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【下克上】例えば名無しが作者編【成り上がり】

187 :名無し娘。:2006/10/07(土) 22:40 ID:QNDmXXhc

 ○○さん、美貴さん、本日はおめでとうございます。そしてご両家の皆様には心よりお
喜び申し上げます。わたくしは新婦の美貴さんの幼なじみの●●と申します。

 わたくしには美貴さんがいかに素晴しい方かぜひご紹介を、とのことでございましたが
、わたくしから申し上げるまでもなく、美貴さんは世間に知られたアイドルでございまし
て、その魅力のほどはよくよく知られているところでございますので、私としましては、
アイドルになる前の美貴さんのエピソードを1つ紹介させていただきたいと思います。

 あれは中学生の時分でした。わたくしは部活動で野球部をしていたのでございますが、
来る日も来る日も玉拾いばかりで本当につまらない日々でした。ある日、わたくしはやっ
とのことで守備の練習をさせてもらえることになったのですが、先生の見ていないところ
で先輩のノックを受けたものですから、先輩たちが調子にのって千本ノックをすると言い
出したのです。わたくしはその時、ここでいやだと言えば一生玉拾いだと思ったものです
から、一生懸命ノックを受けました。そして夕焼けがやってきました。わたくしはまだ先
輩のノックを受けていました。わたしはもうへろへろだったことを、覚えています。それ
でも先輩たちは面白がってやめようとしなかったのです。

 もう、お分かりでしょうが、その時私を助けてくれたのが美貴さんでした。あの時の光
景は今でも目に浮かぶようです。美貴さんの投げた球は素晴しいコントロールで先輩の頭
のボール1つ分横を通り過ぎました。そして「●●はもうへとへとなのに、これ以上ノッ
クを続けるならタダじゃおかない」と言ってくれたのです。

 ○○さん。このように美貴さんは正義感がつよくて、行動的なすばらしい人だと思いま
す。その行動に面食らうことがあっても、必ず理由のあることだと思います。ですから、
なにがあっても美貴さんのことを幸せにしてあげてくださいね。

 どうか幸せな家庭を築いていただけますように。それではもう一度お祝いの言葉を述べ
させていただきたいと思います。本当にこの度はおめでとう。

188 :名無し娘。:2006/10/07(土) 22:40 ID:QNDmXXhc

 「こんな感じでいいかな?お前どう思う?」
 「うーん、ちょっと普通すぎねぇか?」
 「そうかな?野球部のくだりなんかよくねぇ?」
 「うーんでもさ、ちょっとこれじゃあ怖い人っぽくない?」
 「あー、ちょっとやりすぎたか。こういうエピソードって作るのむずかしいな。」
 「おい。作り話かよ。」
 「そうだよ。」
 「そうだよ、ってお前。そんなの新婦が会場で聞いたらびっくりするじゃないか。」
 「大丈夫だって。うーん、ていうかさ、やっぱ今はサッカーかな。俺、野球部とサッカ
  ー部ならどっちがかっこいい?」
 「知らねーよ。ていうかなに?お前本当はなに部なの?」
 「帰宅部だよ。」
 「おいおい。なんだよそれ。そんなの美貴さんの中学時代を知ってる連中はみんな苦笑
  いじゃないか。」
 「苦笑いでも笑いは笑いだろ?」
 「その発想はどうかな。」
 「わかったよ。じゃあ特に面白いことはありませんでした。ってことにしておくわ。」
 「おいおい。それはないだろ。なんか1つくらいないのかよ。実話でさ。」
 「意外とないものだぜ。お前さ、自分の幼なじみのこと考えてみろよ。何かあるか?」
 「そういわれると確かに思いつかないな。」
 「だろ?そういうもんなんだよ。だからさ、適当にいい話をでっち上げた方が客の受け
  もいいし、簡単なんだって。」
 「わかったよ。じゃあとにかくさ、先輩にボールを投げつけたっていうのは無しにしろ
  よ。それから自分のことわたくし、っていうの堅苦しいからやめにしようよ。」
 「俺様、とか?」
 「だめだよ。」
 「そうかな?面白くね?」
 「面白くても、新婦に恥じかかせちゃだめだよ。ここは僕でいいだろ。」
 「はいはい、僕ね。」
 「それからさ、なんていうんだろもう少しお前の本音っていうかさ、堅苦しい一通りの
  話だけじゃなくて、もうちょっとおまえ自身の言葉を多くした方がいいと思うよ。」
 「そういうものかな。」
 「うん。みんな堅苦しいからなスピーチってのは。もっとくだけた感じでもいいと思う
  んだよね。俺は。」
 「わかった。もうちょっと考えてみる。」

189 :名無し娘。:2006/10/07(土) 22:41 ID:QNDmXXhc

 ○○さん、美貴さん、本日はハッピーウェディング。そしてご両家の皆さん心よりチェ
ケラッチョー。俺様、新婦の美貴さんの幼なじみの●●。オナショーでオナチューってや
つだからマジで腹いてぇ。

 美貴さんは、なんつぅか、たしかにアイドルとかしてるらしいんすけど。はっきり言っ
て、曲とか聴く気んなんねぇ。ていうかつんくっしょ?腹いたくね?俺様はさっきからマ
ジいてぇんだけど。マジ?お前も?俺様もさっきからなんすよ。料理やばくね?

