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セントラル娘。

62 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 12:54

【2004年の章】

63 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 12:55

八月

64 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:00

田中れいな
道重さゆみ
亀井絵里
藤本美貴
新垣里沙
小川麻琴
紺野あさ美
高橋愛
加護亜依
辻希美
吉澤ひとみ
石川梨華
矢口真里
飯田圭織

65 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:01

世間にさしたる衝撃を与えることもなく―――
「また新しいユニットができましたよ」という時と同じくらいのノリで―――
モーニング娘。が解散しようとしていた。


一瞬のこととはいえTVへの露出は今まで以上に増える。
そこでも飯田は何か自己表現しようともがき苦しんでいる。
矢口は一秒でも多く映ろうと必死に話に割り込んでくる。
5期6期メンバー達はそれをただ無言で見つめている。


飯田「なんかこう・・・・・みんないつもと同じだね・・・・・」
矢口「解散するからって急に変わるわけないじゃん。もうほっときなよ」
飯田「みんな変わったと思うんだけどなあ」
矢口「おいおいカオリーン。どっちだよー」
飯田「成長したんだけどー・・・・・それが表に出ない、みたいな」
矢口「だから解散するんじゃないの?」

66 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:01


最後のステージの幕が静かに上がる。
メンバー達はリハーサル通りきびきびと歌い、踊る。
最後の曲として大方のファンの予想通り『女子かしまし物語』が歌われる。
予想された歴代卒業生の登場もなく淡々と幕が下りる。


田中「終わったね」
亀井「終わっちゃったね」
田中「・・・・・これからさー、どうする?」
道重「ホテルで打ち上げって言ってたよ」
田中「・・・・・そういうことじゃなくって」
亀井「なーんもしたくない・・・・・」


打ち上げには何人かの卒業生も顔を出す。
宴は予想以上の、ある意味コンサート以上の盛り上がりを見せる。
この時に話すために思い出を作ってきたかのように、
競い合うようにして昔のくだらない出来事を思い出し合う。


藤本は吉澤と一緒にはしゃぎまわっている。
安倍は誰彼かまわず言いたい放題言っている。
中澤は最後の時くらい酒を用意せんかいと毒づいている。
石川は新しいユニットの名前についてみんなから突っ込まれている。
 

67 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:02


加護は会場から一番最初に抜け出てくる。
ああ、自分がいなくても打ち上げは盛り上がっているんだろうなあと思う。
その加護の肩を後から石川がポーンと叩く。
石川の表情は明るい。


加護「・・・何してるん?」
石川「何ってさー、そっちこそ何してんのさ」
加護「もう寝る。明日も仕事で早いし」
石川「そっか。じゃ、あたしももう寝よっかな」
加護「梨華ちゃんも明日、仕事なん?」
石川「全然。ふふふふふ」
加護「え。じゃあもうちょっとみんなと」
石川「いいのいいの。もう眠いから」


加護はエレベーターまで石川を見送る
見送られているのは自分の方かもしれないと思う。
笑顔で手を振る石川の前でエレベーターの扉が閉じる。
不意に会場に戻りたい誘惑に駆られるがその瞬間に本能的に悟る。


モーニング娘。はもう解散してしまったんだと。
 

68 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:03






そして悲劇は時と場所を変えて永遠に繰り返される。




 

69 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:04

五月

70 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:04

高橋愛
ミカ
加護亜依
辻希美

71 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:04

涙ぐむミカに矢口真里が花束を贈る。
ハロプロから、そしておそらく芸能界からミカは去る。
高橋愛。辻希美。加護亜依。そしてミカ・トッド。
彼女らは事務所の建前を従順に消化している。


ミニモニ。と呼ばれた四人は肩を組み最後の挨拶をする。
ハロコンのステージの上には四人と矢口がいる。
やけに広く感じられるステージの上で五人は高々と手を掲げる。
ミニモニ。はミニモニ。として生き、ミニモニ。として変化し、
ミニモニ。であり続ける矛盾を抱え、ミニモニ。としてその活動を終えた。


