■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 最新50
アイドルをさがせ!

25 :3を ◆XjKPPBUhLM :2005/02/24(木) 21:43 ID:xdKe5Zis
「東京ミッドナイトブライトネス」


 都内某所。中澤は加護と待ち合わせをしている。加護現れる。

中澤「あ、加護ちゃん。こっちこっち。」
加護「あ、中澤さん。なんですのこんな夜に待ち合わせて。」
中澤「ごめんなぁ。でもなぁ、めっちゃ偉い人たちがあつまんねん。で加護ちゃんにぜひ来てほしいって。」
加護「めっちゃ偉い人たちですか?」
中澤「せやねん。その人たちめっちゃ金持ちやねん。」
加護「その人たちが私に何のようがあるんですか?」
中澤「せやなぁ・・・ファンってとこかなぁ。あ、大丈夫大丈夫。みなさん紳士は紳士やから・・・。」
加護「なんか、めっちゃ引っかかるんですけど。なんですの『紳士は紳士』て。」
中澤「まぁ、ちょっと変わってるっていうか・・・まあ、会うたらわかるて。」
加護「えぇ、なんかちょっといやな予感が・・・。」
中澤「大丈夫やって。それにふぐ食べれるんやで。ふぐ。」
加護「え、ふぐ?」
中澤「うん。ここのふぐおいしいって有名なんよ。ほら、皆さん待ってるし、いこ。」

 中澤、加護。店の中に消える。

 店の個室には背広を着た男が3人。1人は頭の禿げた中年の外国人ムジ。他の2人は日本人で、
若い方は茶髪の杉本。中年の方はやはり頭が禿げ上がっていて名前は中田という。

 3人は中澤と加護を認めると騒ぐでもなく落ち着いた様子で、2人の登場を大歓迎
をしていることを示す。確かに紳士のようではある。

中澤「えーと、じゃ紹介します。こちらが加護です。」
加護「こんばんわ。はじめまして。」
中澤「で、こちらが、ユテナイ協和国からお越しの、ムジ・バアルリートさん。」

ムジ「ドーグ グニエーベ。 イマ エマンシ ムジ バアルリート。 エシンオ ティーム ウオイ。」

加護「え?」
中澤「あ。ムジさんは、日本語だめなんよ。それでこちらが通訳の杉本さん。」
杉本「あ、どうも。杉本です。今、ムジさんは『こんばんわ、ムジ・バアルリートです。
    お会いできてうれしいです。』っておっしゃったんですよ。」
加護「そうだったんですか。こちらこそよろしく。」
中澤「で、こちらは中田さん。」
中田「こんばんわ。」
加護「こんばんわ。」
中澤「中田さんは大きな会社の社長さんなんですよね。オツシバ電工って知ってるやろ?」
加護「え?そこの社長さんなの?!すごぉい。」
中田「いやぁ、ムジさんほどじゃないですよ。ムジさんは大きな油田をユテナイ協和国に持っていますからね。
    それに比べれば私なんてたいしたことないですよ。」

26 :3を ◆XjKPPBUhLM :2005/02/24(木) 21:44 ID:xdKe5Zis
 店の人がふぐ料理をもってくる。ムジにわかるようにひとつひとつの料理を説明する杉本。中田は
料理を見て肯定的な意見を述べる。すばらしい料理。

中澤「うわぁ。すごい。え?これもしかして金箔ですか?」
中田「あぁ、ムジさんがさっき英語でなんかたのんでたみたいですね?ですよね、杉本さん?」
杉本「え?そうなんですか。聞いてみましょう。」

杉本「タウシ シス? ドログ?」
ムジ「セイ。 アイ イボル レベットアフ スレットリグ。 ドログ、レブリス、ドナ フォエスルオック イマ グナイニフス ダフ。
    ハハハ。 オッ ニレットリグシ オッ エビル! セントリングブシ トフィグフォ ドグ。 トノド ウォイ クニフト オス?」

