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セントラル娘。

79 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:04

【2003年の章】

80 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:04

九月

81 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:04

亀井
新垣
紺野
高橋
加護
吉澤
矢口
安倍

82 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:05


モーニング娘。の解散から半年あまり経ったある日曜日。
地方の県民会館ではさくら組のコンサートが行われている。
アンコールに応えて、最後に「I WISH」が披露される。
そしてMCではこのツアーをもってさくら組が解散することが告げられる。
やるせないため息と悲鳴が交差する中、コンサートは終了する。


紺野「・・・・・来週も再来週もコンサートあるんだよね」
新垣「何言ってんの。当たり前じゃん」
紺野「その次も」
新垣「それでラスト」
紺野「できる?」
新垣「何が?」
紺野「全部。やり切れる?」
新垣「やり切れる・・・・・振りならできるよ」


新垣は紺野との話を切り上げフッと振り向く。
青白い顔でうつむいている亀井絵里が目に入る。
これからも多分、五期メンバー同士は付き合いが続くだろうが、
亀井や田中や道重はどうなんだろうな、と新垣は思う。
 

83 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:05

田中
道重
藤本
小川

石川
飯田

84 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:06


モーニング娘。の解散から半年あまり経ったある日曜日
地方の県民会館ではおとめ組のコンサートが行われている。
アンコールに応えて、最後に「I WISH」が披露される。
そしてMCではこのツアーをもっておとめ組が解散することが告げられる。
やるせない怒号と悲鳴が交差する中、コンサートは終了する。


小川「・・・・・来週も再来週もコンサートあるんだよね」
辻希「ダルそうに言うなよー」
藤本「ま、ダルいのは確かだけどね」
小川「ラストどうなんのかな?雰囲気良くないよね?」
辻希「なんとかなるさ」
藤本「そ。笑顔笑顔。ニコニコしてりゃいいの」
小川「えー。笑顔ー?」
辻希「泣けねー。ぜってー泣けねー」
藤本「とか言いながら泣くんでしょ。辻ちゃん絶対泣くよ」
辻希「泣かねー。意地でも泣かねー」


それでも藤本は、賭けるなら辻が泣く方に賭けるな、と思う。
七人もいて泣いてるのが辻一人なら不自然極まりないだろう。
でもそれはそれですっごく面白いかもしれない。
そんな場面を実現するためだったら、自分は会心の笑顔で笑えるだろう。
藤本は自分の考えに賛同してくれる人がここにいないことを少し残念に思う。
 

85 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:07


そろそろコンサートが終わった頃だろうか。
保田圭は時計を見ながらそんなことを思う。
彼女はまださくら組のコンサートにも
おとめ組のコンサートにも一度も行ったことはない。
解散の日となるツアー最終日も、おそらくどちらの会場にも行かないだろう。


保田は部屋の電気を消し、眠りにつく。
外を走る車の音がかすかに聞こえる。
たとえ電気を消してもほのかに明かりが差し込んでくるように。
この東京の夜に完全な静寂なありえないように。
モーニング娘。に対する思いをが保田の心から消えることはない。


彼女はもはや何の意味もなさないものにこだわり続けている。


夜が明ける。
保田は目を覚ます。
テレビをつけてる。
さくら組とおとめ組の解散が報じられる。
涙を流さない自分が傍観者であることに気づく。
 

86 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:07






そして悲劇は時と場所を変えて永遠に繰り返される。




 

87 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:08

五月

88 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:08

新垣里沙
小川麻琴
紺野あさ美
高橋愛
加護亜依
辻希美
吉澤ひとみ
石川梨華
矢口真里
保田圭
安倍なつみ
飯田圭織

89 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:08


保田「さ、そろそろ時間だよ。よっすぃー」
吉澤「あーい。行きますか」
保田「最後だね」
吉澤「もー。そういうこと言わないでよー」
保田「だって最後じゃん。これで最後なんだよ?」
吉澤「そう何べんも言わないでよー」
保田「なんかさ、言ってないとやってられないんだよ」


