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セントラル娘。

166 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/16(土) 12:02

【1998年の章】

167 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/16(土) 12:02

五月

168 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/16(土) 12:02

福田明日香
安倍なつみ
飯田圭織
石黒彩
中澤裕子

169 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/16(土) 12:04


モーニングコーヒーの発売から数ヶ月後。
5人のメンバーは事務所に集められる。
マネージャーは神妙な面持ちでモーニング娘。の解散を彼女らに伝える。
あっけない幕切れにメンバー達は声が出ない。
ASAYANでは10秒ほどテロップが流れ、企画の終わりが告げられる。


中澤「やっぱりアカンかったんか・・・・・」
石黒「『モーニング娘。』じゃねえ」
中澤「今更なんやねん。今までのはなんやったんや」
石黒「そんなの知らないよ」
中澤「みんな都合のええことばっかり言って」
石黒「・・・・・・・・・」
中澤「たった一曲で何がわかるっちゅうねん!」
石黒「だから知らないって言ってるでしょ!」


中澤は忸怩たる思いを隠せない。
この屈辱はオーディションに落ちた時以上だと中澤は感じる。
あんなにやる気満々だった他のメンバーは、もう諦めきっている。
早い。早すぎる。まだあるはずや。もっとできるはずや。
だがそう思いながらも中澤は解散を受け入れる。
受け入れる以外の方法を中澤は知らない。


中澤は自分の夢が終焉を迎えたことを悟る。
もう後戻りはできない。
もうやり直すことはできない。
中澤が失った時間が、機会が、情熱が―――
他のメンバーとは同じではないことに、他のメンバーは気づいていない。
 

170 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/16(土) 12:05


安倍「福ちゃん、ちょっと」
福田「はい」
安倍「あのね。ちょっと・・・・・こっちでいい?」
福田「なに?どしたん?」
安倍「『ソロでやらない?』って言われちゃった」
福田「お。すごいじゃん。マジ?」
安倍「福ちゃんはそういうのって・・・・・」
福田「うん?」
安倍「言われた?」
福田「全然」
安倍「ごめんね。みんなに何て言おうか・・・・・」
福田「そのまま普通に言った方がいいよ」


言葉とは裏腹にキラキラした目で話す安倍を見て、
こういう子が残っていくのかなあと福田は漠然と思う。
安倍は自分にできないことをとても自然にやってのける。
そうか。
彼女は『元モーニング娘。』として芸能界で活動するのか。
そいつはなんとも素敵な肩書きだと福田は思う。


福田「ははははは」
安倍「なにがおかしいの?」
福田「ははは。なっちってさあ『モーニング娘。』って好き?」
安倍「何言ってるの。もちろん。だって」
福田「そうじゃなくってさー。単純に名前として。どう?」
安倍「あんまり好きじゃない」
福田「ははは。正直でよろしい」
安倍「福ちゃんはどうなのさ」
福田「あたし?あたしは結構好き」
安倍「・・・・・ごめんね。福ちゃん」
福田「頑張れ。頑張れ安倍なつみ」
 

171 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/16(土) 12:08


飯田は狭いユニットバスでシャワーを浴びている。
何時間くらい浴びているのか飯田にはよくわからない。
髪を乾かすのもそこそこに飯田は契約書を広げる。
もはや意味のなくなった言葉や数字がそこには羅列されている。


緩慢な動作で飯田はその紙を破る。
縦に。横に。重ねて。丁寧に。何度も。
震えながら紙を破る自分が惨めでならない。
自分は失敗したのだ。
それも二度も。


気がつくともう夜は明けている。
予定など何もない飯田はベッドに入る。
電話が鳴る。
受話器を取る。
母親の声が聞こえる。


幼い頃から聞き慣れた母親の声は飯田に
何も失敗などしていないんだということを―――優しく悟らせる。
 

172 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/16(土) 12:09






そして悲劇は時と場所を変えて永遠に繰り返される。




 

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