中澤「なんかものすごい気合入れて話してるなぁ。」
加護「・・・あの杉本さん、ムジさんはなんて言ってるんですか?」
杉本「『はい、金箔です。』とおっしゃってます。」
加護「・・・。」
中澤「・・・。」
加護「(・・・それ短すぎやろ。)」
中田「じゃ、なにかわかったところでいただきましょうか。えっと、加護さんにはオレンジジュースを頼んでおきましたから
    みんなで乾杯しましょ。ええ、ムジさんも。杉本君も。うんうん。じゃあ、皆さんカンパーイ。 カチャカチャ」
加護「ところで中澤さん。」
中澤「なに?」
加護「今日私が呼ばれたのはどういうわけなんですか?」
中澤「あ。それはえっと・・・。」
中田「あ、それは私から説明しましょう。話し出すとちょっと長くなるんですけどね。実はムジさんは本国では人権運動家
    としても有名な方なんです。」
加護「へぇ、そうなんですか。」
中田「そうなんです。実は、ユテナイ協和国ではかつて国内の差別意識が本当に強かったことがあるんです。その・・・
    それがわかるとですね、人間とはみなされないというほどそれはひどいものだったんです。」
加護「はぁ。」
中田「私もユテナイ協和国になんどか言ったことがあるんですが、いまではそういう差別があったことすら嘘のように
    平和な国なんです。でも、そこまでいくのにはムジさんの長年にわたる努力があったそうなんです。なんでも、
    以前では公共施設の使用が制限されたり、学校教育が受けられなかったり、税金をたくさん取られたり、
    いわれのない罪を着せられたり。とにかく大変だったみたいなんです。」
加護「はぁ。偉い人なんですねぇ。」
中田「ええ、そうなんですよ。それで、ムジさんは次期ノーベル平和賞候補とも言われてるんですが、その彼が作った
    NGO団体がありまして、そこの日本法人の代表を私が勤めさせていただいてるんです。」
加護「はぁ。」
中田「ムジさんは、まだ世界各国でその差別が完全になくなっていないことを本当に心から悲しく思ってらっしゃるんです。
    特に、日本はまだその差別が根強い。そこで日本でキャンペーンをやりたいと思ってるんです。それでぜひ、加護さん
    にわれわれと活動をしていただきたいんです。」
加護「はぁ。」
中田「もちろん事務所の方にはすでに了解を得ています。いかがでしょう。」
加護「あのぉ・・・ひとつ聞いてもいいですか?」
中田「なんでしょう?」
加護「なんで私なんですか?」
中田「ああ、実は・・・ですね・・・。」
加護「?」
中田「その・・・その差別って言うのはですねぇ・・・ハゲ・・・なんですよ。」
加護「・・・・・。」
加護「はぁ?」

27 :3を ◆XjKPPBUhLM :2005/02/24(木) 21:44 ID:xdKe5Zis
中田「ムジさんはユテナイ協和国で昔から大富豪で有名だったんですが、ある日良心の
    呵責に耐えかねて、ついに自分がハゲであることを世間に公表したんです。しばらくは
    世間の動揺もあってムジさんの財産は没収される寸前まで言ったんですが、彼は一大
    キャンペーンを打つことで見事にユテナイ協和国民の心を正しい方向に動かしたんです。
    そのキャンペーンって言うのがいわゆる『ハゲは美しい』キャンペーンで、ムジさんを団長
    とする『ドラブ ナム スレクナド』 日本語に直せば、『ハゲオヤジダンサーズ』がハゲを観衆に
    さらしたまま歌って踊ることで、『ハゲは美しい』ってことを国中にしらしめたんです。そこで
    日本でも同じキャンペーンをして、世間の眼を変えたいと私も思ってるんです!」
加護「はぁ。」
中田「ユニット名も決めているんです。『東京ミッドナイトブライトネス』。『東京の夜の輝き』ですよ!
    かっこいいでしょ?ぜひ、加護さんに参加していただいて、一緒にハゲのすばらしさを・・・」
加護「あのぉ・・・わたしハゲじゃないんですけど・・・。」
中田「加護さん!日本でまだハゲへの差別意識が強いのは確かです。でもわれわれがそれを変えなければ・・・」
加護「いや、本当に私はハゲてませんよ!ね、中澤さん?」

