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セントラル娘。
- 114 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:46
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【2001年の章】
- 115 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:47
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十一月
- 116 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:47
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加護亜依
石川梨華
矢口真里
飯田圭織
- 117 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:48
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まだクリスマスには一ヶ月近くも早い。
だがステージの上は誰が見てもそうとわかるセットが組まれている。
タンポポの最後のステージを包む観客達は
そんなセットとは無関係な黄色いサイリウムを思い思いに振っている。
やがて曲が終わり、会場は一瞬の沈黙の後、大歓声に覆い尽くされる。
飯田は雷に打たれたように身動き一つできない。
矢口は呆けたように同じ言葉を繰り返し口にする。
石川は初めて自分が誰かに必要とされていたことに気づく。
加護はどうしてよいかわからずただ泣きじゃくる。
矢口「ああ。もう。すっごかったね」
石川「きれいでした。すごい。うん」
加護「解散・・・・・したくない」
飯田「あたし今日が終わって」
矢口「?」
飯田「もうこれでいいんだって思えた」
矢口「ホントに?」
飯田「タンポポは好きだよ。でも」
石川「あたしも好きです!」
飯田「これでいいの」
加護「なんで?」
飯田「ありがとう。でも。これでいい」
こうしてハロプロの光と闇を体現したユニットの歴史に幕が下りる。
- 118 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:48
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そして悲劇は時と場所を変えて永遠に繰り返される。
- 119 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:48
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八月
- 120 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:48
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加護亜依
辻希美
吉澤ひとみ
石川梨華
後藤真希
矢口真里
保田圭
安倍なつみ
飯田圭織
- 121 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:50
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モーニング娘。解散のニュースが日本列島を駆け巡る。
ようやくメンバー達の名前を覚え始めた人間にも衝撃は走る。
事務所が発表した解散の理由を真に受けるファンはいない。
記者会見に出席したメンバー達の表情は、
どんな言葉よりも雄弁にこの解散の不自然さを表している。
吉澤「あー。やっと終わったね」
石川「会見ってなんか怖いね」
吉澤「なんで質問する方がキレるかなー」
石川「ね。答えられないことばっか訊いてくるし」
吉澤「こっちが訊きたいっつーの」
石川「最近、みんなに会うのが嫌なの」
吉澤「解散のことばっか考えちゃうしね」
石川「安倍さんとかは機嫌悪いし」
吉澤「それはいっつもじゃん」
石川は言い終わってから周囲に安倍がいないか見回す。
そんな石川を見て吉澤は深いため息をつく。
何もかもが中途半端なまま二人は家路につく。
その二人を追いかけるように通り雨が降り出す。
やがて雨雲は二人に追いつき、二人の会話は雨音に消される。
- 122 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:51
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辻希「もー。梨華ちゃん嫌ーい」
石川「あんたまだそんなこと言ってるの」
辻希「ウルサイウルサイウルサーイ!」
石川「もういい加減にしてよ」
辻希「あっちいけ!梨華ちゃん臭いの!」
石川「・・・・・はいはい」
取り付く島もない辻をほったらかしにして石川は部屋を出る。
喧嘩に理由などない。
解散が決まってから辻はずっと機嫌が悪い。
辻はいつも決まって石川に当たる。
石川も辻のように大声で泣き叫びたいがそんなことはできない。
テレビ局の廊下は多くの人が行きかう。
特に石川に目をくれることもなく、人々は次から次へと通り過ぎる。
石川はこつんと消化器を蹴ってからそっと部屋を覗く。
辻はまだ一人でぐずぐずと泣いている。
覚悟を決めて石川は再び部屋に足を踏み入れる。
- 123 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:51
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アンコールに応えて恋愛レボリューション21のイントロが流れる。
観客の興奮は最高潮に達する。
吉澤は途中で一度、ダンスでつまづく。
