
ここで俺が引き金を引けば、たとえセクシービームをもってしても
彼の人生のホームページを更新することはできなくなっちゃうんですよ遺影。
いつでも撃つぜ撃っちゃうぜ。うぜうぜうぜー議論厨。
レディース、アンド、ジェントルマン!ミニモニ。射殺フェスティバール!
いっちゃえーーーーーーーーーーーーーー。


「突入!」


おやおやなんと刺激少ない方をお選びですか?
イヤホンから聞こえてきた必要最小限の単語による命令。
「いのち」の「きまり」と書いて命令。深いね日本語。役不足オーケー?
スコープに映る喧騒。揉み合う機動隊と犯人。揉み合う?あらやだいやらしい。
あっという間に捕まる犯人。時間にして辻のソロパートくらい。

94 :ジョセフ後藤 ◆JOJO8O9U :2004/04/18(日) 08:32

そそくさと撤収を始める狙撃班。こんなに人がいたなんて知らなかったよ。
そんなことよりとにかく喉が渇いた俺は手に取ったペットボトルにがっつく。
グホグホグホッ。DDとはいえさすがにモニフラ一気飲みはキツイ。
この仕事もなあ。フラダンス味くらい甘ければ俺の人生もっと楽なのにね。


「DD、お疲れサマー」
「別に疲れてナイトタウン」
「笑え。DD」
「は?」
「笑えよ」
「何言ってんすか?」
「刑事の仕事、好きなんだろ」
「・・・・・・・」


射殺するか否かの刹那。笑ってる場合でもナイトタウン。
いくら笑顔のパワーが欲しいといってもとても笑えそうにナイトタウン。
どんな笑顔見せても心の中が読まれそうだしね。
大人ぶった下手な笑顔じゃ心かくせない。
わかっているんでしょ、ゴアさん。
刑事の仕事なんてさ!


大キライ!大キライ!大キライ!大スキ!

95 :ジョセフ後藤 ◆JOJO8O9U :2004/04/18(日) 08:32

【DD刑事の狙撃  終わり】

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