 中澤、小ぶりのふぐをくわえたまま加護の方を振り向く。尻尾が口から出ている。加護は頼る人を間違えたと
肩を落とす。

加護「いや、本当にちがいますよ。なんなら引っ張ってみます?いいですよ。」
中田「はぁ。そこまでおっしゃるなら、引っ張って見ましょうか。ああ、本当だよく出来てる。」
加護「いや。だから本物ですって。」
中田「あ、杉本君。今までの会話通訳してくれてた?え?ムジさんも引っ張ってみたいって?」
加護「いいですよ。その代わり、ちゃんとわかってくださいよ。はいどうぞ。・・・イタッ。」

ムジ「ヘア コンタクト。」

加護「ヘアコンタクトちゃうわーーーーー!!!!!!痛いほど引っ張っといてそれはないやろ!!」
中澤「ヘアフォーライフ?」
加護「そうそう、アートネイチャーのヘアフォーライフ。・・・って何でやねん!てか、プロピアだろうが
   アートネイチャーだろうが私には関係ないわ!ちょっと、杉本さん、その辺のところ、ちゃんと
   ムジさんにも言ってあげてください。」
杉本「いや、別にムジさんはヘアコンタクトだなんていってないですよ。」
加護「・・・え?」
杉本「ええと、今のはですね、ユテナイ語で・・・ええっと・・・そうだ『加護さんはとてもかわいらしいかたなので、
    ハゲていなくてもいいからキャンペーンに参加してほしい。出来れば頭髪を剃って。』とおっしゃっています。」
加護「・・・言うてないやろ。」
杉本「いや、本当ですって。(汗)」
加護「まぁ、ええわ。一応言うといて、ヘアコンタクトでもヘアフォーライフでもない、って。」
杉本「わかりました。言っておきます。」

杉本「レウ リア-シ ”ヘアーインプラント”。」
ムジ「イラエア!」

加護「おい!ヘアーインプラントもインクリーズヘアー社のカツラやろ!!」
杉本「あ、ばれた。てか、詳しいですね。」
加護「誰かがうちのことハゲだっていううわさ流すからパンフレット山ほどとどくんや!!ほっとけ!」

28 :3を ◆XjKPPBUhLM :2005/02/24(木) 21:44 ID:xdKe5Zis

 このようなほのぼのとした(?)会話がすすみつつも料理の方は順調に減っていく。
すべての食べ物がなくなりデザートを待つだけになる時間帯にはようやく会話も落ち着いた。

加護「ようやくわかってくれたみたいですね。」
中田「はぁ、つまり加護さんは、本当にハゲではないか、本当はハゲだとしてもそれを
    認めたくないってことですね。」
加護「だからハゲじゃないですって。」
中田「ムジさんともはなしあったんですけど。そのカツラは、いや、頭の毛はそのままでいいので
    参加してもらえませんか?加護さんはやっぱり人気者ですし。そうだとうれしいんですけど。」
加護「はぁ、考えておきます。」
中田「そうですか。」
加護「あまり期待しないでくださいね。」
中澤「なんやぁ、加護は参加しないんや・・・裕ちゃんさみしぃわぁ・・・」
加護「ちょ、ちょっと中澤さん、ああ、もうすっかり酔っちゃって。人前ですよぉ、だめです、キスはだめです。」
中澤「なんやぁケチぃ。」
加護「そういえば中澤さんは、どうしてこの人たちと知り合ったんですか?」
中田「ああ。それは私が声をかけさせてもらったんです。『東京ミッドナイトブライトネス』のメンバーにぴったりだと
    おもって。」
加護「え?中澤さんが?中澤さんもユニットに参加するんですか?」
中田「あれ?中澤さん、言ってないんですか?」
中澤「えぇ?なにぃ?・・・あ、そのこと?なんや加護に言うてへんかったっけ?」

 そういうと中澤は頭髪に手をやり、ぐっと引っ張る。すると、髪の毛が動いてすべてが床にもっさりと落ちていく。
そこに残った中澤の頭にはまばゆいばかりの光が・・・


・終・

233KB
続きを読む

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
名前: E-mail(省略可)

0ch BBS 2006-02-27