■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 最新50
【下克上】例えば名無しが作者編【成り上がり】

204 :名無し娘。:2006/10/13(金) 19:54 ID:v.ljimB2

美貴の部屋。いつも通り、だらだらしながら他愛の無い話をしていた。

「だからー。美貴の方がすごいの」
「はぁ?冗談だろ。俺の方がすごいね」

今日のテーマは『どっちがすごいか』だ。
まぁ、説明すると・・・・ただの自己推薦だ。要するに。

「何言ってんの? 格闘ゲームだって美貴の方が上手いし、試験だって美貴の方が点取るしぃ。それに、腕相撲だって勝率は美貴の方が上だもんねー」
「そんなの生ぬるいね。身長・体力は俺の勝ちだし、体重だって――」
「バーカ。どっちが生ぬるいのよ! 体重なんて勝ちたくもないし、身長や体力は○○が男なんだから当たり前でしょー」
「男ねぇ・・・ふーん、お前、俺のことちゃんと“男として”見てたんだな」
「なっ・・何言ってんのよ。急に・・・・別に男としてとかじゃなくても、あんたは男で美貴が女なのは生まれた時からのものでしょ・・・・」

少し顔が赤くなってるぞ。美貴。
なんて言いたかったけど、これ言うともっと赤くなるだろうしなぁ・・・あ、俺のほっぺたもな。

「でもさ。正直ちょっと嬉しかったな」
「え・・な、何がよ・・」
「いやさ、お前、俺の事普通に部屋に入れてくれるじゃん。まぁ、幼馴染だからってこともあるけどさ。でも、どっかで「どうせ何もしない」って思われてるんだなって思ってさ」
「・・・・・」

急に黙り込む美貴・・・・何だよ。なんか変な空気になったじゃんか・・・
俺そんなに変な事言ったか・・?     

「・・・ねぇ、○○・・・」
「ん?何だよ・・」
「それじゃあさ・・・・逆に○○はどう思ってるの?美貴の事・・・」
「え? ど、どうって・・・別に・・・・」

いきなり何を聞いてくんだよ。こいつ・・・
っていうか、何だよ・・・この雰囲気は・・・・

「・・○○の方こそ・・・美貴の事、女と思ってくれてるわけ・・・?」
「あ・・え、えっと・・・・何て言うか・・まぁ、そうかな・・・・・」  

や、やばい・・・絶対今顔赤いって・・・・っていうか耳が熱い

205 :名無し娘。:2006/10/13(金) 19:54 ID:v.ljimB2

「な、なぁ!も、もう辞めない?この話。ほ、ほらゲームしようぜ!ゲーム」

立ち上がり、ゲームが置いてある棚に向かおうとすると、
急に足首を掴まれた。

「ちょっ、転ぶだろ・・・み、美貴?」

振り向いて美貴の方を見ると、涙目になった美貴が、赤い眼で俺を見上げていた。
その顔は今まで見てきた美貴の顔の中でも・・・   

「・・・・・○○、座って・・・・」
「あ、あぁ・・・」

足首を離され、俺はまた元の場所に座る。
美貴は俺の真正面に座り、ずっと下を見ている。
その姿は何度か見たことがある。そう・・・・何かを言おうと決心を固めている姿だ。

「・・・美貴ね。実はずっと思ってたことがあるの」
「・・・・・」
「美貴たちってさ。幼馴染としてずーっと過ごしてきたけど・・・・それもいつかは終わるんだなって思ってた。それがどんな形になるかはわかんないけどさ・・・・」

それは・・・俺にもあった感情だった。
俺たちは幼いころから一緒だった。そんな関係には、兄妹とか、家族とか、いろいろ表現方法があると思うけど、
でも、そのどれとも違う。それが“幼馴染”――

何て言うか、選択肢がたくさんある関係だと思う。
友達、恋人、夫婦、赤の他人・・・・そして、そのままの幼馴染。
そして、その選択肢を決定するものは・・・・お互いの気持ち次第なんだよな・・・・

206 :名無し娘。:2006/10/13(金) 19:54 ID:v.ljimB2

「でもね。もし終わるとしてもさ・・・美貴は、良い形で終えたいって思ってた。二人にとっての良い形でさ・・・・・ ねぇ、○○」
「・・・な、何・・・?」
「・・・・・・・・美貴と・・・美貴とエッ」    

“プルルルル プルルルル”
・・まるで空間を切り裂くように、美貴の家の電話が鳴り響く。
それと同時に美貴が急に立ち上がり、部屋を出ようとドアの方へ走る。

「み、美貴!」

その姿を見て、俺はなぜか声をかけてしまった。
美貴はそんな俺を見ずに、ドアノブを掴んだまま――

「・・・ごめん。今日のことは忘れよ? ね・・・お願い」

そう言うと、ドアを開け、電話へと走る足音を遠くさせていく・・・・

「・・・・ふぅ・・・。何か・・・今日はめちゃくちゃ疲れた・・・・」

そんな独り言を言いながら美貴の机がある壁を見ると、

『美貴と○○。1992年2月26日』
と書かれた写真が貼ってあった。

「へぇ・・こんな写真貼ってあったんだ・・・・全然気付かなかった」

そう言いながら、近寄って見てみると。そこにはバカな格好で写る俺と―――


そんな俺の横顔を、赤い頬で見つめる美貴が写っていた。


                                    
おわり。

144KB
続きを読む

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
名前: E-mail(省略可)

0ch BBS 2006-02-27