矢口「お疲れミカちゃん」
ミカ 「長かったなあ・・・・・」
辻希「うそお!アッという間だったじゃん!」
加護「速かったよね。うん」
矢口「あんたらは娘。もあったから」
ミカ 「新曲のたびに・・・・・これが最後と思ってたから」
高橋「これで最後ってさあ、なんかもったいない」
矢口「お疲れ。お疲れミカちゃん。これで最後だから」


こうしてハロプロ最後のユニットの歴史に幕が下りる。

72 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:05






そして悲劇は時と場所を変えて永遠に繰り返される。




 

73 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:05

一月

74 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:05

田中れいな
道重さゆみ
亀井絵里
藤本美貴
新垣里沙
小川麻琴
紺野あさ美
高橋愛
加護亜依
辻希美
吉澤ひとみ
石川梨華
矢口真里
安倍なつみ
飯田圭織

75 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:06


煌びやかな衣装に包まれて安倍なつみが最後の曲を歌っている。
『愛あらば IT'S ALL RIGHT』の合唱が会場を包む。
モーニング娘。の解散コンサートのセンターポジション務める。
それが「安倍なつみ」であることを疑問を持つ者はいない。


ファン達はいつもよりも1オクターブ高い声援を送る。
だが安倍の目には涙はない。
その時、安倍の心には悲しみはない。怒りもない。喜びもない。
ただ目の前の光景を心に焼き付けようと、彼女は必死に目を見開いている。
喧騒の中、幕は下り、安倍は一人の安倍なつみから
モーニング娘。のメンバーの一人の安倍なつみに戻る。


新垣「安倍さん、お疲れ様です」
安倍「おーう。疲れたともさ」
新垣「最後の曲、最高っした」
安倍「そう?うん、まあ。ね。最後だし」
新垣「なんかまだ終わった気がしなくないですか?」
安倍「いや、もう終わったっしょ」
新垣「安倍さーん」
安倍「最高っしたよ。ガキさん。それでいいじゃないすか」
 

76 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:06


各メンバーは関係者と雑談をしたり、取材に応じたりしている。
やはりそこでも輪の中心には安倍がいる。
お互いに肩を組みファインダーに収まるメンバー達もいる。
四つほどのグループに分かれて談笑は続く。


亀井「あーん、安倍さんと一緒に写真撮りたいなー」
道重「今はちょっと無理っぽくない?」
田中「また後で撮ればいいじゃん」
亀井「今がいいの!今じゃなきゃ意味ないじゃん!」
道重「あたし着替えてくるね」
田中「ちょっとさゆ!待ってよ!」
亀井「あ。あたしも行くあたしも行く」


それぞれのグループはそれぞれ散り散りになる。
各人とも着替えを済ませコンサート会場を後にする。
スタッフは雑然とした控え室を片付け始める
やがて部屋はモーニング娘。が来る前の状態に戻る。
 

77 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:06


高橋愛は部屋で一人、時計を見つめている。
時計は午後の11時50分を示している。
彼女は二年半の重みと残り10分の重みを天秤にかける。
天秤の針は大きく傾く。
時計の針はさらに進む。


彼女はモーニング娘。としての活動を思い出す。
彼女が心に思い浮かべている情景は
オーディションに合格した瞬間でも、解散コンサートでもない。
センターに抜擢された楽曲でも、TVでのトーク場面でもない。
安倍なつみでも後藤真希でも高橋愛でもない。


高橋「あと5分やね」

彼女には最初という概念も最後という概念もない。

高橋「あと1分やね」

彼女には最高という概念も最悪という概念もない。

高橋「あと30秒やね」

彼女には他人という概念も自分という概念もない。

高橋「あと10秒やね」


時計の針が0時を指した瞬間、高橋は
そういえばこの時計は――――
グリニッジ標準時刻に合わせとるんやろか―――とちらりと思う。
 

78 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/10(日) 13:07






そして悲劇は時と場所を変えて永遠に繰り返される。




 

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