だがそれを気に止める観客もなくコンサートは最後の瞬間を迎える。
誰もが悲しみながらも最後の瞬間を共有できた事実に満足する。
加護「足ガクガクやん」
吉澤「え?何が?」
加護「震えてんの?」
吉澤「まっさかー」
加護「ふーん。よっすぃーってさ」
吉澤「ほら。みんなが呼んでる。行こ行こ」
加護「あ。うん」
声を上ずらせる吉澤を見て加護は少し動揺する。
吉澤は加護を見ずに駆け出す。
加護もその後を追う。
やがてメンバー達は着替えを終えてコンサート会場を後にする。
スタッフは雑然とした控え室を片付け始める。
最後のステージの衣装が9人分まとめられる。
最後のステージのマイクが9人分まとめられる。
まるでまとめられないものなどないかのように、
手際よく片付けられた部屋には、9人が残した汗の香りがかすかに残る。
- 124 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:52
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そして悲劇は時と場所を変えて永遠に繰り返される。
- 125 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:52
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四月
- 126 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:52
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加護亜依
辻希美
吉澤ひとみ
石川梨華
後藤真希
矢口真里
保田圭
安倍なつみ
飯田圭織
中澤裕子
- 127 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:53
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4期メンバーが入ってから一つ目の春を迎えたある日。
ある番組でなんの前触れもなくモーニング娘。の解散が発表される。
やがて収録が終わっても、メンバー達はどこかそわそわしている。
マネージャーの事務連絡が終わり、発表が事実であることを思い知らされる。
石川「あの・・・・・中澤さん」
中澤「うっさい」
石川「すいません」
中澤「なんやねん」
石川「・・・・・・・・あの」
中澤「殺すぞ」
石川「すいません。すいま」
中澤「だからなんやねん!」
石川「本当に・・・解散・・・しちゃうんで」
中澤「知るか。お前。ホンマ殺すぞ」
なぜよりによって中澤に訊くのか。
矢口には石川の思考回路が理解できない。
だが周りを見回して矢口は気づく。
安倍にも飯田にも保田にもとても訊けるような雰囲気ではない。
自分は周りからどう見られているんだろうかと矢口は思う。
石川は矢口をちらりと見る。
憮然とした表情の裏側は全く見えない。
その唇から放たれる全ての言葉は、嘘でも本心でもないような気がする。
石川は初めて先輩のことを本気で恐いと感じる。
- 128 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:53
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解散特番に向けてカメラは回り続ける。
メンバー達は無駄口一つ叩くことなくリハーサルに没頭している。
休憩時間中もカメラは止まることはない。
加護はカメラから逃れるようにトイレに向かう。
トイレまではついて来ないよね、と思いながら辻は加護を追う。
辻希「おい」
加護「やーん。しんどいー」
辻希「なんだ。元気じゃん」
加護「なんか同じな気がしない?」
辻希「なにが?」
加護「解散してもさあ、みんなユニットで」
辻希「でもみんなバラバラじゃん」
加護「でもね。みんな一緒なん」
辻希「はあ?意味わかんない」
加護は少しムッとして辻の脇をくすぐる。
辻は軽く加護に蹴りを入れてからバタバタと逃げ出す。
5秒前の会話などもうとっくに忘れて辻はへらへらと笑っている。
こいつはアホや。ホンマにアホや。
そんなことを思いながら、
加護はもう5秒前に自分が辻に言いたかったことを完全に忘れている。
- 129 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:55
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解散コンサートが終わりメンバー達は着替えを始める。
それぞれ代わる代わるTV番組のインタビューに答える。
吉澤は自分の出番を待っている。
その次は後藤らしいが後藤はまだ着替えずボーっとしている。
吉澤「ごっちん着替えないの?」
後藤「え?これで撮るんじゃないの?」
吉澤「汗だくじゃん。早く着替えてきなよ」
後藤「えー面倒臭い。もうこれでいいって」
吉澤「ごっちんのインタビュー、絶対長くなるって」
後藤「え。そーかな」
吉澤「風邪ひくよ。いいから着替えなって」
後藤「うん。ちょっと寒くなってきた。ははは」
後藤と吉澤はこれからも同じユニットで活動することが決まっている。
今日まで少しずつ仲良くなってきたように
これからも少しずつ仲良くなっていきたいと吉澤は思う。
モーニング娘。は解散してしまったけど、
プッチモニはずっと続くんだ。ずっとずっと続くんだ。
吉澤は思う。強く思う。
強く思わなければ―――全てが目の前から消えてしまう気がして。
- 130 :ジョルノ市井 ◆JOJO533w :2004/10/13(水) 12:56
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そして悲劇は時と場所を変えて永遠に繰り返される。
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