控え室には気だるい雰囲気が満ちている。
もちろんこれが解散コンサートであることを忘れているメンバーはいない。
この一ヶ月に「解散」という言葉は何十回と繰り返し聞いている。
言葉は数を重ねるごとにその意味を薄める。
磨耗した精神状態のままでメンバー達は最後のステージに上がる。


最後の曲が終わる。
保田圭は涙を流す。
吉澤ひとみも涙を流す。
そして満員の観客達も。
涙は磨耗した心を潤す。
言い知れぬ寂寥感がメンバー達の心に湧き上がる中、幕は静かに下りる。
 

90 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:09


後藤真希は下りたままの幕をじっと見つめている。
だがスタッフに急かされて、感慨に浸る間もなく席を立つ。
足早に後藤は控え室へ向かう。


最後のステージに自分がいないのはちょっぴり寂しい気がした。
だが最後のステージを観客として見ることができたのでよしとする。
彼女はモーニング娘。である後藤真希が好きなのではなく、
後藤真希がいたモーニング娘。そのものが好きだったことを確信する。


昔はそんなことは確認するまでもなかったが、今は違う。
愛することはたやすいが、愛し続けることは難しい。
自分が失ったものであれば、尚の事一層。


彼女は自分が卒業した日のことを思い出す。
そしてもう一度だけ幕の下りたステージへ目をやる。
モーニング娘。との二度目の別れは、彼女を少しだけ大人に変える。
 

91 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:10


都内での打ち上げも終わりメンバー達はそれぞれ家路につく。
家の方向が同じ紺野と小川は同じタクシーに乗る。
週末の東京はタクシーのテールランプで赤く彩られる。
タクシーは頻繁に信号で止まる。
すぐに着くだろうと思われた目的地にはなかなか着かない。


小川「朝まで歌いたかったなあ」
紺野「安倍さんとか朝までいそうだよね」
小川「帰るのうちらだけだったりして」
紺野「あー。かもね」
小川「あさ美ちゃんさあ、なんでそんなに帰りたいの?」
紺野「うん?」
小川「最後の夜なんだからさ、もっと」
紺野「最後だから」
小川「最後だから?」


会話の途中でタクシーは一つ目の目的地に着く。
小川はそこまでの料金の半分を支払いタクシーを降りる。
紺野を乗せて再びタクシーは走り出す。
紺野の頭の中に「AS FOR ONE DAY」が流れ始める。
解散コンサートの余韻に浸りながら紺野は目を閉じる。


最後の夜だから。
誰の邪魔にもならず。
誰にも邪魔されることなく。
少しでも長くこの魔法に酔っていたいと紺野は思う。
 

92 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:10






そして悲劇は時と場所を変えて永遠に繰り返される。




 

93 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:10

一月

94 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:11

藤本美貴

95 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:12


「ありがとうございましたっ!」


滑舌よく放たれた言葉で藤本美貴の引退コンサートは終わる。
一秒でも早く衣装を脱ぎ捨てたいという衝動が藤本を貫く。
藤本は殺気立っているが、スタッフも負けじと殺気立っている。
折り合いのつかない二つの感情は観客にも微妙に伝わる。


早く一人きりになりたい。
それを見透かされるのが嫌で藤本はわざとゆっくり控え室に戻る。
扉を閉める。ブーツを脱ぐ。椅子に腰掛ける。
控え室は豪華な花束で溢れかえっている。
ご丁寧に「モーニング娘。様」と書かれたものまである。


彼女は、この先かなり長い間テレビは見られないだろうな、と思う。
雑誌だって慎重に選ばなければならないかもしれない。
暗鬱になった彼女はそこで一旦考えるのをやめる。
自分の人生とは全く関係のないことを思い浮かべようと努力する。
その試みは成功し、しばし彼女の頭はファンシーな世界で満たされる。


彼女はまだ自分が泣いていることに気づいていない。
 

96 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/11(月) 13:12






そして悲劇は時と場所を変えて永遠に繰り返される。




 

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