 あぁ、っつーか、エピソードなんすけどぉ。昨日からマジ徹夜してでっち上げてやろう
っていうか、まあ嘘ぶちかましてやろうかとおもったんですよー。いや、マジマジ。マジ
で嘘の話なんですけどね。俺様、昔ラグビー部にいたんすよ。あ、いま笑ったやつはオナ
チューでうちにラグビー部無いって知ってるやつなんすけどぉ。うはっ。言っちゃった。
うーわ。お前のせいだからな。マジで。マジでお前のせいだからな。うはっ。あいつ要チ
ェックだったわ。もう要チェケラッチョーだったわ。うわ。まじうぜぇ。全存在がうぜえ
。まぁ嘘ってばれちゃったんすけど。あえてそれを無視するのがクールなんす。マジっす
。だからみんなもマジ無視してくれるのがクールなんすよ。まぁ、結局なにが言いたかっ
たかって言うと、美貴さんは先輩ぶん殴っておれを助けてくれたんす。いやホント感謝っ
す。

 あ、そうだ○○さん。この通り美貴さんは……うはっ。俺様、美貴さんが殴ったってい
っちゃったじゃん。うはっ。やっべぇ。言うなって言われてたんすよね。うーわ。やっべ
ぇ。ていうかマジ腹いてぇ。腹痛くて死にそ。うーわ。ま、ともかく今日は本当におめで
とうっす。美貴さんのこと幸せにしてほしいっす。

 ていうか、最後なんで、もう一回お祝いなんすけどぉ、その、えっとなんだっけ。えっ
と……えっと……あ、そうだ。ハッピーウェディング、アンド、要チェケラッチョー。○
○ですた。うわ、噛んだ。

190 :名無し娘。:2006/10/07(土) 22:41 ID:QNDmXXhc

 「どう?」
 「お前は俺をおちょくってるのか?なんだよ腹いてぇって。」
 「なんか書いてるうちに緊張してきちゃってさ。」
 「だからって原稿用紙に書くことないだろ。」
 「俺どうしても頭のイメージに文章が引きずられちゃうんだよな。」
 「それになんだよ。俺様はやめろって言っただろ。」
 「それもさ、なんか緊張したら言っちゃいけない事を言っちゃったていうかさ、ほら、
  自転車とか運転しててもぶつかりそうな方に目が行って結局本当にぶつかったりする
  じゃん。」
 「そんなたとえとかいいから。ていうか、なんだよはじめちゃんと書けてたのにこれは
  ぜんぜんだめじゃん。」
 「だってお前みてたじゃん。俺さぁ人に見られてると緊張してダメなんだよね。」
 「そんなやつがよく結婚式のスピーチなんか引き受けたな。」
 「いや、まだ引き受けてないよ。」
 「なんだ。そうなのか。じゃあ今から断りの電話入れろよ。こんなんじゃあ頼む方は迷
  惑だよ。」
 「あぁ、その必要は無いよ。」
 「なんで?」
 「俺、頼まれてすらいないから。」
 「頼まれてすらいないのかよ。じゃあなんでお前こんなの書いてるの?」
 「だって俺幼なじみだよ?絶対頼まれると思ってさ。」
 「あぁ、前もって準備しておこうってことか。」
 「うんだって、急に頼まれたらそれこそ緊張でどうなるかわからないじゃん。」
 「その時は丁重に断ればいいだろ?」
 「あー、それもそうだな。」
 「あ、そうだそうだ。そういえばさ、美貴さんって藤本美貴だろ?」
 「そうだよ。」
 「あーやっぱりそうなのかー。残念だなー。俺大ファンなんだよね。
  あーショックだぁ。結婚しちゃうんだー。知らなかったよ。」
 「あ、お前しらなかったの?」
 「そうなんだよ。まあ覚悟はしてたけどな。あ、それでさ。その結婚式なんとかもぐり
  こませてもらえないかな。ほらファンとしてはどんなやつか顔見ておきたいし。」
 「あー、でもなぁ。」
 「そこをなんとか。」
 「いや、でもな。いつ結婚するかわからないぞ。アイドルは恋愛とか結構厳しいらしい
  し。」
 「ん?」
 「だからいつ結婚するか…」
 「え?なに?お前結婚式があるからその準備してるんじゃないの?」
 「ちがうよ。」
 「は?じゃあ、お前はなにしてるの?」
 「お前のことおちょくってやろうと思って。」
 「うわ、やられた。だめだこりゃ。」


 おわり

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