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セントラル娘。

138 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/14(木) 12:17

【2000年の章】

139 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/14(木) 12:17

四月

140 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/14(木) 12:17

後藤真希
市井紗耶香
矢口真里
保田圭
安倍なつみ
飯田圭織
中澤裕子

141 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/14(木) 12:19


衝撃の解散発表からわずか一ヵ月後。
モーニング娘。を取り巻く世界は後藤真希を中心に回っている。
誰もが後藤の今の気持ちを知りたがっている。
誰もが後藤のこれからの活動に注目している。
騒然とした雰囲気の中、最後のコンサートが行われる。


コンサートはLOVEマシーンに始まりLOVEマシーンに終わる。
会場に集まった人々は大げさな演出に辟易しながらも
後藤真希伝説の一章が終わった感慨にしばし酔いふける。
誰も他のメンバーの最後の挨拶など覚えてはいない。
照明が灯り、人々が家路につく頃、メンバー達の新しい人生が始まる。


市井「うっしゃー、終わったねー」
後藤「うん。もう疲れたよ」
市井「なーに言ってんの。忙しくなるのはこれからじゃん」
後藤「今はあんまり考えたくない・・・・・」
市井「あー。よしてよ。暗いのやだよ」
後藤「うん。頑張るしかないよね」
市井「そうそう!新しい始まりじゃん!」
後藤「うん。なんかまた元気でてきたよ」
市井「よしよし。でもまあ疲れた」
後藤「なんじゃそりゃ。ははははは」
 

142 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/14(木) 12:19


メンバー達はそれぞれ散り散りになり次の仕事場へ向かう。
保田は駐車場へ向かう。
前を行く飯田の足取りは重い。
まだ発表はされていないが、飯田は仕事を辞めて実家に帰るらしい。


保田は無言で飯田の後を歩く。
これからは多分後藤と市井の後ろについて歩く。
きっと飯田は誰かの後ろを歩いたことなど一度もないだろうなと保田は思う。
保田は一瞬、今日がモーニング娘。の最後の日だということを忘れかける。
保田は飯田との別れの言葉を探そうとするがなかなか見つからない。


飯田は無言で保田の前を歩く。
保田と初めて会った時のことを思い出そうとするが上手くいかない。
矢口も市井もそして保田もみんな変わったと飯田は思う。
飯田は解散の理由を探す。
それはすぐ足元にあるが遠くを見つめる飯田の目には入らない。


飯田「じゃあね」
保田「じゃあね」


二人は見つからない答を探すのを諦め、それぞれ別々の車に乗り込む。
 

143 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/14(木) 12:20


最後まで残っていた後藤の着替えがようやく終わる。
後藤は鏡の中の自分を見つめる。
合わせ鏡には無数の後藤真希が向き合っている。
後藤は右手を上げる。全員が右手を上げる。
後藤は左手を上げる。全員が左手を上げる。


安倍「まだいたの?」
後藤「わ。誰?」
安倍「なにしてんのさ」
後藤「ああ。もう帰るところ」
安倍「相変わらず変なことしてるねー」
後藤「変な顔」
安倍「はあ!?」
後藤「なんでもない。さっ。帰ろ帰ろ」
安倍「ちょっとー、変な顔って誰のことさ!?おいっ!」


ふくれっ面の安倍の肩を押しながら後藤は部屋を出る。
後藤は後手で部屋の電気を消す。
かかとでドアをバタンと閉める。
鏡の中にはもう後藤真希は一人もいない。
 

144 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/14(木) 12:21






そして悲劇は時と場所を変えて永遠に繰り返される。




 

145 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/14(木) 12:22

一月

146 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/14(木) 12:22

後藤真希
市井紗耶香
矢口真里
保田圭
安倍なつみ
飯田圭織
石黒彩
中澤裕子

147 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/14(木) 12:23


LOVEマシーンのロングヒットがいまだ続く中、
突然モーニング娘。の解散が発表される。
絶頂期だからこそ解散するという理由は世間にそれなりに受け入れられる。
熱心なファン達の間では賛否両論に分かれて議論が繰り返される。


矢口「絶頂期かあ。まだまだこれからじゃん」
石黒「自分で言うなよって感じだよね」
矢口「こういうヒットの後のシングルが美味しいのにー」
石黒「知ってる?事務所またメンバー増やそうとしてたらしいよ」
矢口「えー。もう多すぎるっての」
石黒「だから多分ユニットでやるんじゃないの」
矢口「もうわっかんないや。知らない」
石黒「あたしは丁度いいと思うけどな」
矢口「何が?」
石黒「辞め時。LOVEマシーンみたいな曲ばっか歌えると思う?」
矢口「・・・・・・・・」


矢口はノリノリでLOVEマシーンを歌っていた石黒を思い浮かべる。
もちろんそれが半分本気、半分ヤケクソであることは知っている。
だがモーニング娘。の解散に対して淡白な石黒が矢口にはよく理解できない。


石黒は手帳を開けてスケジュールを確認している。
大幅に書き換えられた今年の予定を見て石黒は何を思っているのだろうか。
矢口は手帳を熱心に見ている石黒を見ながらふと思う。
来年の今頃あたしは何をしているのだろう。二年後は。三年後は。
全く予想のつかない自分の未来に矢口は不安に感じる。
 

148 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/14(木) 12:24


めまぐるしいスケジュールに追われて後藤の一日は終わる。
いや、後藤の一日は終わらない。
次々と舞い込んでくる仕事の山に睡眠時間すら削られる。
彼女はこの世界に入ってからまだ半年も経っていない。


後藤は幼い頃から欲していたものを手に入れつつあると実感している。
ゴールはまだ見えないが、自分がレースに参加していることは確かだ。
自分はトップを走っているのだろうか。
それともまだ周回遅れなのだろうか。
ルールのないレースの順位を決めるのは自分自身かもしれない。
自分はそれをわかっている。今はそれで十分だと後藤は思う。


ふとカレンダーを見た後藤は解散コンサートが明日であることに気づく。
まだまだやりたいことがいっぱいあるような気がする。
だがそれは別にいつでもできることばかりだと後藤は思う。
明日にしかできないことなんてあるんだろうかと後藤は考えながら眠りにつく。
 

149 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/14(木) 12:25


ステージでは中澤裕子が最後の挨拶をしている。
今後も私達を応援し続けてくださいと中澤は締める。
温かい拍手が会場を包む。
それを見ながら石黒は、一体このうち何人くらいの人が
私のことを本当に応援し続けてくれるんだろうとポツリと思う。


安倍「あれ?みんなは?」
石黒「もうバスに行ったよ。後藤は取材」
安倍「彩っぺは?行こうよ」
石黒「もう準備できたの?」
安倍「終わったー。待っててくれたの?」
石黒「あんたは本当に遅いね」
安倍「なにさー。みんなが速いのよう」
石黒「同じじゃん。じゃ行こか」


ついさっきまで泣いていた安倍はもうケロッとしている。
本当に憎たらしい顔をしていると石黒は思う。
芸能界では嫌うより嫌われる側になりたい。
石黒はずっとそう思っていたが今ではそうではない。


もう彼女はモーニング娘。ではない。
自分は安倍とは違う。
石黒は明日からの自分の新しい生活に思いを馳せる。
 

150 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/14(木) 12:26






そして悲劇は時と場所を変えて永遠に繰り返される。




 

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